エピソードⅢ
『宇宙大戦 エピソードⅢ
〜MSCN・プラペディア再編〜』
『 MSCN(Meeting that Save the Chikyu&Ningen)議事録』
日時:クロブ暦52801年11月7日
14時~14時20分
場所:クロブ連邦ビル4階会議室A
出席者:サーシャナ・オモヒキ・ルナ・ルシン・カイテツ・ヨブ・キャットポッド・セトセラ・トューレ
計9名
【議題】
『ニンゲンは存続か絶滅か』
《発言記録》
サーシャナ:
それではこれより『ニンゲンは存続すべきか、絶滅すべきか』についての会議を開廷します。
まずはルナによる『サラの神託』を求めましょう。ルナ、よろしくお願いします
ルナ:
はい、ではサラの言葉を伝えます
…『ニンゲンは勝手に滅びる。しかし、それまでに沢山の種族をも滅ぼす。宇宙にはバランスがあり、ニンゲンはそのバランスを崩しかねない存在である』
…以上がサラの神託です。
一同:
おお〜っ
サーシャナ:
チキュウ専門家であるルシン。あなたはニンゲンをどう思いますか?
ルシン:
はい。確かにニンゲンは利己的です。自分たちの存続の為なら他の種族には目もくれず、まるで自分たちが宇宙の中心であるかのように振る舞います。しかし、ニンゲンも宇宙の中の歯車であるとも思います。ニンゲンにも生まれてきた理由があるはず。それに気付き、ニンゲンの中にもチキュウや他の種族を思いやる者も出てきています
サーシャナ:
ではルシンはニンゲン絶滅には反対ですか?
ルシン:
…僕にもよくわかりません
トゥーレ:
そのような種族は絶滅すべきだ!たかが1種族を絶滅させたとしても、チキュウの生態系バランスは崩れない
セトセラ:
いやっ、待てトゥーレ。ルシンの言うとおり、ニンゲンにも存続する権利はあろうぞ。わしはニンゲン絶滅には反対じゃ
トゥーレ:
そんな呑気な事を言ってる場合か?今も尚、チキュウからはたくさんのSOS思念が届いている。われわれの仲間も滅びるのだぞ!?
セトセラ:
ではニンゲンが担う運命とはなんぞや!?われわれはあくまで「つなぐ者」他の種族を絶滅させるような高慢な種族ではない。
カイテツ:
俺もじぃさんに賛成だ。裁くのは俺たちじゃない。俺たちが他の種族を滅ぼすなんてあっちゃならねぇ。それこそニンゲンと同じじゃねぇか
ヨブ:
まあまあ、サラによればニンゲンは勝手に滅びるとある。ほって置いても良いのではないか?
トゥーレ:
では、それまで指をくわえて見ておけと言う事か?
ヨブ:
チキュウとニンゲンの運命がそうであるなら、なるようになるだけじゃ
トゥーレ:
そんなに待っておれん!今すぐ絶滅に向かうべきだ!
カイテツ:
だから!それはまだ早計だって言ってんじゃねぇか!
サーシャナ:
皆さん、落ち着いて。では多数決で決めましょう。まずは絶滅に反対の方、挙手お願いします
キャットポッド:
ちょ、ちょっと待ってよ。さっきから聞いてたらなんかわかんなくなっちゃったわ。つまりさ、ニンゲンがたくさん増えたからみんなに迷惑かけてるって事よね?ニンゲン、減らしちゃえば?
ヨブ:
ニンゲンを減らす…間引きか!
トゥーレ:
なるほど、間引きか…確かにそれだとニンゲンを滅ぼさなくとも他の種族をも救えそうだな
セトセラ:
うむ、「つなぐ者」としての役目も果たせそうじゃの
サーシャナ:
なかなかいい意見が出たようですね。ルシンはどう思いますか?
ルシン:
間引く事は多少気が咎めますが、チキュウやニンゲン、他の種族の為には一番いい方法であると思います
サーシャナ:
では、この『ニンゲン間引き案』に反対の方、挙手お願いします
一同:
…………
ルナ:
皆さん、賛成のようですね
サーシャナ:
では、「ニンゲンを間引く」事で話を進めます。ルシン、今チキュウには何匹のニンゲンがいるのかしら?
ルシン:
およそ75億ほどです
サーシャナ:
では、その75億を何匹まで減らせばよいのでしょう?オモヒキ。
オモヒキ:
わしの計算では75億を1000匹以下まで減らせばチキュウのバランスは保たれると出ておる。
キャットポッド:
75億を1000!?あらら、大変ね
トゥーレ:
そんなこと簡単だ。ニンゲン用の生物ガスをチキュウにばら撒けば75億なんか2.3日で減らせる
ルシン:
それだとニンゲン全部が死滅してしまう可能性があります
ヨブ:
うむ、これは人海戦術しかないの。少々骨が折れるがの。
カイテツ:
人海戦術かぁ…結構な作戦だな
サーシャナ:
それでは「人海戦術による間引き」によりニンゲンを減らす事にします
カイテツ:
とにかくは手当たり次第に間引けばいいのか?
セトセラ:
ニンゲンは「生かさず殺さず」じゃな。だとすれば、種の繁栄も考えねばなるまい。ある程度はニンゲンの住む範囲を限定したほうがよさそうじゃの。
ルシン:
ニンゲンには体毛がありません。だから、極寒の地や熱帯の環境には適応しにくいと思います
キャットポッド:
あたし、寒いのも暑いのもキライ
オモヒキ:
では、チキュウの赤道に近く、ある程度温暖な地域に生息させればよかろう。その地域に1000匹残せばよい
ルナ:
でも…本当にそれだけでいいんでしょうか?ニンゲンはまた増えるんじゃないですか?
オモヒキ:
それには心配およばん。ニンゲンの生息範囲に2.3匹のマンイーターを放てばよい。マンイーターの捕食とニンゲンの繁殖のスピードを考えれば、それで丁度バランスが保たれ、ニンゲンの数は1000匹を超えることはない
トゥーレ:
なるほど
ルナ:
もし、ニンゲンが団結し、マンイーターを倒してしまったら?ニンゲンはなかなか賢いと聞きます
オモヒキ:
では、残したニンゲン1000匹の脳の前頭葉を削ってしまえばよい。創造力・行動力が無くなり、団結してマンイーターを倒そうなんぞ考えなくなる。
ルナ:
それではチキュウには知的生命体はいなくなってしまいます
オモヒキ:
それも大丈夫じゃ。ルシン、ニンゲンに取って代わる知的生物はチキュウにいるのかな?
ルシン:
ニンゲンに取って代わる…うーん…イルカですね
オモヒキ:
では、ニンゲンに変わってチキュウの未来を担うのはイルカでいいのではないか。
ルシン:
でも、イルカの生息地は海です
オモヒキ:
イルカの進化に関しては我々が少し手を貸してやればいいのではないか?まずは陸上生活に対応させねばなるまい。あとは進化のままに運命に委ねようではないか
ヨブ:
それもチキュウの運命かもしれんな
サーシャナ:
かなり精査出来ましたね。これまでの部分で何か意見がありますか?
一同:
……………
サーシャナ:
特に無いようですので、以上が我々議会の決定事項とし、早速、着手していきましょう。ルシン、あなたがこの作戦のリーダーとなり、陣頭指揮を執って下さい
ルシン:
わかりました
サーシャナ:
そして、ルシンの参謀として、カイテツ、よろしくお願いします。
カイテツ:
任しとけ!
サーシャナ:
カイテツはニンゲンを間引く為のボランティアを募って下さい
カイテツ:
えっ!?俺?…めんどくせぇなぁ
サーシャナ:
オモヒキは間引くのに必要な人数と必要期間を計算し、早急にルシンとカイテツに伝えてあげて下さい
オモヒキ:
かしこまりました
サーシャナ:
ではこれにてより『ニンゲンは存続すべきか、絶滅すべきか』の会議は閉廷します。みなさん、長時間ご苦労様でした
《決定事項》
・ボランティアの方々とニンゲンの数を75億から1000匹に減らす
・ニンゲンは赤道近くの比較的温暖な地域に生息させる
・ニンゲン1000匹の前頭葉を削り、知能を減少させる
・チキュウにマンイーターを放つ
・ニンゲンに取って代わる知的生物をイルカにする
・イルカには進化の手助けをし、陸上生活に対応させる
以上 』
この議事録を読み終えた宇宙百科事典『Plapedia』の編者シモンは慌てて飛び起きた。
急いでプラペディアを再編せねばならない
宇宙百科事典『Plapedia』
加筆・修正
【ニンゲン】
分類:霊長類サル目
科属:ヒト亜科
種族:ヒト
生息地:チキュウの赤道間近、比較的温暖な地域
特徴:全長は約1.5m。薄い橙色の皮膚に覆われている。
体毛が薄く、極寒や熱帯には弱い為、赤道に近い、比較的温暖な地域に生息する。
雑食であり、飛行機と椅子以外はなんでも食べる。また、火を使える種族である
かつて、会話による仲間同士のコミュニケーションが可能であったが、前頭葉の一部を削り取られ、現在は言葉を発することは出来ても、意欲、創造性に欠け、会話は困難な状況である。
一時は文明を築き、チキュウの未来を担う種族として繁栄していたが衰退した。非常に利己的であり傲慢である。また快楽を目的として性交する事もある。
【イルカ】
分類:哺乳綱鯨偶蹄目ハクジラ亜目
科属:マイルカ科
種族:イルカ
生息地:チキュウの北極圏及び南極を除く海に生息
特徴:
体長約3m。全身は灰色。体形は紡錘状で、背に鎌形あるいは三角形の背びれ、後部に尾びれを有する
多くは魚類や頭足類などを捕食する肉食である
頭頂部に呼吸のための独立した噴気孔をもち、そこから肺呼吸する。
また、噴気孔付近から出すクリック音を使って仲間同士でコミュニケーションする。
ニンゲンに代わり、チキュウの未来を担う種族として注目を集めている。
惑星クロブでは、陸上での生活の可能を目指し、交配を重ね、二足歩行イルカの研究・開発が行われている。
【マンイーター】
分類:節足動物
科属:巨大昆虫属
種族:ジャイアント・インセクト種
生息地:チキュウの森林、山岳、草原など、ある程度温暖な地域
特徴:
チキュウの環境に合わせて改良されたB.O.W.(生物兵器)
森林、山岳、草原など、ある程度温暖な環境であればどこにでも適応する
体長は2〜3m。全身は真っ白な毛に覆われている
アリやハチのような社会性を持ち、ワイヤーのようにより合わせた糸によって手足を動かすことができ、二足歩行で動き回る
凶暴な肉食性で主にニンゲンを捕食する
最大の特徴は巨大な牙と猛毒。
跳躍力もかなりあり、最大で5mほど跳ねることが出来る。
マンイーターは『可食出来ない部位はない』と言われている。目玉はゼラチン質で美容効果があり、触角は煎じて飲めば糖尿病予防の効果がある。また毒には砂糖のような甘みがあり飲食物に混ぜればフルーティーな香りが口内いっぱいに広がる
身は白身の魚に似ており、食べると淡白で鳥のササミに似た味がする。栄養価も高く、美味である
人懐こい性格であり、飼い馴らせれば『おすわり』等の芸も覚え、一緒に眠ったりする事も出来る
今、マンイーターの毛をお守りして身につけておくのが女子高生の間で最も人気があり、一大ムーブメントとなっている。
「ふーっ」
再編完了
ーこれでよし
シモンは再び寝床についた
宇宙大戦 エピソードⅢ
〜MSCN・プラペディア再編〜完