way?
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バラバラと鳴り響くローター音。ヘリから見下ろす夜の街は深い闇に呑み込まれている。影と影との僅かなコントラスト。まるでそれそのものが大きな一つの生き物のようにさえ見えた。
「本当に……いつ見てもうんざりするな」
操縦席に座る男が辟易して呟く。左胸にはRepと刻印されたネームプレート。階級章は士長だった。
「なぁに。後ろの荷物を降ろせばあとはお楽しみの時間だろ?」
応えたのは隣のシートにもたれる副操縦士だった。ネームプレートにはKevinの文字。階級章は軍曹だ。
「!? ばっ、やめてください! 軍曹!!」
罵声をあげそうになるのを辛うじて堪え、レプ士長は上官を横目に睨む。ケビン軍曹の右手が彼の股間に伸びていた。
「おいおい。二人きりの時は昔みたいにケビンて呼ぶ約束だろ? それにほら。もうこんなになってるじゃん」
「そ、それは、違っ……そ、それより、奴が見てます……んぅぅっ」
レプ士長の肩がびくんと跳ねるのと同時に機体が大きく揺れる。紅潮した顔と荒い吐息。機体の制御を保とうとする彼の目には涙が滲んでいる。
「気にすんなよ。どうせゾンビと戦うためだけに造られた人形だ。俺らが何をしてるかなんてわかっちゃいないさ」
「だ、だからって……はぁぅっ!!」
ガクン。もう一度機体が大きく撓む。やりにくい。装備の点検中に取り落とした愛銃HK45を拾いあげ、荷物扱いされた女は二人をみた。
ケビン軍曹の言う通り、彼女は二人のしている行為がなんなのかを理解してはいなかった。しかし、何も感じてないわけではない。嫌悪感が肌を粟立てていた。
あれは……撃ってもいいんだろうか?
操縦士が襲われていると判断した女はゆっくりとHK45の照準をケビン軍曹のこめかみにポイントする。
あとは引金をひくだけだった。




