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36話 謀略×謀略






 『公』であるロウの食事に同席するのは基本的に僅かな人数だけである。優秀なメイド数名、実績のある護衛数名と貴族数名、そしてカルフォ。

 だがもちろん例外もいるわけで。

 今回の食事は上記の人物以外に1人加えて行われている。

 その1人とは、救世主アダムであった。



「緊張しなくて良いぞ、救世主殿」


「は、はい」


「先日は不届者のせいで十分伝えられなかったが、此度の戦争での活躍について改めて感謝する」


「お、お褒め頂き光栄でございます」


「その上、刺客からもこの命を守ってもらった。感謝してもしきれん」


「救世主殿、本当に感謝する」



 ロウとカルフォに感謝を伝えられた彼は、どことなく照れているような顔になった。



「ほれ、早速料理が来た。好きなだけ食べるといい」



 運ばれてきた大量の料理に目を輝かせるアダム(精神年齢17歳)。



「これは、ホーリですかな?あまり食事に出ることは無いのですが……救世主殿のお好きな料理ですかな?」


「はい!それはもう大好きな料理です!」



 昔バルアの街で食べたスープ料理を、アダムはいたく気に入ったらしい。



「ふむ……」



 ロウもホーリを口にする。美味しかったようで、何度も頷いていた。


 それから幼い頃の生活などについて話し、食事は終わった。



「本日はご招待頂き、ありがとうございました!」


「うむ!そなたとの話は楽しかった!また呼ぶので、是非来てくだされ!」


「ぜひ!」



 そう言ってアダムが去っていった時、怪しい動きがあった。



『ディマ殿、間もなくだ』


『ふふ、楽しみだ』



 勿論、そんな会話は周囲には聞こえない。この貴族ディマ=イジアの能力スキルによる念話だ。そして彼らが待ち侘びていることとは。その答えはすぐに分かることになる。



「ッ……!?」


「ロウ様?」



 ロウに異変が現れた。



「ぐぅっ……」


「どうされました!?ロウ様っ!!」

 

「体がっ、痛い……毒、だ」



 それを聞き、ディマをはじめとした貴族の一部がほくそ笑む。



「大丈夫ですかっ!?おいっ、誰か救世主殿を!アダム殿を呼べ!!」


「はっ、はい!!……あれっ?」


「どうした!?早く!!」


「カルフォ様!!扉が開きません!!」


「何だと!?」



 焦ったのはカルフォのみではない。ディマ達の計画にこんな事態は入っていない。



『ディマ殿、これは?』


『っ……分からん』


『なっ!?つまり、勝手な行動を取った者がいるということですか!?』


『うむ……』


「ロウ様!!しっかり!!」



 カルフォの言葉がまた貴族達の不安を煽る。



『おい、お前!ちゃんと計画通りに盛ったのか!?』


『はい、そのはずですがっ……』


『ロウ様を見てみろ!計画通りならここまでの症状は出ないはずだ!!』



 そう、彼らはロウに毒を盛った。その罪をカルフォに擦りつけ、彼の信用を無くすため。しかしロウを殺すつもりなんて微塵もなかったため、少し痛むくらいの毒しか使っていないはず。

 なのに目の前のロウは苦しんでいる……


 一服盛るタイミングで手違いがあったのか、あるいは……


 本当にロウを殺そうとしている者がいるか。



「お主!確か回復魔法が使えたな!?」


「は、はい!直ちに!」



 急に声をかけられたメイドの1人が困惑しつつも回復魔法をかける。



『ディマ殿、奴に罪を被せるのは……』


『わかっておるっ』



 そして口を開くディマ。



「カルフォ殿!!お主はロウ様から離れよ!!」


「!? ディマっ、貴様、何を言っている!?」



 ディマ達の計画を知らない者たちの混乱がさらに加速する。



「カルフォ殿が薬学に精通しているのは周知の事実!!ロウ様は毒に多少の耐性があるというのにこれほど苦しんでおられる!!これほどの毒を作れるのは貴殿くらいしか思い浮かばん!!」


「ディマ殿、落ち着いてくだされっ」


「落ち着くのは貴様だっ!!カルフォは常にロウ様のそばにいた!毒を守るチャンスはいくらでもあったのだぞ!」



 それだけの理由でカルフォが犯人だと仕立て上げるのはかなり無理があるように思えるが、混乱の最中にある貴族やメイド達は信じかけてしまっているようだ。



「ディマ、血迷ったかっ!なぜ私が忠誠を誓ったロウ様を毒殺などするのだ!」


「理由など知らぬ!だが、お前以外にこれほどの毒を、作り、盛ることのできる人物などおらん!!皆、そう思うだろう!?」


「あっ、ああ。ディマ殿の言うことももっともかもしれぬが……」


「確かに、理には適っているがっ」



 共犯の貴族達がわざとらしく言う。周囲もディマ側に傾いてきているようだ。実はこの時貴族の1人が能力スキルによって周囲の意識を少し操っていたのだが。



「そうだっ、カルフォ殿!!ロウ様から離れよ!!」



 計画のメンバーではない貴族が叫ぶ。すると。



「そうだ!お前以外に考えられない!!」


「殺せ、あいつを!!」


「貴様らッ!!そうだ、罠だ、これは罠だッ!!ディマが私を陥れるための罠だっ」



 流石カルフォ、ディマの思惑を見透かした。ディマはそのことに少し動揺したが、



「未だに言い逃れするかっ」


「カルフォを許すな!!」



 既にこの場には彼の味方しかいなかった。







ーーーーーーーーーーーーーーー







 おいおい、どういうことだよ!?

 なんか偉そうな方が犯人ってことになったんだけど!?

 『公』に毒盛ったの俺なんだけど!?

 なんでみんな疑わずにあいつが犯人だって決めつけるの!?

 俺!俺だよ!!犯人は(倒置法)!!

 まじで訳分からん……

 この『毒殺王』アッシーンをここまで戸惑わせるとは、テリア公国、やりよるな……


 ふぅ、まぁ一仕事終えたというわけで。あのヤバい毒使ったし、流石に死ぬだろうから、もう帰ろう。

 さぁ、さっき閉めて魔法で開かなくしたドアを開けれるようにして、開けてぇ〜……


 ドアを…………



 ドア…………………




 ……開けたら、絶対バレるなァ〜……

 

 



 では、また次のお話で。

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