27話 慢心に因る創痍
大角戦争、第一の戦いは公国側の勝利に終わった。いやー、ひとまず負けないで良かった。
「戦争って、どれくらい続くんですかね」
素朴な疑問をイザベラさんに投げかける。
「わからん。短ければ数カ月、長ければ数年……今回の戦争はそこまで長引かないと思うが」
「早く終わるに越したことはないですね」
「その通りだ」
今、俺は前とは違う戦場にいる。前の戦の後、小規模な戦闘が続いたらしい。そこでは俺の出番は無かった。つまり今俺が戦場にいるということは、大規模戦闘が始まろうとしているということだ。
前の戦からは9日経っている。どうやら敵側の最高戦力はこの前倒した『首刈り』だったらしい。それを失った大角族の軍はかなり弱体化している。
叩き潰すのなら今だろう……おっと、今のは救世主のセリフじゃないね。うん。本来は一国に味方しちゃいけない身だからね。
「今回も、前と同じようにやればいいですかね」
「ああ、そうだな。注文として、敵の大将を捕らえられるといいんだが、できるか?」
「位置さえわかればいけます」
「そうか、頼むぞ」
「頑張ります」
「なるべく早く終わるといいが……」
イザベラさんが嘆息する。
すると、
「開戦!開戦!!」
大声が響き渡る。戦闘開始の合図だ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「うおおおおおお!!」
「おらあぁぁああ!!」
まったく、戦場はうるさくて苦手だ。自分は昔から大きい音が嫌いだったから。
「うおおおお!!死ねえええ!!」
「うるさい」
踊りかかってくる敵を一振りの剣で切り捨てる。
はぁ。誰も僕が『ドグリア』だなんて思わないんだろうな。ちょっと虚しいけど、おかげで身の程を知らないバカをことごとく殲滅させられる。ほら、またバカがやって来たよ。うんざりだ。
「お前が『ドグリア』のレドナ=シャーリッツだな?」
おや、今回ばかりはバカじゃないようだ。
「そうだよ。お前は?」
「こちらが名乗る必要は無い」
……やっぱりバカだったか。大角族だからよりバカだ。
「まぁ、『首刈り』の配下だということだけ言っておこう」
へぇ、『首刈り』か。1回前の戦で討ち取られた奴だったかな。そいつの部下なんだという。それが何?どうせお前も雑魚なんだろう。
「それが何?実力なら実際に戦って示せよ。お前が弱いってことが分かるからさ」
挑発とかじゃなく、いや挑発だけど、そんな言葉が自然に出た。
「ふん、言ってくれる。『ドグリア』だからといって頭に乗っているのではないか?」
「頭に乗っているのはお前だろ。『首刈り』の配下だからって、意味ないよ」
「ならば、戦るか」
「四の五の言ってないで、かかってこいよ」
相手の身体はゴツいがまぁ、どうせ瞬殺だろう。
別に僕の能力が特別なわけではない。この自信は今まで血反吐を吐いてまで続けてきた剣技の猛特訓による物だ。
「うおおおおおおお!!」
「おっと」
見た目に反して思ったより素早いな。けど、僕相手には敵わないね。何せ僕は『ドグリア』なんだから。
『ドグリア』。それは、テリア公国の兵士全員が憧れる称号。戦で最も活躍した兵が『公』直々に与えられる称号。最強の証。かなり昔から存在する称号だと言われているが、そんなことに興味はない。
『ドグリア』の称号を与えられている。それだけで自分は価値の高い存在なのだ。
そんな僕に?
『首刈り』みたいなのの部下ごときが?
挑む?
馬鹿らしい。はやく片付けないtーーー
「この程度か。『ドグリア』も名ばかりだな。カサラ様も数代前の『ドグリア』を軽々と倒したというし」
ーーーえっ?
と、時間差で痛みが襲ってくる。気づけば自分の腕が無くなっている。
は?
なんだこれ。おかしいだろ。
「痛いっ」
「なんだ、期待外れだな」
敵の声は残念そうな、憐れむような、嘲笑うようなものだった。
いつもの僕ならこいつを許さないだろう。けど今は片腕を失ってーーー
ザシュッ。
もう片方の腕が重力に従って地面に落ちていく。
悲鳴が出そうになった。
痛みのあまり目を閉じてしまう。いつもの自分ならこんな隙は作らないのに。
そして目を開けるとそこには、振り下ろされる剣が映っていた。
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では、また次のお話で。




