プロローグ:絶交
―――ねえ、沙紀…。高校生になってから、私に初めて話しかけてくれたのは、沙紀…あなただった。
沙紀なら、絶対にいい友達になれると思ってた…。それなのに、あなたは…。
* * *
3月28日
合格発表だ…。私、受かるかな?李子と同じ高校行けるのかな?
李子と高校生活を送れたら、どんなにいいだろ…。
335…。336…。339…342…!!
「嘘…。受かった…。李子…わ、私…受かった…!」
良かった…!李子と同じ高校行ける…
「樹里……。受かったんだ…良かったね…。」
「うん!李子と同じ高校行けるんだね!ほんとに良かっ…」
…待って。
364…365…367……ない…。
李子と同じ…高校…?
なんで…?李子が…落ちた?あの李子が…落ちた?
「りっ…李子…。受験表見して…。」
李子の受験番号は…366…。
「まさか…李子…」
「私が…落ちた?この私が?今まで勉強でつまづいたことのない私が…?」
…李子……。
「…樹里…帰ろ……。」
「う…うん…。」
李子が落ちた…。一緒の高校に行けると思ってたのに…。
私に勉強教えてくれたのは、李子だよ…?その李子が落ちるわけないじゃない…。
「樹里、私の家…来ない?」
「え…うん…李子がいいなら…。」
…李子…笑ってるけど、きっとすっごいショックなんだろうな…。李子の気持ちが痛いほど分かるから、私もすっごくつらい…。
「入って。」
李子の部屋…。相変わらずきれいに整理してるなぁ…。
「どうして!?」
…え……?
「どうしてなの!?なんで…樹里が受かって、私が落ちる…?」
李子は椅子を持ち上げた。
「ま…待って、李子…!落ち着いて…!」
「落ち着いていられるわけないじゃない!!樹里は受かったからそんな風にへらへら笑っていられるけど、少しは私の気持ちも考えてよ…!!」
…り、李子…?
「樹里。あんたって、バカなフリして私に頼るだけ頼って、最後は見捨てるのね!自分さえ受かればいいんでしょ!?」
「違っ…私は、ただ李子と同じ高校行きたくて…。」
「は?意味分かんない…。っていうか…『同じ高校行きたい』なんて…キモいのよ。ずーっと私にベッタリくっついて…ずっとウザかったんだよ…!!」
…え……?嘘、そんな…。私は李子のことが大好きで…でも、李子は…ずっと私のこと…ウザいって…思ってたの…?
「もう、二度とくっついてこないで…!あんたなんて、『李子大好き』とか言っといて、私が落ちても結局は平瀬高校行くんでしょ!?」
「…それはっ……。」
李子の言う通りだ…。私は…李子と同じ高校に行きたいんじゃ…ない?
「じゃあね…。良かったね、受かって…福山さん…。」
福山さん……?
「あんたなんか、いなければ良かったのよ…。」