第十三話:選択
<中休み>
葵「福山……。」
樹里「…ん?どうしたの?」
葵「どうしたの、じゃねーよ…。朝、どうしたんだよ?トイレ行ってから戻って来なかったじゃねぇか…。」
樹里「…なんでもないよ!柴咲さんだって、そこまで心配してくれなくてもいいんだから!」
葵「……。何か…椎名に言われたんだろ…?」
樹里「………。」
葵「福山がトイレ行った時、椎名もどっかに行ったんだ。…福山のところに行ったんだろ…?」
樹里「……うん…。」
葵「あおいも、言われた。あおいと福山が仲良くしていることが、椎名にとってはいいことらしいけど。どういう意味だか分かる?」
樹里「…ううん。」
葵「…あおいも、椎名の企んでいることに巻き込まれる可能性がある…ってことだろうね。」
樹里「……え…?」
それは…つまり…。
……柴咲さんも、沙紀のターゲットの一人ってこと…?
葵「あおいは…大丈夫だからな。絶対…いじめられたりしたって、福山を見捨てたりはしないから…。」
樹里「柴咲さん……。」
<次の日>
あれ…?柴咲さん……休み?
…何か…あったのかな……?
沙紀「ねぇ、樹里?」
ドクン…
樹里「…何?」
沙紀「んもぅ、冷たいんだからぁ。せっかく、チャンスをあげようと思ったのにぃ。」
樹里「…チャンス……?」
沙紀「そぅ、チャンス。樹里に、お願いがあるの。聞いてくれる?」
樹里「……。」
沙紀「…あのね、柴咲葵を、トイレに閉じ込めてほしいの。沙紀は、そんなことしたくないしぃ、樹里しかいないの。それにさぁ、やってくれたら、また沙紀と仲良くなってもいいわよ。」
樹里「そんなこと…っ」
沙紀「出来ないなら出来ないでいいわよ。そのかわり、ターゲットが、あんたの代わりに柴咲に向くことになっちゃうけどね…。それでもいいのなら、断っても結構よ。」
樹里「そんな…っ!卑怯よっ!」
沙紀「なーにがー?」
樹里「何って…あんた…っ」
沙紀「樹里はどっちを選ぶかなー?柴咲葵をトイレに閉じ込めるか、それとも、柴咲葵にターゲットを向かせるか…。」
…どっちを選んだって、柴咲さんがターゲットになるんじゃない…。
すべては、私次第なんだ…。