シズネの過去 上
「おーい、大丈夫か。一人で全部やらせて……悪かったな、アルト」
ノックもせずに船室に戻った俺は、アルトに謝ろうとしてその光景に目を奪われた。
疲れて艶を失っているように見えた金髪は邪魔にならない様に頭の上で纏められ、いつも見ることが出来ないうなじが露わになっている。他にも背中から腰のラインにかけての芸術的な曲線を描き、前に目を向けてみれば小さいながらも形よく盛り上がった胸のふくらみと引き締まった健康的な腹部が見える。
まあ、あれだ。要するにシズネは半裸だ。こっちを睨んでるアルトの手に布が握られている所を見ると、なるほど、汗を拭こうとしているのか。
ああ、今の状態がどうなっているのか分かってよかった。シズネが実は露出の気があるとか、女の子が好きでアルトが襲おうとしているとかじゃなくてよかった。
俺は再度、シズネをしっかりと確認し、頷いた。
「よし」
「よし、じゃないわよ。出てけ! ブロウ」
シズネの叫びと共に吹き付けられた強力な風によって俺は壁に叩きつけられた。
そのまま風の勢いで扉が閉じる。
「ははは、元気そうで何より」
俺はシズネの姿を脳内メモリに永久保存することにした。
少ししたらお許しが出て中に入れてもらえた。説教付きで。
本当に二人の視線が冷たい。アルトにまでそんな目を向けられるなんて。
でもラッキースケベ、グッジョブ。
「あんた、本当に反省してんでしょうね」
心を読まれた!
ねめつけるようにこっちを見てくるシズネから逃げるように視線を向けると、そっちにはいい笑顔をしたアルトがいる。
「サトルさん。見ていいのは私のだけですよ」
ははは、怖い。見ていいとか何の事かな。
前門のシズネ、後門のアルト。どうにかそんな状態を抜け出さないと。
何か話をすり替えないと。
きょろきょろと目を動かしていて、シズネの髪の毛が目についた。
「そういえば、今は髪降ろしてるんだな。さっきみたいに後ろで結ってるのも似合ってたぞ」
「あんたに似合ってるとか言われても嬉しくないのよ」
そう言いながら少し顔を赤らめる。
作戦は成功だ。
「アルトにでも結ってもらったのか?」
「いえ、私じゃなくてシズネさんが自分でやったんです。シズネさん、とっても手が器用なんですから。縫い物とかも得意なんですよ」
「ア、アルト! それはあんまり言わないで」
慌てた様子で止めに入った。
アルトもぱっと手で口を押さえる。
「どういうことだ。隠しごとか」
二人の慌てる様が怪しい。
少しの間睨みつけると、シズネは覚悟を決めたのかゆっくりと口を開いた。
「ああ、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」
「も、もう説教はこりごりだぞ」
「そんな話しないわよ。ただ……隠し事はしたくないだけよ」
おどけた俺の言葉につっかかることもせず、見たことがないほど大人しい雰囲気だ。
そのシズネの様子を心配してか、どうしましょうかとアルトがこちらを向く。その頭を優しく撫でて、俺はシズネに向き直った。
前のめりになったせいか備え付けの椅子がギシッと音を立てる。
「よくわかんないけど、それは大事な話なんだな」
確認として聞くと、シズネはしっかりと首を縦に振った。
「ああ、これからするのは、私についての重要な話だ」
真面目な顔をするシズネを俺は見つめた。
「分かった、聞こう。アルトも良いな」
「はい、大丈夫です、サトルさん。私も聞きたいですから」
その言葉を聞いて、シズネはふぅと一息ついた。そして、語りだす。
「これは私の生まれについての話。とある貴族の長姉として私は生まれたんだ」
俺はそのどこか苦しそうな声に耳を傾けた。
魔皇国ルートルガには四大貴族と呼ばれる貴族が存在する。
全ての魔術を極めたとされる魔皇に基本魔術を伝授したとする四人の偉大なる魔術師を祖とする一族である。各々が火、水、土、雷を象徴し、国内に大きな派閥を形成している。時には魔皇を超える権力を得たこともある、ルートルガの権力者の一角である。
シズネが生まれたのはその中でも水を司るラピスラズリの一族だった。
とある広間に人が集まっていた。多くは大人であるが、数人だけ年端もいかない少年、少女が混じってる。
「お母様……」
不安そうな声を上げたのはその幼い少女の内の一人であったシズネ。綺麗な透き通るような金髪を赤いリボンで結び、派手になりすぎずそれでいて子供らしさと貴族の華やかさを両立させたピンクのドレスを纏っている。緊張しているのか顔は強張っている。今の不敵さとは縁のない、可愛らしい年相応の少女らしさであった。
「心配しなくてもいいのですよ。あなたはラピスラズリ一族の娘。必ずや智の女神様のご眷属から加護を受けられますわ」
心配そうなシズネを慰めたのはシズネと同じく背を流れる金髪が美しい女性。シズネの母親である、アルドラ・カスカータ・ラピスラズリだった。貴族らしいドレスを着ながらも、その手に填められた魔力を感じる指輪や身のこなしから只者ではないことが伝わってくる。それもそのはずで、彼女こそ当代のラピスラズリ家当主なのであった。
そしてよく参列者を見てみればその誰もが杖や剣、指輪といった魔法発動用の媒介となる物を持っている。そして広間の中心には大きな魔法陣が一つ描かれていた。
ここは四貴族の間で加護の間と呼ばれる部屋。四貴族で生まれた子供に確実に智の精霊から加護を得るために用意された儀式の間である。毎年五歳を迎えた少年少女を集め、一人一人に精霊を降ろす。この儀式によって四貴族は自分たちの魔法の力を保ってきたのである。
逆に言えば、ここで智の精霊の加護を得られなかったものは、その時点で役立たずの烙印を押され、ほとんどの者が家から放逐されるのである。
おお、という感嘆の声と共に、魔法陣が強く赤色に光った。そして中央に立っていた少年が喜びの声を上げる。
「どうやら、ルビー家分家の御子は中級精霊から加護を頂けたようですね。さあ、シズネスカ。魔法陣の真ん中に立ちなさい。今からあなたに見合った加護を頂くための儀式を行います」
「は、はい、お母様。私、頑張ります」
私は水の魔法の名家、ラピスラズリ家の長女。『マーメイド』の二つ名を待つお母様の娘。絶対に上級精霊から加護を頂くの。
シズネはそう祈りながら、どうどうと魔法陣の真ん中まで歩み出た。
ここでおどおどした態度を見せようものなら、他の四貴族家の者たちに馬鹿にされてしまう。
五歳ながらにシズネは貴族としての思考を自然と行っていた。
それでも気になって母親の方を一瞬見てしまったけれど、それも自分を見つめる優しい瞳に勇気を得てぐっと顔を上げる。
「私は、ラピスラズリ家が長女、シズネスカ・ラピスラズリと申します。皆様、儀式をよろしくお願いいたします」
つっかえそうになりながらもしっかりとした態度で臨むその姿に、周りの者は感心した目を向けている。
シズネの前に一人の老人が進み出た。この広間の管理を任された者であり、この儀式を行う中心の人物でもある。
「それではシズネスカ嬢。心の中で精霊を想い、祈ってください」
「は、はい」
その言葉にシズネが強く頷くと、老人は優しく笑いかける。
「ほっほっほ、緊張せんでもよい。痛いものではないからの」
「あ、あう。……はい」
シズネは笑われてしまった事を恥ずかしく思い顔を赤らめた。
「それでは儀式を始める」
空気が切り替わった。まだ魔法を使う事の出来ないシズネにも、雰囲気が変わったことがすぐに分かった。
ごくりと、つばを飲み込む。震えそうになる手をぎゅっと握りしめる。
大丈夫、私なら大丈夫。精霊さま、私に加護を。
シズネが祈りだすのに合わせたように、老人の口から詠唱がもれる。
「我らが智の女神様にかしこみかしこみ申す。我ら広大なる魔の術を行使し、智の女神様の眷属なりし古の魔術師の末裔なり。故にこの眼、口、手、足、体の全ては女神様に奉げる贄なり。贄なる我々に祝福を。大いなる加護を我らが御子に授けたまえ。コール・スピリット」
「「「「「コール・スピリット」」」」」
詠唱に合わせて、周りの者たちも声を上げる。
そして魔法陣が光を発した。
「これは……」
「上級精霊の光か……」
先ほどの少年の時よりよほど明るい光。薄暗くされている広間がいきなり昼間ほどの明るさにまで照らし出される。
そして一陣の風と共に、光は消え去った。
誰も声を発さない。沈黙が場を支配する。
「お母様、やりました。上級精霊の加護を――」
ぱしんっ!
その沈黙を最初に破ったのは興奮するシズネの声と母親へと向かっていく足音。そして続いて響き渡ったのは、アルドラの手が抱きつことしたシズネの腕を強く払いのけた音だった。
「お、おか、お母、様」
何が起きたか分からず、すがるように見つめた母親の目に優しさの光は宿っていなかった。
「よくも我が家に恥をかかせてくれましたね、シズネスカ。あなたなど、私の娘ではありません」
それはシズネが初めて聞いた、母親の冷たい言葉だった。
訳も分からず周りを見渡すが、その誰もが冷たい目で自分を見下ろす。
この瞬間から、シズネスカ・ラピスラズリの孤独は始まった。
「私はシズネスカ・ラピスラズリですよ。私にこのような所で暮らせというのですか!」
あの儀式の後、母親の冷たい態度に茫然としていたシズネは、今日からはここがお前の部屋だと独房のような部屋に連れてこられた。
五歳とは思えぬしっかりとした叫びをあげるものの、昨日までの優しい使用人はそこにおらず、着替えだと渡された粗末な服と共に無造作に押し込められてしまう。
出しなさいと泣きながら叫んでも、扉を開ける者は誰もいない。
まずドレスを着替えようとメイドを呼ぶが、来る気配はない。
一人で着替えたことなど甘やかされて育ったシズネにあるはずなどなく、よく考えれば粗末な服に着替える気になどならなかった。
「寝よう。大丈夫、明日になればお母様も誤解を解いてくださるはず」
いつも使っていたベッドの柔らかさとは比べ物にならない硬さに泣きそうになりながら、これは悪い夢なのだと呟きながら目を閉じた。
「お母様……」
結局母を想い涙を流すシズネが眠ることが出来たのは、もう夜が明けるころだった。
儀式から二年。シズネスカはラピスラズリ家でいない者として扱われていた。
何故そんな風に扱われるのか当時は分からなくとも、少し学べば分かる事だった。
四貴族は風の魔法使いも蔑視している。基本的な魔術特性の一つでありながら、魔皇の呼び出しに応じなかった裏切り者として。であるから、風の精霊から加護を受けた者はその家の恥さらし者として扱われるのだ。
シズネスカは臆病者の風使い。四貴族になれなかったはみ出し者。
そう陰で言われていることはシズネも知っていた。
「駄目ね。これにも精霊の加護を入れ替える方法は載っていないわ」
そのことを知った日から、シズネは家にある魔法書を集めた書庫に入り浸るようになっていた。精霊を変える方法があるのではないかと考えたからだ。
「別に上級じゃなくていい。中級でも下級でもいい。風、風以外の精霊なら何でもいいんだ」
毎日、何冊も何冊も魔法書を読むが、そんな方法が記載された物はなかった。
たった二年前まではこの家はシズネにとって楽園だった。優しくて強い母親。よく頭を撫でてくれた父親。毎日年齢の近い分家の者たちが来ては一緒に遊び、婆やが焼いてくれたケーキやクッキーを食べる。生まれたばかりの妹を可愛がり、一緒に昼寝をしたり、泣いているのをあやしてお姉さんぶってみたり。家族以外にも使用人たちが優しくしてくれた。メイド長のサーラは怒ると怖いけど、怖い夢を見た夜には添い寝をしてくれた。若いメイドのアンナは本を読んでくれたし、家庭教師だったカインは厳しかったけど根気よく分かりやすく文字の読み書きや計算を教えてくれた。
それはもう過去の話だ。
昔使っていた可愛らしい部屋は妹のシルヴィアが使っている。
シズネが今住んでいる使用人用、それもまるで独房のように狭い部屋だ。木の板の上に申し訳程度に布団が乗せられたような小さなベッドを置いてしまえば、それ以外には家具を置くこともままならない。
持ち物は粗末な服が数点。最初に着ていたドレスは何日も来ている内に汚れて臭いを発し、泣く泣く引きちぎるようにして脱いだ。それ以外方法が分からなかった。
湯浴みがしたいといっても誰も用意はしてくれない。
新しい服も用意してはくれない。
ご飯だって持って来てはくれない。
最初の一週間で待っていてはだめだと気付き、次の一か月は使用人を当てにしてはいけないと学んだ。
自分でやれることは自分でやらなくてはいけないのだ。
井戸を見つけると、使用人がいない夜の間だけ体を清めることが出来るようになった。
ボロボロになった服を直して使うという事を覚えた。
料理人に頼み込んで使用人よりもさらにランクは低い、最初見た時は残飯かと思ったようなものでもご飯を朝と夜にもらえるようになった。
夏の夜は暑く寝苦しいという事を、冬に水浴びをすれば死ぬほど寒い事を知った。
「それが魔術を覚えるきっかけになったというのだから……」
びくびくしながら井戸を使わなくても済むように水魔法を、冬の寒さから暖を取るために火魔法を。明りなんて上等なものがない部屋でも勉強するために雷魔法で光を出した。
時間があれば書庫に行って本を読み、他の時間は全て魔術の練習に費やす。
誰にも顧みられることのない中で、シズネは水魔法の中級を軽く扱えるだけのレベルに達していた。
独学でそれも実質一年ほどで、自分に適性がないとされる魔法を中級まで簡単に扱うことが出来るというその異常性。本来なら天才と言われ、騒がれていてもおかしくないほどの天稟だ。
その発現が虐げられたが故だというのが、何とも皮肉的ではあったが。
「この程度じゃお母様もお父様も私を認めてはくれない。ラピスラズリ家の一員として恥じない姿にならなければ」
家族に認められる。それがシズネの、まだたった七歳の少女の望みだった。
また一年がたった。
今年はちょうどシズネの妹であるシルヴィアの儀式の年である。
そしてシズネが母親の前で自分の力を認めてもらおうと画策していたタイミングでもあった。
「儀式の日の前日は必ず家で過ごす決まりになっている。戦争や何かがない限り、この決まりは絶対だ。今日ならいつもお忙しいお母様に会えるはず」
隅に追いやられてすぐのころは何度母親に会いに行こうとしても断られていた。
それでもシズネは信じていた。
母親は自分ことを嫌ったわけではない。四貴族の習慣に従わざるを得ないだけだと。
自分の力さえ認めさせることが出来れば、きっと元の関係に戻ることが出来るはずだと。
傍から見れば淡い希望でしかなかったが、いくら天才とは言え今だ八歳の少女に現実を直視することなどできなかった。
そしてシズネは遂に母親の元へと行く。
「風よ、我に答えよ。一陣の風、我を包み、我を隠せ。シーク」
それは風魔法の一つで、体を風で包み光の屈折で自分の姿を消す術。中級レベルの魔術だった。
今までもこの状態で外に出たことがあったため、その要領で使用人たちの目から逃れ、昔自分も暮らしていた本館の家族の部屋へと向かう。
見慣れた調度品の数々の中に、新たに増えている物を見てシズネは胸にチクリと痛みがさした。
それは奥に入るとより強くなり、懐かしい声が聞こえてきた辺りで息が出来なくなるほどだった。
(落ち着いて、私)
シズネはゆっくりと呼吸をする。そして楽しそうな声がする部屋の戸を少しだけ開けると、中をのぞきこんだ。
「シルヴィー、そのドレスよく似合ってるわ」
「本当! ああ、明日が楽しみ。私もお母様みたいに強くて、綺麗な魔術師になるの」
そこには三年前の自分がいた。
母親に疎まれることを知らず、何の不自由もなくただ明日を楽しみにしていた頃の自分が。
その光景を見るのが耐えられなかったシズネは魔術を解くと、勢いよく扉を開けて中に入った。
「お母様! どうか私を認めてください」
そう叫ぶと、詠唱を始める。
「我、精霊に願い奉る。大河は別れて小川となり、小川は巨大なる蛇となり、九匹の蛇よ顕現せよ。ウォータースネーク・ナイン」
その瞬間シズネの背中から水で生み出された九匹の大蛇が姿を現した。一匹一匹がシズネを丸呑みにするであろう大きさである。
それは中級レベルの魔術の中でも高難易度のものだった。この魔術は大量の水の生成、蛇の形に固定する造形、巧みに動かす操作の三つの手順が必要であり、その数が増せば増すほど難易度はぐっと上昇する。
いくら上級精霊の加護を得ているからと言って、八歳の少女が出来るようなことではなかった。
シズネはこれで認めてもらえる。元通り家族になれる。そう期待する目を母親に向けた。
だが期待はすぐ裏切られる。
母親はすぐさまシルヴィアを抱え込むと、一瞬で水の三重障壁を張る。流石は水のラピスラズリ家当主というべき、一流の魔術師の動きだった。
「シズネスカ。いくら自分の境遇を恨むからといって、シルヴィーを、自分の妹を狙うとは何事ですか。風精霊の加護を受けて恥をさらしただけでも許し難いというのに」
「ち、ちが……」
私はただ水魔法がこれだけ使えると認めて欲しくて、ラピスラズリ家の一員だと認めて欲しくて、ただそれだけで……。
別に危害を加えようとしたわけじゃないの。
その言葉はシズネの口から出てくることはなかった。
母親の冷たくこちらを見る目だけではない。妹のまるで恐ろしいものでも見るかのような目に、耐えられなくなったからだ。
「出て行きなさい。我がラピスラズリ家にお前のようなできそこないは必要ありません!」
その一言が完全にシズネの心を折った。
昔のように暮らしたい。ただそれだけのために三年間を魔術に費やした少女に、奇跡など起きはしなかった。
「……ごめんなさい。こんな魔法使わないから」
バシャリと音がして大蛇は姿を消した。
ゆっくりと、一歩一歩シズネは母と妹の元に近づいていく。
「お母様。お願い、そこに私を入れて」
薄くしかし強固な障壁に遮られて、それでもどうにか近づこうと小さな拳を叩きつける。
それに対する母の答えは、水の刃だった。
威嚇として放たれたそれは、シズネの頬を薄く切り裂き血を流させる。
「風の精霊から加護を与えられたお前など」
「あ、や、やめて」
聞きたくないと押さえる耳の上から、その声は容赦なく浸透してきた。
「お前など私の娘ではない!」
ここで一旦シズネの記憶は途絶える。
次に目を覚ましたのは屋敷の外。
体中ボロボロの状態でスラムにほど近いゴミ捨て場に捨てられていた。
そして最初の記憶は自分を覗き込んでくる一対の瞳。
「おい、おまえこんなところで何してんの」
そこでシズネは四貴族という閉じた世界から出て、新しい世界で新たな出会いをした。




