第十六話:思惑
樹里「ねぇ、沙紀……。」
沙紀「何?」
樹里「どうして、沙紀がやったってことに…?」
沙紀「だって、あんたはいろいろと便利だから。今日はただのおまけ。別に、あんたのことを許したわけじゃないから。」
樹里「……もうひとつ聞いていい…?」
沙紀「…えぇ、いいわよ?」
樹里「最後の、『ほんとは裏切ってたりして』って…どういう意味なの…?」
沙紀「え…?フフ……。教えない♪じゃ、また後で♪」
樹里「………。」
<PM.11:48>
柴咲さん……!
早く、出してあげないと…!
柴咲さんは、朝から何も食べてない…!
バンッ
樹里「柴咲さん…!!」
…え……?
いない……。柴咲さんが、いない…。
どうして…?
たしかに、ここのはずなんだけど…。おかしいな…。暗いから、間違えちゃったのかな…?でも、おかしい…。私、ちゃんと階確認したのに…。
もう一回、ちゃんと確認して来ようかな…。
私は、トイレを出た。
…え……?
沙紀「こんばんは♪樹里ちゃん♪」
樹里「なんで…。なんで、沙紀がここに…。」
沙紀「フフフ…。樹里のことだから、きっとあおいちゃんのこと助けに来ると思ってさぁ。で、わざわざ来て、先にあおいちゃんを出していたワケ♪フフ…。沙紀って、結構かしこいのかもなぁ♪」
樹里「…ウソ…でしょ……。」
………ヤダ…柴咲さんが、沙紀のターゲットになっちゃう……!
沙紀「樹里ちゃん、沙紀、言ったわよね?もししくじったり、助けたりしたら、柴咲あおいが次のターゲットになる、って…。」
嫌だ……!
私のせいで、柴咲さんが沙紀のターゲットになるだなんて…!
どうすればいいの…!?