第六十八話 山小屋の男【シロ】
キビナに到着して六日目、僕たち三人分の防寒着が完成した。
予定よりも早い、ミランダの言う通りにしたおかげだ。
チル・・・すぐに向かうよ。
できるだけわかりやすいところにいてね。
◆
「おー、あったかーい」
ミランダが外套に腕を通した。
かなり分厚いから本当に暖かいんだろう。
「一生使えそうですね」
「私の腕を舐めないでちょうだい」
「信頼してましたよ」
ニルスも笑顔だ。
僕は結界の中に入るまでわからないからな・・・。
「で・・・シロの腕前はどうだったの?」
ミランダがいじわるな顔でフラニーのお尻を触った。
ちゃんとやってあげたんだけどな・・・。
「早くできたんだからそういうことよ」
「旦那さん喜んでた?」
「まあ・・・ね。シロちゃんのことも気に入ってくれたの。・・・男の子も欲しいって言ってたからね。ずっとうちにいてもいいよとか言い出しちゃって」
「わたしとシー君のために、お仕事休んで牧場に連れてってくれたんですよ」
バニラが僕の手を握った。
たしかに・・・よくしてもらったな。
「でも最初はびっくりしてたのよ」
「なんで?この子がなんかしたの?」
「シロちゃんに言われた通りに、裸になってベッドにいたのよ。そこにうちの人帰ってきちゃって・・・」
「あー・・・変なコト想像しちゃったんだ」
すぐ誤解は無くなったんだけど・・・。
「お前・・・そんな子ども・・・って。久しぶりに大声で笑ったわ」
「あはは、まあそう見えても仕方ないかもね。で・・・夜は?触らしてあげたの?」
「どうかなー」
「ちょっとお母さん、アカデミーに間に合わなくなるから早く行こうよ」
バニラがフラニーとミランダの間に入った。
そうだ、僕たちも早く出なければいけない。
◆
登山道の入り口に着いた。
今から・・・。
「シー君頑張って!戻ったら一番にわたしの所に来てね」
「うん、きっとそうするよ」
「約束だよ」
バニラがぎゅっとしてくれた。
「・・・」
「・・・」
ミランダとニルスがニヤニヤしてる。
気になるけど、見ないようにしよう・・・。
「あとね・・・シー君にお守りを作ったの」
「お守り?」
僕の腕に幅広の紐が結ばれた。
よく見ると、ただの紐じゃなくてしっかりと編まれたものみたいだ。
「アカデミーの休み時間に作ってたんだ。・・・シーに着けてあげてたリボンを編み込んであるの」
「よかったねシロ、大事にするといい」
ニルスが頭を撫でてくれた。
「うん、ありがとうバニラ。じゃあ・・・行ってくるね」
「うん・・・」
手は離れてしまったけどまだ温かい。そのまま手袋をはめて逃げないようにした。
「ニルス、受取書よ。とっても感謝してるから割引するからね。戻るまでには作っておくから必ず取りに来るのよ?」
フラニーがニルスに一枚の紙を手渡した。
約束・・・それがあれば必ず戻ってこれる。
「はい、ありがとうございます」
「シロちゃんに聞いたけど、お母さんと妹さんのなの?」
「・・・はい、直接渡せるかはわかりませんが・・・」
アリシアはどんな人かわかったけど、ルージュはどんな子なんだろう?
早くニルスと話しているところを見てみたいな。
「しっかりと魔法をかけて作るわ。でも最後の仕上げは残しておく。あなたの想いも込めないとね」
「・・・そうですね。残しておいてください」
ニルスの穏やかな微笑みは、僕を旅に誘ってくれた時と同じものだった。
誰かを本当に想う時にする顔、そんな感じかな。
◆
「登山道には目印の旗があるの。絶対に逸れちゃダメよ?たどれば日が暮れる前には山小屋に着くはず」
フラニーは真面目な顔でニルスに告げた。
僕は何度も聞いたから忘れることはない。
「じゃあ行ってきます」
「うん、戻るのを待ってるからね」
「みなさん頑張ってください」
「よし、行こう」
僕たちは二人に手を振って山を望んだ。
「あ・・・今気になっちゃったんだけど・・・シロの鞄って結界の中で使えるの?確認してないよね・・・」
一歩進んだ時、ミランダが不安になることを言った。
「ちょっと・・・せっかくいい感じの見送りになったのに」
「ミランダさん・・・」
フラニーとバニラが目を細めている。
たしかに、なんかカッコ悪いな・・・。
「ごめん・・・大事なことなのよ」
「・・・たしかに気になるな。念のためだけど、ふた月分くらいの食料を買った・・・ダメなら荷物が一気に増える。そして、全部は持っていけなくなる・・・」
僕たちは、毎日夕方の市場に通って食料を買っていた。
町の人たちの迷惑にならないように、みんなの買い物が終わって市場が静かになった頃に・・・。
『売れ残り・・・全部ください』『傷んでいても構いません』『必要なんです。・・・お願いします』『・・・すべて食べれます。無駄にはしません』
それがあって、ニルスは市場の有名人になってしまった。
『おい、救世主が来たぞー!』『キノコがたくさんあるの』『卵がいっぱい売れ残っちゃったのよ・・・』『ミルクも買ってくれるの?』
みんな喜んでくれて・・・。
『あの・・・わたしたちが育てたものも買ってください』
キビナの孤児院の子たちまで来てくれた。
『いいよ。野菜かな?』
『ニンジンです』
『え・・・』
『みんなで頑張って育てたんです・・・』
『・・・うん・・・買うよ・・・』
『え!!ちょっと、そしたらうちのニンジンも買うよね?』
『・・・はい』
だから無駄にしたくないよね・・・。
「シロ・・・早く確かめよう・・・」
「う・・・たぶん大丈夫だと思うけど・・・試してみよう」
僕たちはキビナに足を踏み入れ、結界の中に入った。
寒い・・・でも外套のおかげで凌げそうだ。
「シロちゃんの鞄って本当に便利ねー」
「なんでも入るんだよ」
後ろから呑気な声が聞こえる。
なんか緩んじゃったけど、確かめないといけない。
「えっと・・・取り出しはできる・・・あ、大丈夫だ、しまえる」
よかった・・・まあこれは魔法とも違うから当然か。
「ふーーー・・・問題ないみたいだな」
「うん」
これで安心して身軽で進むことができるぞ。
「待ってシロ、今取り出したの何?」
ミランダがちょっと恐い顔になった。
今出したのって・・・。
「ああこれ?雲鹿の角だよ。牧場に行ったら売ってたの」
「変なもん買って・・・。無駄遣いするとお小遣い貰えなくなるわよ」
「えー、だってここでしか買えないんだよ。無駄じゃないよ」
自分ではそう思っていた。
この買い物は無駄じゃないはず、ニルスならわかってくれると思うんだけどな。
「ニルス様、シロが無駄遣いしてますよ」
「・・・オレも欲しい」
「こらニルス、お金の使い方はちゃんと教えないといけないでしょ」
「え、ああ・・・シロ、無駄遣いはダメだよ・・・あとで見せて」
最後は小声で言われた。
やっぱりニルスはわかってくれてる。こういうのは、ミランダにはまだ早いのかな。
「じゃあ、改めて・・・行ってきます」
「うん、頑張ってね」
「シー君、ずっと待ってるからねー」
二人の見送りは、さっきよりも気の抜けたものだった。
まあ、こっちの方がいいかもな。
◆
「ニルス、そんな無理に踏み固めていかなくていいよ。あたしも鍛えないといけないからさ」
真ん中を歩いていたミランダがニルスの背中を叩いた。
「オレも鍛えたいんだけど・・・」
「ほどほどにしなよ」
「シロ、歩きにくくない?」
「・・・二人が道を作ってくれてるから」
雪山は思っていたよりもしんどかった。
今の僕は人間とほとんど変わらない。外套のおかげで体は寒くはないけど、顔の出ている部分には冷気が当たって凍りつきそうだ。
「とにかく山小屋を目指そう」
「シロ、疲れたら言いなさいよ。ニルスにそりで引っ張ってもらうから」
「僕だって頑張る!」
強がってしまった。
まだ山に入ったばかり、これからもっと辛くなってくるかもしれない。
チルに会えればなんとかなるんだけどな。・・・雪山用の靴も重いし、人間って不便だ。
◆
お昼を食べて、また歩き出した。
でも疲れてていつもみたいに楽しくなかったな・・・。
味も憶えてないや・・・。
はあ・・・はあ・・・苦しくなってきたな。
ニルスは・・・平気そうだ。ミランダ・・・ひとり言はまだだから苦しいのは僕だけか・・・。
「・・・シロ、そりを出そう」
「・・・うん、その方がいいよ」
ニルスとミランダが振り向いた。
足手纏いにはなりたくない・・・。
「まだ・・・歩けるよ・・・」
「ダメだ。シロはオレたちと違って体が小さいから体力の消耗が早いんだよ」
「ここまで歩けただけですごいよ」
僕の体がそりに乗せられた。
・・・こういうのやだな。
「ごめんね・・・」
「大丈夫だよ、いい鍛錬になる。落ち着いたら周りの景色を眺めてみて。・・・とても綺麗だから」
「あたしもここまでの雪は初めてだな。白銀の世界・・・町と違ってそれだけ・・・」
「白銀・・・」
二人の言葉で、初めて視界を広げた。
これから通る道も、さっきまで歩いた道も全部真っ白で、目印の旗が無ければ方向の感覚がなくなりそうだ。
「わあ・・・広いなあ・・・」
目の前だけ・・・二人の背中しか見ていなかった。
「そうだね。二人と見るこの景色はとても価値がある・・・」
「あれれ・・・ニルスくーん、また色付けてんの?」
「・・・そうだよ。ずっと残るように」
遠くを見渡すと、山々の連なりが僕らを静かに見下ろしていた。
なんだか僕のすべてを飲み込んでしまいそうなほど大きい・・・美しさの中に底知れない恐怖もある。
これは、精霊の力が封じられていなければ生まれなかった感情・・・。
「今までもそうだけど、こういう景色をもっと見たいんだ。・・・仲間と一緒に」
今みたいに遠くを見つめるニルスが一番好きかもしれない。色々な顔をするけど、これが純粋な本当の姿なんだと思う。
ずっと遠くを見ているニルス・・・君と一緒ならどんなに困難な道でも越えていける。
◆
景色は変わらない・・・でもけっこう進んだ。
空はまだ色付いてないけど、そろそろだと思う。・・・辿ってきた旗、何本越えてきたか数えておけばよかったな。
「雲鹿のお肉って、あたしの胸と同じくらい柔らかいよね。・・・つまりニルスとシロはあたしのおっぱいを喜んで食べてた・・・」
ミランダのひとり言が始まった。
ああ、疲れてきてるんだな・・・。
「ニルスの足ってどうなってるんだろ・・・どんな鍛え方したらあんな速く動けるのかな・・・」
「・・・」
登るほど雪の量は増えて、ニルスの負担も大きくなってきている。・・・僕を引っ張っているからなおさらだ。
「ニルス、そろそろ歩ける」
僕はそりから降りた。
「・・・無理はしないでね」
「大丈夫だよ」
これは嘘じゃない。ここから山小屋まで歩き切るんだ。
「よし、頑張るぞー」
たくさん休ませてもらったからかなり回復した。
これでニルスの負担も減る。それに、景色を見れば疲れはごまかせそうだ。
「じゃあシロの気がまぎれるようにお喋りしながらね」
ミランダの声がちょっとだけ元気になった。
「いいよ」
僕もそうしてあげよう。
「ふと思ったんだけどさ、バニラってけっこうヤバい女かもしんないよね」
「え・・・」
いきなり変な話になったぞ・・・。
「なんでそう思うの?」
「いや・・・死んじゃった猫ってオスだったんでしょ?で、バニラといつも一緒にいた」
「うん。フラニーが言ってたけど、バニラに一番懐いてたって」
だからあんなに泣いていた。
きっとシーも別れたくなかったよね。
「つまり、人間で言ったら恋人みたいな感じだよね?」
「え・・・そうなのかな?」
「恋人が死んじゃったその日に、新しい男に気持ちが移った・・・これちょっとすごいよね」
「あはははは」
一番前のニルスが笑い出した。
何がそんなにおかしかったんだろう・・・。
「なによニルス、さっきからあたしの話無視してたくせに・・・」
「いや、すごい想像力だなって思って」
「そうだと思わない?」
思わない・・・。
「大好きではあったと思うよ。でも、恋人じゃなくて家族って感じじゃないかな」
「・・・ああ、なるほど」
「なるほどって・・・普通はこう思うよ」
「・・・娼館のお姉さんたちの影響だよ」
みんなでお喋りすると本当に気がまぎれる。
このまま行こう・・・。
◆
「あ・・・山小屋だ。はあ・・・雪があるとやっぱり時間がかかるな。まあ天気が良かっただけマシか」
やっと目的地が見えて、ニルスが溜め息をついた。
もう夕暮れ間近、たしかにただの山道ならお昼には着いていたかもしれない。
「ニルスがあたしの話を十五回無視した・・・。これ無視したら十六回ね・・・」
「・・・十三回だ」
ニルスは振り向いて答えた。
安心したからか、ちゃんとミランダの方を見て話せる余裕が出てきたみたいだ。
「とりあえず急ご・・・あ、いいねー・・・絶対ぽかぽかだよ」
「いい人らしいし、休ませてもらおう」
山小屋の煙突からは煙が上がっている。
いったいどんなおじさんがいるんだろう・・・。
◆
「冒険者か・・・久しぶりだな。俺はラッシュってんだ」
扉を叩くと、ニルスよりもずっと大きいおじさんが出迎えてくれた。
中では火が焚かれていて暖かく、外とは別世界に来たって感じだ。
「初めまして、ニルス・クラインといいます。彼女はミランダ、この子はシロ・・・輝石を探しに来ました」
「でっか・・・ねえ、ラッシュはなんでこんなとこに住んでるの?」
「キビナを登る奴の手助けをしてるんだ。まあ趣味だな」
町の方でさえ寒いのに、より厳しい環境にわざわざ住んでるなんて変わった人だな。
でも、そのおかげで僕たちは助かってるから感謝しないとね。
◆
僕たちは暖かい小屋の中に入れてもらった。
ああ・・・疲れた・・・。
「あの・・・ラッシュさんは昔冒険者だったんですよね?」
ニルスは座ると、嬉しそうな顔で尋ねた。
「あ?・・・なんで知ってんだよ。お前変態か?」
ラッシュさんは眉間に皺を寄せた。
たしかに気になるな。ここは初めて来るところだし、もちろん会ったことなんか無いはずだ。
「昔、未知の世界という新聞で取材されていたのを読みました」
「ああ・・・そんなことあったな。・・・十年以上前だ。えっと・・・なんとかスパイクって名前の記者が来た」
「ここより先に、いくつか山小屋を作ってくれているとも書いてありました」
「ああ、そういう手助けだ」
ニルスが好きだって言ってた新聞か、僕も今度見かけたら読んでみよう。
「つーか変な組み合わせだ。兄ちゃんと姉ちゃんは何とかなりそうだけど、ガキまで連れてきた奴は初めてだよ。虐待・・・って感じでも無さそうだな」
「わ・・・」
僕の頭が大きな手で隠された。
全部がニルスより大きい・・・。
「ボウズ、しんどかったか?」
「うん、普段なら平気なんだけど・・・」
「お、負けん気は充分だな」
本当なんだけどな・・・。
◆
「こんくらいでいいか?」
「助かります」
「ありがと・・・」
「足りなかったら勝手にくべていい」
ラッシュさんは僕たちのために火を大きくしてくれた。
ずっとこの感じがいいな。
「別に意地悪するわけじゃねえが・・・輝石は見つからないと思うぞ」
「え・・・どういうことよ?」
「・・・輝石は本当に強い奴を待ってんだ。それに風みたいに気まぐれでな。だから今まで誰も見つけられてない」
ラッシュさんの話し方には違和感があった。
たぶんこの人は、チルのことを知っている・・・。
「チルがどこにいるか知ってるの?」
聞いてみれば早いよね。
「チルは普段もっと上の・・・お前ら・・・何者だ?」
ラッシュさんの目が鋭くなった。
やっぱりか・・・。
「僕はチルと同じ精霊なんだ。ここに張られた結界で今は力を使えないけど・・・」
「証明できるか?精霊なら似たような石を持ってるって聞いた」
「うん、持ってる」
僕は首から下げていた輝石を見せた。
「・・・それなら話は別だな、会いに行くといい。・・・あと二日早ければここにいたんだけどな」
ラッシュさんは睨むのをやめてくれた。
「そうだったのか・・・じゃあ今はどこにいるの?」
「もっと上、三つ目の山小屋だ。ちょうどキビナの中腹だな。そこに普段はいて、寂しくなったら下りてくるんだ。ボウズが持ってる鞄と同じもので材木を一気に運んでくれたりする」
自分から姿を見せているのか・・・。
でも、なんとなくわかる。僕はメピルを作ったけど、チルにその力は無い。寂しくなってこの人に近付いたんだろう。
「まあ今日はゆっくり休んでいけ、姉ちゃんは俺と一緒の部屋でも許すがどうする?」
「とっても失礼ですがお断りします」
「はっはっはっ、冗談なんだから真面目に返すなよ。それと、裏に温泉が湧いてる。入ってきていいぜ」
ラッシュさんは豪快に笑った。
見た目は恐いけどいい人だな。
「温泉・・・嬉しい・・・。シロ、ひと休みしたら一緒に行こ」
「うん、ニルスは?」
「・・・オレはラッシュさんと話したいからあとでいいよ。・・・体も自分で洗う」
ニルスは一瞬だけミランダを見てから答えた。
「そ、そうなんだ・・・じゃあ、あたしたちだけで行ってくるね」
「うん、温まってきてね」
「あはは・・・うん」
ミランダもそれを察している。
たぶん傷痕のことだ。
一緒に入ったらニルスが意識してしまうって考えてるんだろうな・・・。
「あ・・・そういえばさ、なんでここに輝石があるって話が伝わってるの?」
ミランダは話題を変えた。
雰囲気を明るくするためだと思うけど、かなりわかりやすい・・・。
「オレも知りたいです」
ニルスもそれに乗っかった。
・・・遠ざけたいんだな。
でも、この話は僕も聞いた時から変だなって思っていたことだ。
町の人たちも『昔からある言い伝えだよ』って、みんな知っていた。
ラッシュさんは、チルからなにか聞いてるのかな?
「ああ・・・その話はチルが自分で広めたって言ってたな。いつか強い奴が来たら、輝石と引き換えにお願いを聞いてもらうとか・・・」
「もしかして・・・シロを引っ張り出してって感じ?」
ミランダの予想は本当だと思う。
「だとしたら逆になっちゃったな」
「うん・・・随分待たせた・・・」
強い人が来てくれれば、きっと僕も勇気を出してくれる・・・それを信じて輝石の話を伝えた。
チル、今までずっと不安だったよね・・・。
だけど君の思いは長い時間をかけて風に乗り、とても強い人に届いたよ。
だから・・・もう少しだけ待ってて。




