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最終章 ⑥ <完>
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作家・英時景の作品は、後の世に多くは遺されていない。その後の災害や戦禍によって消失してしまった原稿や掲載誌が多く、近現代文学を研究する学者の中でも「英時景」という作家はとてもマイナーな存在として扱われている。
しかし、細く長く、彼は物語を書き続けたそうだ。彼の一番の読者であり、最大の支援者でもある、最愛の妻のために。妻も彼に寄り添い、執筆を支えていた。夫妻はとても仲睦まじく、その様子は他の文豪たちが残した書簡にも記されている。
二人は目も当てられないほどのおしどり夫婦で、互いにずっと恋をし続けているようだ、と――。
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