第十五話:実行
葵「トイレ行ってくる。」
ドクン…
見ると、沙紀が私のことを見てニヤリと笑っていた。
葵「福山?」
樹里「あ…うん、行ってらっしゃい…。」
葵「?あぁ…。」
柴咲さんは、教室を出た。
沙紀「…ホラ、柴咲がトイレに行ったわよ?いい?チャンスは、この一回だけなのよ?がんばってね♪しくじったら、柴咲葵がターゲットになるんだから♪忘れないでね♪」
樹里「……分かってる…。」
<トイレ>
柴咲さん……。
どうして…?
どうして、柴咲さんを巻き込まなくちゃいけないの…?
でも、柴咲さんが沙紀にいじめられることを考えたら、こんなこと、どうってことない…。
ドンッ
葵「うわっ……!」
バタンッ
葵「ちょっ…何なんだよ…!おい、開けろよ!椎名だろっ!?椎名なんだろっ!?」
沙紀「フフ…そうよ。ア・タ・シ♪よく分かったじゃない?柴咲にしては、上出来よ♪」
え…沙紀、いつの間に…?
っていうか、どうして沙紀がやったってことになってるの…?
葵「おい椎名……!何でこんなことするんだよ!早く出せよっ…」
沙紀「あらぁ、ごめんなさいね♪あんたは、明日の朝まで出られないわ♪フフ……。福山とつるんで調子ノッてるみたいだったから、オ・シ・オ・キ♪」
葵「おっ…おい!待て……!椎名…!」
沙紀「……………あんたも、本当は裏切ってたりして〜?樹里のこと♪」
え……?
葵「はっ…!!?ちょっと…意味分かんない…!」
沙紀「ま、そんなことどーでもいっかぁ☆…んじゃ、バイバ〜イ♪」
グイッ
私の腕を、沙紀が軽く引っ張った。
沙紀「行くよ。」
沙紀は、小声で私に言うと、静かに私と一緒にトイレを出た。