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東方開拓都市イスカの民話集

魔法使いのクレビット

作者: 笹本廉太郎

イスカ南の塩湖からは豊富な塩が作られる。

湖で作られた塩は陸路を通って人工の多いイスカへと運ばれる。

ソルティロードと呼ばれるその商路には一ヶ所難所と呼ばれる峠がある。

塩湖より3日、イスカより7日のところにあるサガンの峠がそれである。


2000m級の山々の中にあってひとつだけぽっかりと落ち込んだ500mほどの山がサガン山であり、そこを越えるゆるやかな峠がサガンの峠である。


私が塩商団の護衛としてそこを通っていたのはもう10年も前だろうか。

ゆるやかなサガンの峠は、飛竜の縄張りの中にありテリトリーを通る商隊に対し激しい攻撃を仕掛けていた。

サガンの峠以外のルートは険しい山々を越える必要があり、日数的にも他のルートはとれなかった。


しかし、なんということだろう。

かねてより降っていた雨にぬかるんだ道に足をとられ、後続の馬車が脱輪。


それを好機と見たのか飛竜たちは一斉に襲いかかってきた。

護衛の冒険者たちは各々に武器を抜き、飛竜との戦いを繰り広げる。

商隊に集められた冒険者は皆一様に経験を積んだ兵だったが、状況と相手が悪かった。


大空から襲い来る飛竜にひとり、またひとりと膝をつき全線の決壊も時間の問題と思われたとき、草むらから人影が飛び出してきた。


飛び出した人影は杖を高々とかかげ、何やら聞きなれない言葉を紡ぐ。

あとから知ったことだが、古代語で閃光よ!という意味だったらしいのだが…

ともあれ、言葉を紡ぎ終わると彼は目をつぶれ!と叫び…

刹那、杖の先端からすさまじい光がほとばしる。

閃光に目をやられた飛竜たちは呻きをあげながら地上に落ちてくる。


突然の乱入者によって我々は助けられた。

落ちてきた飛竜をあらかた片付けると乱入者はクレビットと名乗ってきた。

どうやらイスカへ一人旅をしている最中にたまたまこのアクシデントに出くわしたらしい。


商隊の主は彼をいたく気に入ったらしく、我々の旅に一人の同行者が増えた。

それから暫く、後々にイスカいちの魔方使いと呼ばれる男との短い旅が始まった。

その後の魔法使いとの旅は大きな波乱もなく終わったのだが、彼の博識さや話はは我々の旅に新しい刺激を与えてくれた。


冒険者を引退した今でもかれとの交友は続いているんだ。

彼ももう野には出ていないものの、その知識と名声を生かし、尊敬される魔法使いとして弟子立達に慕われているらしい。ん


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