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10話 盗賊 VS 3歳児 後編


 昨日、誤投稿をしてしまいました。申し訳ございません。


 本来10話の所を11話と表記していました。申し訳ございません。







「えっ・・・ハウゼン?」



 ハウゼンの姿が消えた。


 そのさらに次の瞬間。私の目の前にいたはずのリュークも声一つ上げずに姿を消した。



「えっ・・・?何があったの?みんなどこ……?」


 さっきまでの傲慢な態度の私はもうそこにはいなかった。

 私の心は不安に満たされた。


 

「だっ、誰かいるんでしょ?出てきなさいよ!!」



 返事はない。


 それどころか、その時にはもう私の周りに見知らぬ空間が広がっていた。



「へっ……?ここどこ……?」



 自分でも間抜けだと思えるような声が出た。


 なんなのよ、ここ!!ジメジメしてるし暗いし静かだし!!

 親にはどんな時も冷静になり、慎重に周りを見渡せと言われてきた。けど、この状況でそんなことできるわけないじゃない!!



「て、転移魔術かしら?」



 だとしたら最悪だ。使用者ですら知らない場所に飛ばされた可能性があるのだ。

 辺りには木が生い茂っている。生物はいそうにもない。

 もしや……いや、ここはおそらくそうだ。

 

―――汚染区域。


 それはこの世界における禁足地。そこでは―――




「きゃあ!!」


 突然攻撃が飛んできた。そこには数匹の見知らぬ人型モンスターがいた。赤い肌に長い牙。汚染区域に生物がいるわけない。つまりここは汚染区域ではないってこと?

 そんなことを考える暇はない。今は目の前の敵から逃げなくてはいけない。


 私は全速力で走る!しかし運が悪いことにそのモンスターは足が驚くほど速かった。私はあっという間に追いつかれてしまった。

 


「がっ!!」



 そして殴られた。



「うっ……えっ!?何すんのよ!!やめなさ……んうっ!!」



 そして地面に押し付けられた。頭を押さえつけられて息ができない。早く逃げなきゃ!!

 必死でもがいた。けど無駄だった。後頭部何発も殴られ、息もできず、意識が遠のいていく。


 なんでこんなことになったの……!!ハウゼン、リューク、誰でもいいから助けてっ―――







ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 





「えっ?」


 

 普段は感情を顔に出さない彼、ハウゼンだが、今は違う。困惑した顔をしている。それもそのはず。

 彼はいつの間にか床に打ち付けられていた。



「痛……」



 けどその痛みはすぐに消えた。

 彼の能力(スキル)は『即時回復(インスタントヒール)』であった。



「うわぁぁあぁああ!?」



 素っ頓狂な声を上げて人が落ちてきた。



「……リーダー」



「いってええええ!!なんだぁぁぁこれえええぇ!?」


「……落ち着いて」


「あ、ハウゼンもいたのか!!おい、ここは何なんだ!?何があったんだ!?!」


「……わからないよ」



 彼はリュークに軽い回復魔術をかけながら考える。これは能力(スキル)によるトラップではないかと。実際は魔術によるものなのだが。



「……たぶんこれは能力(スキル)によるトラップ……落とし穴だよ。きっと誰かが僕らを見てたんだ」


「誰かが見てただと!?誰もいなかったぞ!?」


「……多分透明化してた」


「透明化……」


「とにかく、ここから脱出しよう。チートスは上にいるはず」


「よし、そうだな」



 とはいうものの、この落とし穴は深い。ハウゼンもリュークもどうすればいいかわからなかった。



「……一個思い付いた。やってみる。『つたよ、育て(エイヴィー)』」



 すると床から蔦が生え、みるみるうちに天井を突き破った。彼はこの盗賊団(?)の中で唯一応用魔術を使うことが出来た。



「……これを登れば、多分出れる」


 ハウゼンが言い終える前にリュークは蔦を登り始めた。



「……」



 ハウゼンは呆れてため息をついた。


 その時。



「うわぁ!?アッチ、アッチィ!!」



 蔦がいきなり燃え盛り始めた。



「……!?『水流(スプラッシュ)』!!」



 彼の素早い判断により、リュークが丸焦げになることはなかった。



「いってえ……ハウゼン、助かったぜ……」



 彼は落ちてくるなりそう言った。


 しかし、脱出を妨害されたということは、今も誰かが自分たちを見て対策しているのだろう。

 どうすればいいのだろうか。五里霧中である。




〜〜〜〜〜〜




 ふー。まさか相手が応用魔術を使えたとは。少し焦ってしまったじゃないか。


 まぁ、この状態から逆転されて人質に……なんてことにはならなそうだ。ていうかこいつら人質を取って身代金を要求するなんてこと考えつかなそうだな。


 女の方は床の上で苦しそうにもがいている。相当ひどい幻覚を見ているのだろう。

 まぁ、幻覚を見させているのは俺だけど。


 後の二人はこの下ではやく出ようと思案に暮れていることだろう。二度と盗みなんかしないように教育してやろうじゃないか。



「よし、精霊召喚!」



 すると、手のひらより少し大きいくらいの精霊が数匹現れた。



「この下にいる二人を懲らしめてこい」



 俺が命令すると精霊たちは直に姿を消した。

 下の空間にワープしたのだろう。

 出てきた時に二人がどうなっているか、楽しみだ。

 

 30分ほど経っただろうか。



 「んー、んー!!」

 


 女の方は未だに暴れている。幻覚の中で何をされているのだろうか。

 流石に可哀想になったから幻覚を解除してやった。


 そして、先ほどから床が大きく揺れている。

 地震?違う。

 下にいる二人と精霊たちが戦っている事―――戦いとは呼べないような一方的なものであったが―――による振動だ。そろそろ許してやろう。



「精霊よ、還れ」



 揺れが収まった。

 俺は、蓋のようになっている床の一部を持ち上げた。落とし穴の入り口だ。

 覗くと、ボロボロになった男二人が、気絶し横たわっていた。



「『浮遊現象(ポルターガイスト)』!」



 男達の体が浮き上がり、だんだん近づいてきた。そして、男たちはやっと落とし穴から出ることが出来た。

 すると女の体も浮き始め、三人まとめて家の外に放り捨てられた。



「よし、撃退成功。二度と盗みなんかするなよ」




〜〜〜〜〜〜




「アダム!父さんが帰ってきたぞー!」


「わーい!」


「はー、疲れた。一回風呂でも入るか」

 


 父さんがこちらに近づいてくる。あれ?


 落とし穴って解除してたっけ? 




「えっ?」



 その時にはもう父さんの足元に床は無かった。




「あっ!『浮遊現象(ポルターガイスト)』!」



 俺の咄嗟の判断によって父さんが落ちることはなかった。けど、その後めちゃくちゃ怒られた。ごめんなさい。







 これが救世主のやることか、、、!


 盗っ人たちがこの後どうなったか、後々書く予定です。


 では、また次のお話で。

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