14話 リィカの嫁入り
初めてのお別れ。
5:23 12:47 オーガを小鬼→鬼に変更しました
アダムはいつの間にか8歳になっていた。彼は毎日剣の特訓と魔術の練習をしていた。確かに、どちらも上達している。しかし彼は何か物足りなく感じていた。彼が物足りなさの理由に気がつくのは少し後になってからだった。
彼は剣技練習用のカカシと対峙する。
「ふー……」
腕に、脚に、力を込める。
次の瞬間、カカシは真っ二つになっていた。
「アダムちゃん、やはり凄いですね」
「いや、リィカさん、それほどでもないよ」
「私も久しぶりに剣を振るいたいのですが、その剣をお借りしてもいいですか?」
アダムは意外な要求に少し驚いたが、快く承諾した。魔術を使ってカカシを復活させる。
「どうぞ」
「ありがとうございます。では……」
けれど、数秒経ってもリィカは動かなかった。かのように見えていた。
「アダムちゃん、ありがとうございました」
「……??まだ何もして……」
刹那、カカシがバラバラになって崩れた。アダムはそれを呆然として見ていた。
「ふー、ちょっと疲れました。剣を握るのは10年ぶりくらいでしょうか。声を奪われて自暴自棄になっていた頃、ずっと剣を振ってたんですよ。懐かしい」
アダムは初めて彼女に対して恐怖を抱いた。
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「ねぇお母さん、リィカさんとお父さんが戦ったらどっちが勝つの?」
「うーん、わからないわねぇ。さすがにお父さんじゃないかしら?現役だしね」
「おとーさん、つよいー」
俺たちがそんな話をしていると、出かけていたリィカさんと父さんが帰ってきた。帰ってきた父さんの第一声はこうだった。
「今から、家族会議を行う」
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「あなた、一体何があったの?」
母さんが心配そうに聞いた。
「リィカ、話してやってくれ」
「はい」
リィカさんが話したのは、こんなことだった。
まず、彼女たちが出掛けたのは町の近くで劣級鬼の目撃情報があり、知り合いから討伐を要請されたから。この種族はそこそこ強く、一般人では倒せない魔物だ。
そして町に向かっている際、ちょうど劣級鬼の群れに襲われている人を見つけたという。父さんより先にリィカさんがそれに気づき、一瞬にして一人で群れを壊滅させた。
助けた人物は名をニコラス=カーラーという人族の紳士だった。リィカと同じくらいの歳に見えたらしい。助けて感謝されて終わるはずだったが、なんとニコラスがリィカさんに一目惚れしてしまったらしい。そのことを伝えられたリィカさんは満更でもなかったという。
つまり、今回話し合うのはリィカさんの結婚についてか。
「リィカさん、結婚するの?」
「それを今から話すんだ」
「はーい」
「俺が見た感じ、そいつは悪いやつじゃなさそうだ。確か商人だと言っていた。それなりに豪華な馬車に乗っていたし、金の面は大丈夫だろう」
「うん、うちよりは絶対いいと思うよ」
「私は……一回その人と会ってみたいわ」
うまいこと言ったつもりが完全に無視された。
「そうだな、一度会いに行くか」
「あいにいくー」
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その日のうちにニコラスに会いに行く事になった。向かう町はルース。バルアの北側にある自然と人間が調和した世界に有数の美しい都市。道中の時点で既に絶景だったが、ここでは割愛しよう。
温厚そうな風貌になんとなく誠実そうな顔立ち、商人風の見た目。ニコラスは父さんの話通りの人だった。なんとなくこの人ならリィカさんが結婚しても大丈夫なように感じた。いや、誰目線だよ。その後、母さんとリィカさん、ニコラスの三人で話をすることになった。俺は父さんとノエルと一緒に三人を待つ。
「お父さんはあの人どう思う?」
「そうだな……リィカとは何年も一緒にいるが、やはり彼女の意思が一番だろう。彼女たちの話し合いの結果次第だ」
「やっぱりそうだよね……」
「アダムは、やっぱりリィカがいなくなると寂しいか?」
「うん……」
転生したことに対する混乱が解けて初めて考えたことは彼女の顔が好みだったことだったし、オムツを変えてくれたのも彼女だった。あの離乳食を無理矢理食べさせられた苦い記憶もあるが、初めて名前を呼んだのは彼女だった。そんな彼女となかなか会えなくなってしまうと考えると、かなり悲しい。
「リィカ、いなくなっちゃうの?」
「そうかもしれない」
「ふぇぇ……あえなくなるのやだぁ」
「だいじょうぶだよ、ノエル。ずっとあえないわけじゃないから」
「そうなの……?」
「ああ、そうだ。だから泣かなくていい」
「うん……」
「あっ、お母さんだ」
「リィカの結婚が決まったわ」
母さんはそう告げた。
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次回に続きます。では、また次のお話で。




