表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Best Friends  作者: 和田樹里
8/27

第七話:中休み

「ねーぇ、樹里〜。」

沙紀が話しかけてくる。

「…何…?」

「トイレ…ついて来てよ。」

ゾクッ…

「え…なんで…?」

「もー!友達じゃない!それぐらい、当然じゃない?笑」

友達…?本当の…友達…?

「ね!行こ行こ!!」

真紀ちゃんは、わざとらしくそう言った。

「いいでしょ?樹里。」

沙紀がニヤリと笑ってそう言い、私の腕を思いきり強く掴んだ。

「やっ…!やめ…」

「行こ行こー!」

真紀ちゃんが私の言葉をさえぎった。


気づいたら、そこはトイレ…。

「樹里。」

「……何…?」

「ついて来てくれて、ありがとね♪」

そんな沙紀の笑顔…笑っているのは、口だけだった。

「…何する気?」

「さぁ…なんだろーねー?」

真紀ちゃんがそう言った後、沙紀は言った。

「こうするのよ…。」

バシャッ

沙紀の取り巻きの子達が私にバケツで水をかける。

「いやっ…。」

「『やめて』なんて…言わないでよね?笑」

「こんなことしたって、何もないじゃない…!」

「あるわよ…。」

…え……?

「ふふ…楽しいんでしょ?いじめ…。仁香のこと、楽しそうにいじめてたそうじゃない…。」

「だから、私は仁香をいじめてなんかいない…!いじめられていたのは私なの…!!」

「…嘘つき。」

「嘘じゃない!!」

「……。」

「信じてよ…。」

「みんな、来たよ!」

沙紀のお取り巻きの瑠可ちゃんがトイレの外から言った。

「くっそ…マジかよ…。」

「仕方ないわね…。みんな、行くわよ。」

バンッ

私は真紀ちゃんに蹴り飛ばされ、トイレの個室に入った。

と、同時にドアが閉まった。

「声出したら殺すわよ。」

「……。」

「沙紀…あのさ、さっき言ってたこと、本当だから…。」

「そんなこと…信じない。」

キャハハハハハ…

声が遠ざかっていった。

しかし、私は個室から出なかった。

この地獄の中休みを乗り切るには、トイレに入って30分間過ごしたほうがいいんじゃない…?

 「信じない。」 

その言葉に、私はとても傷ついた。


そんな高校生活は、私にとって苦痛の日々だった。

そう、あおいと出会う前までは――…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ