死闘の始まり
「小わっぱどもが!大人しく我にひれ伏せよ。それとも、地獄を見たいか?」
ジュラリスはその巨体を震わせ、灼熱の炎を吐き出した。
辺りは、閃光と共に炎に包まれた。
しかし、イセリナ達は、ジュラリスの放った炎が身体を捉えるより一瞬早く、地面を蹴り上げ跳躍し、最悪の事態を免れた。
すかざず、ウッディは水の魔法を放ち、炎は何もなかったかのように鎮火した。
ジュラリスは欺瞞に満ちた態度で鋭い眼光を浴びせ、続けて巨大な爪を降り下ろした。
巨体のわりに、スピードがありイセリナ達は多少なり傷を負った。
そんな時、ようやくイシュケルが復帰した。
「舐めやがって! きっちり返してやるぞ!」
「さっきから、おかしいと思ってはいたが、お前は影武者だな? 何故、我の生け贄にならん?」
「知れたことだ。俺の生き方は、俺が決める!」
「笑止! たかが生け贄の分際で、我に楯突くとは許せぬ!」
イシュケルは、嘆きの剣を構え、ジュラリスを見上げる。
ジュラリスは、邪悪な笑みを浮かべ、イシュケルの攻撃を迎え撃つ。
イシュケルは、ジュラリスの胸目掛けて飛び上がると、一気に剣を振り抜いた。
ジュラリスは、攻撃を受けながらも着地するイシュケルを両手で、鷲掴みにした。
「ぐはっ! なんて、力だ……」
イシュケルを形成する骨格がメキメキと音を立て、悲鳴を上げる。
イセリナが、援護に回ろうとするも、ジュラリスは体内から黒い鋭利な刃物を放出し、イシュケルに放つ。
刃物は形を円形に変え、ダメージを然程与えることなくイシュケルの体内に吸収されていく。
その後、イセリナの振り抜いた剣が、ジュラリスの腕を斬り付け、イシュケルは開放された。
「イシュケル、大丈夫?」
「ああ。あんなもの、大したことない技だ」
イシュケルとイセリナは、間合いをとり構え直す。
「今のが大したことない技だと? ほざけ!」
ジュラリスは、両手を交差させる仕草を見せると、巨大な衝撃波の塊を作り出し、イセリナに向けて放った。
イセリナは、盾で防ぐも頬に新たに出来た傷口から、流血していた。
「イセリナ、大丈夫か? 今、回復してやる」
ウッディは、すかざず、イセリナの回復に回る。
「ありがとうウッディ。頼りになるわね」
「イセリナ、礼を言うのはそいつを倒してからにしな!」
「そうね」
イセリナは、一呼吸すると、剣を縦に構えた。
その伝説の剣は、黄金に煌めく。
類い希な強度を誇り、多少の攻撃なら弾き返す伝説の剣を信じ、様子を伺う。
その間、攻撃の手を休めないジュラリスに対応していたのは、暁だった。
その戦いぶりは、互角に見えたが暁には、息継ぎをする暇もないくらい余裕がなかった。
「暁お姉ちゃん……」
遥か後方で、ただ怯えるだけのサハン。
力になりたい気持ちはあったが、レベルの違いすぎる戦闘に、足の震えが止まらなかった。
「イセリナよ、あの技を出すしか勝ち目はないのではないか?」
イシュケルは、イセリナにそう言ったが、イセリナ自体も攻撃を回避するので手一杯だった。
「くっ、せっかくの技があっても、放つことが出来ぬのでは意味がない……。俺がやるしかないか……」
イシュケルは、バーストタイプにチェンジすると、ジュラリスを罵るように、挑発した。
「デカイ図体しやがって、破壊の王だと? 笑わせるな! 俺こそが、王に相応しい!」
「まだ、生きていたのか? 望み通り今すぐ息の根を止めてやるぞ」
ジュラリスは、視線をイシュケルに向けた後、両手を掲げ力を開放すると、ただ一点イシュケルだけを睨み付け、鋭い爪を何度も降り下ろした。
「うぐっ……」
その爪を喰らう度に、イシュケルの身体から大量の血が吹き出る。
「イセリナ……何をしている。早く……真・天地壮烈斬を放て! いくら俺でもこれ以上は無理だ!」
イシュケルは、自らプライドを捨て、全てをイセリナに託した。




