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落胆
再び戻ると
さっき作ったばかりのテントが
無残に壊れているのが見えた。
そしてそこにあの大きな「生き物」の姿はなくなっていた。
あぁ、あの子はどこかに
いってしまったのかと残念に思うと同時に動けるようになったんだなと安心もした。
「名前も聞けなかったけど、元気になったんならいいか!」
「はぁ、でも不思議な出会いから冒険が始まりそうだったのになぁ」
諦めきれない気持ちもやっぱりあったけど、一般人はここまで。
あとは幸運の持ち主や物語の主人公の出番だな。と思いながら周辺の片付けをする。ダンボールやシートをまとめておく。
「今日は、もう遅いし一回じゃ持ち帰れないから明日の仕事終わりにまた来て回収しよう。」
まだ諦めきれない気持ちに気付かないふりをして、何度も振り返りながら真琴はゆっくりと家路についた。
明日も朝から仕事だ。
ベットに入ると疲れからか、考える暇もなくすぐに寝ていた。