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再び魔導船へ

 サハンに案内され、イシュケル達はホールへと戻ってきた。

隠し部屋からホールまでは、かなり離れていると思ったが、意外とそうでもなかった。


「お~い! お前ら! 遅かったじゃねぇか? 伝説の籠手はあったのか? って、サハンじゃねぇか! 久しぶりだな」


 ホールで待っていたドーガが、そう言うとサハンはペコリと頭を下げた。


「やぁ、ドーガ。久しぶりだね。ラックは元気かい?」


「…………」


 ドーガは、首を横に振った。

その後、ドーガはラックのこと、何故ここに来たかなど事情をサハンに話した。

 一方、イシュケルとイセリナ達も、サハンを助けたこと、天空人が拐われた経緯、ケンタウロスとのバトル、伝説の籠手を手に入れたこと、そして、アルザスのことを皆に話した。


「話は、イセリナが言った通りだ。伝説の武具を使って進化したアルザスに囚われた天空人の救出に乗り出したい。これ以上、俺の城を好き勝手に使われたんじゃ、魔王としてのプライドが許さない。お前達、俺に力を貸してくれないか?」


 イシュケルは、自分をさらけ出し、皆に頭を下げた。


「当たり前じゃない。これは、イシュケルだけの問題じゃないよ。僕らだって、そのアルザスって奴は許しておけないしね」


「そう言うことだ」


 暁の言葉にウッディが、続く。

イシュケルは、初めて仲間のありがたさを感じていた。

 イセリナ達の優しさに触れ、以前のような残虐さは消え始め、人間に近い感情を持ち始めた瞬間だった。

 最も、本来人間だったイシュケルとしては、元々持ち合わせていた感情には違いないが……。


 話が纏まり、ドーガに先導され、皆が魔導船に乗り込もうとした時、サハンが皆を呼び止めた。


「待ってよ。僕も連れてってよ。戦うことは出来ないけど、ここで指を加えて待ってるなんて出来ないよ」


「サハン。ワシらだって、お前を連れて行きたいのは山々だが、今回は危険過ぎる。大人しく待っているんだな」


「でも……」


 サハンは、自分も一緒に行きたいと行ったが、ドーガはそれを許さなかった。

もちろん、他のメンバーも、ドーガの意見には賛成した。

 サハンは、浮かない顔をしていたが、すんなりと皆の意見を聞き入れ、宮殿にとどまることを選んだ。


「さぁ、出航だ。皆、魔導船に乗り込んでくれ。イシュケルもな」


「好意に甘えよう」


 イシュケル達が、魔導船に乗り込むと、ドーガは舵をきり始める。

土埃を上げながら、ゆっくりと空中庭園から離れていく。

 そんな中、イセリナはあることに気付いた。


「さっきまで、私達を見送っていたサハンがいないわ」


「どうせ、俺達と別れるのが辛くて、宮殿に戻ったんだろうよ」


 イセリナの問いに、ウッディはそう返した。


「本当に、そうかしら……」


 イセリナは、そんなこと思いながら、遠ざかる空中庭園を眺めていた。

 やがて、魔導船は雲の中に吸い込まれ、エンジンはフル回転しながらスピードをぐんぐん上げる。


「ルビデスパレスは、アルタイト北にある小さな島だ」


「了解だ。振り落とされるなよ」


 イシュケルの言葉に反応し、ドーガは方向を定める。

 そんな時、魔導船動力室に身を潜めていたある人物が動き出す。

サハンだ。

 サハンは、こっそり魔導船に乗り込んでいたのだ。


「ふう。何とかなったな。ここまで来れば、誰も文句は言えないよね」


 サハンは、皆のいるブリッジに向かった。

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