25話 首刈り大将 VS 11歳 2
やったか!?
いや、別にフラグとかではないよ。だって水弾が胸に直撃したんだもん。これで死なない敵なんていない……よね?
おそるおそる相手の方を向く。相手は立った状態で固まっている。
死んでるのかい、生きてるのかい、どっちなーんだい!!パ……
じゃなくて。流石に死んでいるはずだ。だって『圧縮水弾』は盾すら貫通する威力を持つ(実証済み)。これで生きていたらこっちに勝ち目はないね。
お、結界が破れた。綺麗な音だな。まあ結界が消えたってことは使用者が死んだんだろう。
「アダム!!良かった……」
「あんな奴に負けたら救世主は務まりませんよ」
いや、負けかけたけどね?
「そうか、流石だな……それで、その顔はどうしたんだ?」
顔?
「気づいてないのか?ツノの付け根に緑の紋様がある」
何それ、知らない。
「俺の顔、そうなってるんですか?なんも知りません」
「そうか……ッ!?」
イザベラさんの様子がおかしくなったと同時に、背後から異様な気配を感じる。まさか。
「ここまで俺を追い詰めたことを賞賛してやる、クソガキ!!」
マジか、生きてた!?
「だがコイツのおかげで俺は生きている!!だからお前を殺す!!」
男は粉々になったナニカを首に下げている。このアイテムが結界を張っていたのか?ていうか、さっきのフラグ回収しちゃったなぁ。
いや、そんなことを考えてる暇はない。
「まずはその斧を返せえええ!!」
「ちっ、返すもんか!」
斧を受け止める。そして逆に奪った斧で攻撃を仕掛ける。
「ぐっ!!」
「どうだ、自分の武器で攻撃される気分は!」
「殺してやる!!」
どうも会話が噛み合ってない気がするが……
「うおらあ!」
力任せに斧を振る。
「おいおい、お得意の剣で戦った方がいいんじゃないか?隙があるぞ」
斧がはたき落とされ、相手の手に渡る。
「チクショウ……」
やっぱり剣で戦うしかないか。
あ、いや魔術使えばいいじゃんか。
「『炎陣:塔』」
相手の足元に小さめの魔法陣が現れ、火が噴き出す。しかしそれは避けられてしまった。
「なんだ、こんなもんか?」
黙れよ。さっき俺の水魔術で死にかけたくせに。
さらに炎魔術で追撃するが、全て避けられた。炎魔術じゃ発動までが遅い。こういう時こそ魔剣術だ。
「ふっ!!」
剣の形に沿って炎が飛んでいく。
「うおっ、アッツ!!」
「よし、『乱土』!!」
地面がうねり、男が体勢を崩す。なんかデジャヴ。
どうせ避けられるんだろう。そう思って剣を振るが、まさかの直撃。
「ぐっ……!!」
よし、そろそろ勝てる。
……あれ、そういえばこいつの能力ってなんだっけ?
俺が疑問を抱くタイミングを見計らったように、男が豹変した。
「なんだ、これは……」
イザベラさんが唖然として呟く。
目が赤く光り、元々筋肉モリモリマッチョマンの変態だったのにさらにゴツくなる。
「マジで、なんだよこれ。ははっ」
相手の豹変ぶりにはもはや笑うしかない。
「離れろ!!そいつの能力は『暴走』だ!!」
その警告が俺の耳に届く前に斧が振り下ろされる。それを避けると、斧はそのまま地面に向かっていく。
「ひえっ」
地面が驚くほど大きく凹んだ。俺はこんな相手に勝てるのか?さっきの万能感はすっかりなくなっている。
「……くっ!!」
イザベラさんが切り掛かる。しかし男は一切防御をしなかった。そのことに困惑していると、
「こいつは防御の分を攻撃に回している!避けながら攻撃しまくれ!!」
イザベラさんが教えてくれた。
なるほど、真の脳筋になったってことか……って、危な!地面を粉砕する一振りが俺の真横を通っていく。まずは、武器を壊さないと危険だ。剣に岩を纏わせ、力任せに相手の斧に向かって振る。能力を使ったはいいが、相手が悪かったな。こっちは素早く避けつつ攻撃を入れる事もできるんだよ。
「ガッ!?」
よし、まずは1本。そしてもう1本も同様に叩き割る。
「どうだ、これでお前の武器は……」
言い終える前に体中に衝撃が走る。相手がありえないスピードでこちらへ向かってきた。そして衝突する。
ドゴォ。
うめき声を出したはずだが、衝撃音にかき消された。
「アダム!!」
イザベラさんが叫ぶ。相手の腕が腹にめり込む。内臓が潰れそうだ。苦しい。
「がはっ」
鈍っていく脳を必死に動かす。こうなったら……
「ウガァァアアアァア!!死ねぇぇえええ!!」
「死ぬ、もん、か……『炎陣:塔』っ……!」
真下に大きな魔法陣が浮かび上がる。そして。
ゴォォォォ!
あり得ない量の火が噴き出し、真上にいる生命を焼き尽くした。
「あ、アダムっ……!」
その生命には当然俺も含まれていた。
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では、また次のお話で。




