6話 救世主と老人 前編
「お前の言うことは信じられないな!確かにアダムは賢いさ!けど、『救世主』なわけないだろう!!その能力を持つのは救世主ニーナ様だけなのだぞ!!いくら『運命師』とはいえ、許せん!」
「あなた、やめて!」
「うるさい!」
「きゃあ!」
レメクがサロメを殴った。次の瞬間、
パアン!
と、快い音が響き渡る。
リィカが義兄の頬を叩いたのだ。
「レメク、やめ、ろ」
「え、、、リィカ、、、?」
「姉さん、に、手を出、すな」
俺は呆然としてそれを見ていた。
老人は困ったような顔をしていた。
し、仕方ない。子は鎹というし、ここは俺がどうにかしてみせよう。
「パパー、リィカー、やめて」
父さんとリィカはハッとしたように目を見開いた。
「そうだな…サロメ、リィカ、すまん」
「わたしも、やりすぎま、した」
「まぁ、仕方ないわね。我が子が救世主だと急に言われても受け入れられないわよね」
母さんは寛大だなぁ。とんでもない懐の深さだ。
「この子は、本当に『救世主』です。どうか、どうか信じてください」
「うーん、でも、、、」
「わたしは、本当だ、と思い、ます。だって、あだむちゃ、んがわたしの名、前を呼んだ瞬間、喋れるようになっ、た」
「そうか…アダム、お前は救世主なのか?」
そう言われても。俺もわからない。というか、一番困惑しているのは俺だ。
俺が救世主だと?目眩がしそうだ。
ここは赤ちゃんらしく誤魔化すしかない。
「あー?」
「だよなぁ、分かんないよなぁ」
「あなた、私は彼が嘘をついているとは思えない」
「うーん、うーん」
「はは、受け入れられなくて結構!どうせ9年後に分かるんですから」
「確かに、そうだな、いや、そうですね」
「わかっていただいてよかった。少し、救世主の卵さんとお話をしていいですか?」
「え、いいですけど、まだその子は大して喋れませんよ?」
「いいんです。しかも、この子は特別だ」
「……??」
父さんと母さんは俺は、よく分からないお爺さんと話すことになった。
〜〜〜〜〜〜
どうすればいいのだろう。一歳って、どれくらい喋っても不自然に思われないんだ?いや、それとも俺が救世主だというのなら大人の言葉を理解してもいいのか?
「迷う必要はないですよ」
「!?」
「私は、あなたが氷見 穂九斗だってことも、わかっています」
『ああ、お見通しでしたか……』
「ははは、まぁ『運命師』にもかかれば、こんなものですよ」
うわぁ。嫌な奴。
嫌な性格は置いといて、俺が転生者だと分かるなんてこいつは相当な実力者(?)だろう。
「転生者のあなた様は能力についてよくわからないことも多いでしょう。ですが、心配なく。救世主様、この私が教えて差し上げます」
『あー、はい』
適当にあしらっておこう。こういうやつにはそうするのが一番だ。
「まぁ、まず能力とは何か。そこからです」
『はい、能力のことはよく知らないんで、お手柔らかに』
「勿論。まず、能力は基本この世界の住人が10歳になってから出現するものです。まぁ、あなた様は例外です。生まれつきの救世主だ。まぁ、今から話すことには例外もあるということを承知の上で聞いといてください」
『はい』
「まず……」
そうしてお勉強の時間が始まった。
要約すると、能力は、全ての人族、亜人、天使、悪魔、竜が持っている。また、獣でも特殊な個体は持つことがあるらしい。
それぞれの能力は、文字通り特殊能力を使うことができる。魔術を人一倍上手に扱えたり、回復魔法に長けていたり、戦闘時に筋肉モリモリマッチョマンの変態になったり、、、
ヘンなのが混ざったが、色々あるらしい。
でも、これらはすべて、何人も持っている能力だという。
世界に一人しか持っていない能力、それが固有能力。これを持っているのは世界に百人もいないらしい。俺が持っているらしい『救世主』はそれに当てはまる。
これは1人しか持っていないだけではなく、性能も普通の能力と比べると段違いらしい。そのただでさえ高い性能が進化すると、究極能力となる。爺さんの能力もここに分類されるっぽい。ほんとかなぁ。
『いろいろ教えてくれて、ありがとうございます』
「ん?まだ話は終わらないよ?」
『えっ?』
「『えっ?』?」
彼の話はまだまだ続くのだった。
初投稿して数日なのにもうすぐ中間試験、、、頑張って試験中の投稿分も書きます、、、
次回は明日の朝7時に投稿予定です。でも気が変わって今日中に出すかも。
では、また次のお話で。