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脅威!

 イシュケルは、通常の姿に戻り王座にもたれ掛かった。

目の前には、嘆きの剣が喰い尽くしたマデュラの屍が横たわる。


〈ゲフッ。不味かったが、空腹は紛れた。イシュケルよ、これからどうするのだ?〉


 真紅に染まった嘆きの剣が、イシュケルに問い掛けた。


「マデュラが、言っていた、あの御方という奴の存在が気になる。魔王は俺一人で良い。そう思わぬか? 嘆きの剣よ」


〈なるほど……そのあの御方という奴が復活する前に叩くという訳か〉


 嘆きの剣は、興味深そうにイシュケルを見つめた。


「甘いな、嘆きの剣よ。俺はそいつを探しだし、復活した後に戦いたい」


 マデュラとの戦いで覚醒したイシュケルは、戦いに貪欲になっていた。


「俺こそが、真の魔王だ。そいつが復活したら叩きのめしてやる。もちろん、イセリナ達もな」


 イシュケルは、マデュラの血液が付着した嘆きの剣を拭いながら、更に、


「嘆きの剣よ、あの御方という奴について、何か情報はないか?」


と、嘆きの剣に尋ねた。


〈う~む。知らんな。一度魔界に戻る必要があるようだな〉


 イシュケルは、嘆きの剣の意見に同調すると、鞘へ収めた。


「面白くなってきたな……」


 そう言って、不敵な笑みを浮かべると、比較的ランクの高いモンスター数匹に、ルビデスパレスの警備を任せ、魔界にあるイシュケル城に向かった。



◇◇◇◇◇◇


 ここは、魔界の最果てにある禁断の地。


 魔界に住む、極一部のエリートのみが踏み入れることが出来る地だ。

最も、以前は誰でも侵入は可能だった。しかし、(いにしえ)の戦いの後何者かに、殺傷能力のある結界がはられ、低ランクの魔族はそれに耐えられない為、結果的にエリートのみが踏み入れることが可能と伝えられていた。


 更にその禁断の地の中心部に、佇む牢獄があった。

かつて、何千人もの人間が魔族によって処刑された場所だ。

多くの人間達の亡骸は、誰にも弔われず、長い月日の間に風化が始まっていた。

 そして、その牢獄に禍々しい棺は奉納されていた。

一年中、日の光を浴びることなく、クレセント(三日月)の光だけが妖しく照らしていた。


「ぐぉぉぉ。生け贄はまだか……。何やら、私がいない間に好き勝手暴れている輩がいるようだな……」


 地の底から響くような、その声の主は自らの復活を今か今かと待ち望んでいた。


「復活はまだ無理か……今度こそ、全てを根絶やしにしてやる……」


 禁断の地にある牢獄に、確かに命ある全てのものに対する脅威が復活しようとしていた。



◇◇◇◇◇◇


 一方勇者サイド


 命からがらイセリナ達は、アルタイトの街に辿り着いていた。

 道具袋の中の、薬草は底をつき、ウッディが言っていた通り、回復魔法の必要性を改めて認識していた。


「皆、お疲れ様。ウッディと暁のお陰で、何とかピンチを切り抜け、伝説の盾も手に入れることが出来たわ。後はウッディ……、回復魔法の習得をお願いね」


「任せておけよ。回復魔法は苦手で、一度は諦めたが、そんなこと言ってられねぇもんな」


 ウッディは、笑顔でイセリナに返した。


「さぁ、今日は身体を休めましょう」


 イセリナ達は、明日に備え、今日は宿を取ることにした。

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