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4 ???の事情。

 読者の皆様大変御待たせ致しました。またPCの調子が少し改善したので投稿致しました。


 さて、今回少々残酷な描写が間接的に有ると思います。そして今回は隆司君視点ではないです。それでは本編をどぞ!

……………………(???視点)……………………


「……で、有るか。」


「は。」


「なら、引き続き接触を試みよ。」


「仰せのままに。」


 そう言うや否や、影の物達は消えた。


………………………………………………………


 廊下を進んだ先には、外見だけは美しい礼拝堂がある。


 我が国の誇る美しい光沢を持った大理石がふんだんに使われ、窓に至っては一昔前の有る亡国が遺した“ガラス細工”と呼ばれる技術で出来たステンドグラスだ。


 一体幾ら掛かった事やら。


 そして我が国は表向き教会を国教としているが、実際は精霊信仰。誰も礼拝堂等使わない。


 故に礼拝堂の建築費と維持費。国民が汗水垂らして働いた金から徴収した税金を使っていると考えるだけで……虫唾が走る。


—奴等は何も我が国にもたらさない。只、搾取するのみ。


—何が“光の救い”だ。


 どうせ税金を使うなら、孤児院の維持費や国民の教育費、公共施設の充実化等、国民に直接では無いにしろ還元出来る形が望ましいに決まっている。だが、それを許さない連中……


—実に忌々しい。


 更に………奴等は本当の意味では、“我々”の敵だ。


「閣下、報告ですが今代のホウゼンクラウス辺境伯は“我々側”の様です。」


「そうか…朗報だな。」


「ですが、それ以外は何も……」


「影の者を動かしたが、難しそうか?」


「誠の申し訳御座いませんが、実力が及びません。」


「……その方が良いのかも知れないな…」


「……そうですね…」


 そう言うや否や、俺直属の“草の者”はバサリと羽を広げた。


「…おい。」


「……閣下、非常に申し上げにくい事なのですが、角が…」


 俺は苦笑しながら


「…まあ、そもそも連中は”ここ”に気付かないからな。」


と言うと、部下は嬉しげな表情をして……本来の姿に戻った。


「しかし…連中も何故我々の種族を“普人族”だと信じ込んで疑わないのだろうな?少し考えれば分かる事だろうに。」


「それは閣下が最初に光の教会へ国ごと下ると宣言なされたからでしょうね……閣下直属の部下となって私はまだ短いですが、先見の明にはここ数百年程驚かされております。」


 ニヤリと口角が上がるのが分かった。


「それもあるだろうが…連中は所詮下賎で無知な犬共って事だ。いや、犬に失礼か…犬の方が“誰が上”かどうか分かっている分賢い。」


「同感ですな……」


 部下の眼は怪しげな紫色の光を一瞬だけ放った……まあ随分堪っているのだろう。


 …そう、今現在この国で“元の種族”に戻れるのは、ここ“礼拝堂”の地下のみとなっている。ちなみに教会の連中は気付いていない…俺達のちょっとした意表返しだし、バレない様に念入りに細工したからな。


 さて、かの“ホウゼンクラウス伯”が復活したとなると、反撃は間近だと言う事だな……争うは嫌いだが、今回は寧ろ楽しみだ。


—大体五月蝿い“羽虫”を潰す事を“争い”等と呼ぶ者は居るだろうか?


 部下と共に元の姿となり、適当に教会の連中の眼を盗んでさっさと自分達の持ち場へと戻った。


……………………………………………



『………臣民達よ、苦労を掛けて済まぬ。だが、全て元の長閑な国へと戻す事を確約する。だからこそ…見付かって死ぬな。』


 これは俺が光の教会を国教とした時、教会の連中が居ない間に行った演説だ。


 直ぐに国民の溜飲が下がったのは演説だけではなく、妹の件が有ったからだろう。だが、皆が逆に俺の事を励ましてくれた事は一生忘れない事だと言える…そして、それが俺の遣る気の元となっている事も確かだ。


 ちなみに連中には通じない我々特有の言語を使ったのでまあ、居たとしても知られる事は無いだろう。


 内通者はまず有り得ない……普人族以外の種族を排斥する思想の持ち主へ要請族、魔族、龍族等が答えるはずが無かろう。結局悲惨な末路が目に見えているからな。


 ………例外として人質を盾にして脅す事は有るだろうが、普人族に捕まった奴等はまず無事ではないと見ていい事から大概諦めるものだ…俺の妹もまた………


 いつの間にか握った手から血が溢れていたが…直ぐに塞がった。


—妹はこの能力のせいで……


 妹が捕まり、次に発見された時には廃人になっていた。俺達“機種族”の有る部族の特性である『再生』。これをみた普人族がサディスティックな男へと高額で売り払ったらしい。


 身体に傷1つない妹の精神は傷だらけになり、再生は…今の所不可能だろう。貞操は奪われていなかったが、心が完全に虚ろになっていたのだ。


 今も城の地下で隠れて生きているが…死んでいるも同然だ。


 俺は普人族全員を恨んでは居ない。当時の俺が弱く、妹1人守れなかった事にも原因が有る。だがな、そんな事になった元凶である教会を恨まない訳が無い。


 絶対潰す。覚悟しろ。


 さて。引き続きホウゼンクラウス伯については監視させ、出来れば接触させよう…光の教会の手が回る前に此方の陣営の存在を知ってもらう必要が有る。


 それに……報告から多分まだ人化が完全に出来ていないだろうからその辺りも訓練付けてやらないといけないだろう。


 今は辛抱。だが、それももう直ぐ終わる……


 ジュールよ、もう直ぐこの愚かな兄もお前の敵を取る。見ていてくれ。


 次回も宜しく御願い致します(_ _)

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