表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/79

封印を解け

 ガルラ牢獄を目前にすると、例の結界がイシュケル達を襲う。

気が狂いそうなほどの痛み。

 この痛みを再度味わったイシュケルは、他の仲間を気遣いながら結界を越えるのをじっと待った。

 やがて、魔導船は結界を抜け、ガルラ牢獄目前で不時着した。

魔導船は、結界のバリアに何とか耐えたものの、多大なる負荷が掛かりエンジンが焼き付いていた。

恐らくこの船で引き返すのは無理だろう。

進むことも、引き返すことも出来なくなった魔導船を見つめながら、イシュケル達は船を降りた。

 目の前には、あの忌々しいガルラ牢獄の門。

イシュケルは改めて門の横に書かれた言葉を読み上げた。


『光と闇が合わさりし時、道は開かれるであろう』


 イシュケルが読み終えると、イセリナがまず反応した。


「これが、以前言っていた封印……」


 イセリナが、イシュケルに目をやると、イシュケルはイセリナにこう言った。


「イセリナ……。わかっているな? これは、我々二人が力を合わせねば解けぬ封印。光は勇者、つまりイセリナを指し、闇は魔王の俺を指す。本来なら、交わることのない二人が力を合わせねば、解けぬ封印だ。それほどまでに、ジュラリスの力は、我々に取って脅威と言うことだ。ラックの野郎も手のこんだ封印を施しやがる……」


「ちょっと、待てよ。だったら封印を解かずにこのままにしていたら、いいんじゃないのか?」


 間髪入れず、ウッディが駆け寄る。


「以前、俺もそう思った。しかし、どの道ジュラリスは復活し、この封印を解き人間界も魔界も恐怖に陥れるであろう。だから、叩くのは復活する前の今しかないのだ。ジュラリスは、歴代の魔王を影武者(イシュケル)として育て、そいつらを生け贄にすることで、力を蓄えてきた。先の戦い、すなわちラック達が封印した時から数えると、恐らく四人ほどジュラリスの生け贄になっているだろう……ウッディよ、俺の言いたいことがわかるか?」


 ウッディを初め、イセリナ達は、イシュケル自体も生け贄の対象だったことを、初めて知った。


「やろうよ、僕らでやってやろうよ」


 暁は、皆を鼓舞するかのように、力強く言うと、皆それに同調した。


「そうだな、それしかなさそうだしな。皆死ぬなよ」


 ウッディは、決戦を前に明るく振る舞った。


「では、封印を解くぞ。イセリナ頼む」


「ええ、わかったわ」


 イシュケルが、門に描かれた闇の紋章に触れると、紋章は光輝いた。

 続けてイセリナも、光の紋章に触れると紋章は光輝き、闇と光の紋章が一つに重なった。

 闇に包まれた魔界が、一瞬眩い光に包まれ周囲を照らす。


「どうだ? これで、門は開く筈だが……」


 イシュケル達は、門に目を奪われ、固唾を飲んだ。


「お願い、開いて……」


 イセリナがそう言うと、イシュケルも同じ気持ちで祈った。

すると、何かがパリーンと音を立て崩れ落ち、強固な門は犇めきながら開かれていった。


「やったぜっ!」


 ウッディが、喜びを隠せず飛び上がると、イシュケルはそれを抑止した。


「喜ぶのは、まだ早い。何があるか、わからん。慎重に進むのだ。それに伝説の剣も見付けなくてはならないからな」


 ウッディは、素直にイシュケルの言葉を聞き入れ、警戒しやすい陣形を暁と共に取った。

 バックアタックされた時の為の、予防的なものだ。

普段陣形など、気にしなかったが昨夜の話し合いで、万全を尽くすと決め、今回新たに導入することに踏み切った。

 ガルラ牢獄の内部。

長い間、誰も踏み入れなかった筈なのに、生物の気配が感じられる。

しかも、生臭い獣臭のようなものが鼻を付く。

 誰もが、何かいるなと感じとったその時、イシュケル達の行く手を阻む者が目の前に現れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ