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33話 不意打ち






 場が騒然とする。それはアダムがロウに飛びかかったことのみが原因では無い。それを見ればこの混乱の理由が分かるだろう、床に突き刺さった小刀を。これがロウ目掛けて飛んできたのである。飛びかかったのはアダムが必死にロウを守ろうとしたための行動だった。この部屋には、刺客が潜んでいる。誰もがそれを受け入れた。



「誰だ!!」



 護衛の1人が威嚇するように声を荒らげる。




 シュンッ!!



「……えっ?」



 何かが風を切る音と同時に発せられたその声が、誰の発したものかは分からない。




 ドサッ。




 そんな音と共に、護衛の1人が崩れ落ちた。



「なっ」



 またしても誰かが声を上げる。


 護衛の胸にはロウに向かって投げられたのと同じ見た目の小刀が突き刺さっていた。




『キャアアア!!』



 メイドたちが悲鳴を上げる。死んでいた。そう、目の前の護衛が死んでいた。




 シュッ!!



 先ほどより鋭い音が鳴る。


ーーー誰かが死ぬ。


 そこにいる誰もがそう感じた。いや、1人を除いて。




 パシッ。


 

 小刀が受け止められる。



「いやぁ、これ使っといて正解だったな」



 そう口にしたのはアダムだった。彼は懐から何かを取り出す。



「おかげで、小刀のスピードに対応できた」



 彼が取り出したのは、『速度上昇球(スピードアップボール)』。コルミナが研究中の所謂魔道具だ。なぜそれをアダムが持っているのか……それは読者のご想像にお任せする。ともかく、この道具アイテムは、魔力を流し込むとその人の移動速度が急上昇するというもの。

 あれ?普通の速度上昇魔法でいいのでは?という人もいるだろう。だがこれは予め使用しておくことができる。アダムはロウに罠を仕掛けられていることを恐れていたため、いつでも高速移動できるようにしていたのだった。



「……っ、何処だ!!何処にっ……」



 大声を出したカルフォの頬を小刀が掠める。彼の頬には汗と少量の血が流れた。その時、不思議なことが起こった。



「……ここだ、『水弾(ウォーターショット)』、そして『回復(ヒール)』」


「……うぅ」



 アダムがそう唱えると、小刀に胸を貫かれたはずの護衛が息を吹き返したのだ。そして、それと同時に天井から女性が落下してきた。紛れもなく彼女こそがロウの命を奪おうとした張本人だった。



「ぎゃん!!」


 

 落ちてきた人間は悲鳴を上げ、そして……



「むきゅ〜」



 気を失った。

 周りの貴族やメイドたちは何が起こったか理解していないようだ。無理もない。急に小刀が飛んできて1人の命を奪ったかと思ったら復活し、犯人が天井から落ちてきて気絶……そんな周囲をよそにアダムはロウに話しかける。



「安心して下さい、ロウ様の命を狙う不届者は仕留めました」



 某とにかく明るい芸人のような口調で。



「あ、ああ、か、感謝する」



 一国のトップであるロウすら困惑する状況。それを作り出したアダムは、何もなかったのように話を進めていく。現在進行形で兵士にズルズルと引き摺られてどこかに連れて行かれる女を尻目に。







ーーーーーーーーーーーーーーー







 ふう、謁見は何事もなく終わった。ああ、良かった。


 ん?何事しかなかったって?何を言っているんだ。くの一みたいな見た目の人が小刀を投げてきてロウが死にそうになって1人が死んで復活しただけじゃないか。ああ、正確に言うと彼は死んでなかったけど。流石の俺でも死者の蘇生はできないよ。

 で、とりあえず親に手紙を出すことになったし、部屋に戻ろう……って、ペンはどうしようか。どこにあるかな。ぼへーっと歩きながらそんなことを考えていると、



「おっと」


「おお、ってアダムじゃないか。すまないな、考え事をしていたもので」


「大丈夫です。考え事をしてたのは僕も同じですし」


「そうか、じゃあな」


「あっ、あの、ペンって持ってますか?」


「ペンなら持ってるぞ?手紙でも書くのか?」


「はい」


「相手は、想い人かな?」


「ぶっ!?」


「冗談冗談。家族だろう?」



 ……コルミナさんってこういう冗談言うタイプだったのか。



「じゃあ、手紙書くついでに研究室に来てくれないか?ほら、私の実験に付き合ってもらう約束」



 ああ、あの約束。戦争が終わったら、だったはずなのにガッツリ戦中にやられたあの。



「……はい」


 

 約束は約束だ。俺は渋々彼女の実験室に行くことにした。



「ん?そういえば……」



 おや、なんだか不穏だぞ?



「あっ」


 

『あっ』?



「ちょ、アダム、私は先行ってる。追いかけてきて、いやちょっと時間をおいてから来てくれぇ!」


「……」


 

 コルミナさん、アンタねぇ……と呆れる俺を見つめる人影があった。そしてその人物はどんどん近づいてくる。迂闊ながら、これを感じ取ることが出来なかった。気配に気づいたのは、本当に直前だった。それに気づいた瞬間、




 ちゅ。




 ……ん?

 頬に温かさを感じる。抱きしめられる感覚が伝わる。

 頬に伝わった体温はすぐに、足音とともに消えていった。

 何が起こっているのか理解できず、気配の主が誰か確認することが出来なかった。だが、確認はできずとも誰だかは容易に予想できた。俺に、キスをする相手なんて。


 俺は硬直し、ぶっ倒れた。まさに、不意打ちだった。








 投稿開始してから大体1ヶ月。1ヶ月毎日投稿という目標が達成でき、またPVも1000を超えました。読者の皆様、本当にありがとうございます。これからは少し投稿頻度を落とす代わりに文字数を増やしていきます。今後ともこの作品を是非よろしくお願いします!!次の更新は土曜日の朝の予定……だったのですが日曜日になるかもしれません……


 では、また次のお話で!!!

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