第三話:罠
「樹里ー!プリ早く撮ろうよぉ!」
あ、沙紀…。先に来てたんだ。
「…樹里〜?」
「あ、ごめん。じゃあ、行こっか。」
「ねえ、樹里。」
「ん?」
「この前見せてくれたプリあるじゃん?」
ドクン…。
この前のプリって…李子と撮ったやつのことだ…。
「あのプリの樹里の隣に写ってた子、ハッキリ言ってかわいくないよね。」
……なんで、そんなこと…。
「樹里みたいなかわいい子が、あんな子とつきあってたなんて信じらんないよー。」
…やめて……お願いだから…。李子の悪口だけはやめて…!
「あの子とは、今でも仲いいの?」
「……ううん。」
「あ、そっかぁ!受験に失敗しちゃった友達って、あの子のことなんだぁ!ってことは、もう絶交とかしちゃったのぉ?」
「……うん。」
「なーんだぁ!良かった!樹里が今でもあんな子と仲良くしてると思って、心配しちゃったよぉ!あの子とはもうつきあわない方がいいと思って…」
「もうやめて!!」
「……。」
「沙紀…李子の悪口だけは言わないで!!李子は、受験に成功した私のことを恨んでる。でも、ほんとは、すっごく優しくていい子で…」
「知らないの?」
え?知らないの って…何のこと?
「あのね、沙紀、よく真紀と放課後遊びに行くの。でね、いろんなとこ行くんだけど、よくあの子見るんだよね…。男の人と遊んでるっぽくて…。ラブホ入ってくのも見ちゃったの!」
まさか…あの李子が男の人と遊んだり、ラブホ入ったりするわけないじゃん…。
「でも絶対あの子だったわ!」
絶対、そんなわけない…。人違いに決まってる…!
「じゃあ、あの子の名前は?」
え…?
「あの子、李子っていうんじゃないの?」
李子…。なんで…?
「なんで…李子って名前だって…。」
「これ。その子が落としていったの。」
学生証…『森田 李子』…うそ…。
「ね?あの子…でしょ?」
「……うん…。」
「ほら。やっぱりあの子だ!ふふふ…。ね?あの子と絶交しといて、良かったんじゃない?」
「なんで…?」
「李子って子…相当ヤバそうだよ?」
そんなっ…。
「なんなら、今日探しに行く?」
「…うん。」