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Our Story  作者: NeRix
地の章 第一部
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第四話 雷神【アリシア】

 夜明けよりもずっと前、空は濃い漆黒に染まっている。

孤児院のみんな、ルルもまだ眠っている時間だ。

 

 私は二度目の戦場・・・熱くなりに行こう。



 訓練場の奥、私は時が来るまで一人で瞑想をしていた。


 「アリシア、そろそろだ」

ウォルターさんの声が後ろから聞こえた。


 「点呼が始まる前に魔法陣のとこ行くぞ」

「・・・はい」

私は立ち上がった。

 温度の高い血が体中を駆け巡っている。

・・・いい状態だ。



 「そういや、お前って街から出たことあるか?」

ウォルターさんが歩きながら話しかけてくれた。

この人は慣れているだけあっていつも通りだな。

 

 「いえ・・・テーゼから出たことはありません」

「ふーん、まあまだガキだしな」

テーゼ、それが私たちの住んでいる街だ。

 

 神がこの場所に魔法陣を用意したことで、それに合わせて街が作られた。

王城もあり、大陸では一番大きく、一番人や物の集まる場所でもある。


 「というより・・・北区と西区にも行ったことはないですね・・・」

街は五つの区画に分かれている。

 私の孤児院がある南区、王城や商店通りのある中央区、訓練場がある東区、そして行ったことの無い北区と西区だ。

市場は各区にあるし、この街から出なくても困ることはない。


 「ウォルターさんはどこかに行ったことがあるんですか?」

「ああ、エイミィと結婚した時に馬車で旅行したんだよ」

馬車で旅か・・・。あまり興味は無いな。

 「お前もそういう日が来るかもしれないぞ」

「どういう意味ですか?」

「結婚とか」

「・・・興味ありません」

男といる時間があるなら鍛えた方がいい、だからそんな日は来ない。


 「変な顔すんなよ。そうだ、勝って戻ったら酒場に連れてってやる。酒はやれないけど、好きなもん食っていいぜ」

「それなら・・・友達のルルがいる中央区の店に行きましょう。勝ったら戦士を大勢連れてこいと言われています」

「ああ、あの子ね。じゃあそうするか」

ルルの働いている酒場は、中央区にある大きめの店だった。

 でも近くに新しい酒場がいくつもあって、あんまりお客さんが来ないらしい。

今日みんなを連れて行けば、戦士の集まる店になるだろうな。



 「えーと・・・俺たちの隊は・・・」

魔法陣の間に入った。

 「・・・あそこです」

「お前のせいでこうなった」

「や、やめてください・・・」

他の戦士たちはすでに整列していた。

この人、わかってたんじゃないのか?


 「みんな偉いな。俺たちが最後なんじゃねーの?」

「私を・・・どうしたいんですか?」

「おい、早く自分の隊のとこ行け」

他の隊の人に怒られた。

遅れたわけではないが、こういうのは気まずく感じる。



 「各隊点呼を取れ!」

べモンドさんが現れ、人数の確認が始まった。

 直前でも辞退は認められる。

だから後ろには待機兵たちも集まっていた。


 「治癒隊よし!」

「支援隊よし!」

「死守隊よし!」

「反撃隊よし!」

前線以外は点呼が終わった。


 「突撃隊と遊撃隊も急げ!」

前線の人数は六百人、突撃隊と遊撃隊だ。

 治癒隊、支援隊、死守隊、後衛の反撃隊は各百人、全部で千人となる。

もちろん、上下することはあるが基本はこれでいくらしい。


 「アリシア、功労者狙えよ?」

「あの・・・点呼が終わるまで静かにしててください」

前線は功労者に選ばれる割合が高い、だが戦死者も同じくらい多く出る。

 「十三だと最年少だ。孤児院も助かるだろうな」

「孤児院は・・・」

「静かに待ってろ!」

また怒られた。

私のせいじゃないのに・・・。



 「アリシア、仕上がってるみたいだな」

点呼が終わると、べモンドさんが私に気付いて話しかけてくれた。

この人も余裕があるな。


 「大きなことは言えません。ただ、やれることをやるだけです」

この半年間の間にできる限り励んだ。

 「いい顔になったな。・・・期待しているよ」

「ありがとうございます」

驕りは捨て、より多くの戦士から学び強くなった。

前とは違う、だから今回が初の戦場のつもりで挑む。


 「出発だ!前線から移動しろ!」

魔法陣が輝き、私たちは戦場へと移動を始めた。

以前と同じですぐに景色が変わり、血の匂いが鼻を突いてくる。



 「お・・・来たぞアリシア」

こちらの陣形が整ったところで、魔族たちも姿を現した。

相変わらず影のような見た目だ。


 「気味の悪い奴らだよな。向こうからしたら、俺たちもそう見えてるのかもしれないけどさ」

自分たちと違う見た目、たしかに敵からしたらそうなのかもしれない。


 「後ろの方にドラゴンがいるな。飛ぶのは・・・二、三・・・六か。アリシア、あれ一体でも仕留めたら功労者になれるぞ」

ウォルターさんは私とドラゴンを戦わせたいみたいだ。

けど、あれを相手にするよりかは周りの奴らを倒していった方が早く決着がつくだろう。


 「私は・・・戦えればそれでいいです」

「なんだお前、戦闘狂か?」

横にいた戦士が薄ら笑いを浮かべた。

 「そうだよ、アリシアはそれ以外に興味ない」

「勝手なことを・・・とにかく、目の前に来たら戦います」

たしかに・・・やってはみたい・・・。

前回よりも血が滾ってきた。



 「夜明けだ!突撃しろ!!!」

隊長の声で私は走った。

誰よりも早く敵陣へ到達してやる!


 「お前が一番に斬り込め」

ウォルターさんが横にいた。

 「任せてください!」

熱が上がる・・・もっと速く・・・。



 「これ以上先へは行かせない!!」

敵が構えるより早く懐へと突っ込み、体当たりを食らわせた。

 「お前はここまでだ!!」

私は剣を抜き、よろけた敵を一撃で仕留めてみせた。


 よし、口火を切ったのは私・・・。

他の戦士たちも続き、混戦状態が始まる。

 ・・・やはり前線はいい、まだまだ熱くなれそうだ。

死守隊とは比べ物にならないほど興奮するし、攻撃が決まると全身に甘い痺れが走って気持ちいい・・・。



 ただ目の前に立つ敵を斬っていった。

後ろにはウォルターさんが付いていてくれて、背中の心配を一切しなくていいから助かる。


 「・・・アリシア、ドラゴンだ。飛ばれると治癒隊が半壊するかもしれない。遊撃隊と協力して仕留めてこい」

私に向かって来るものがいなくなった時、ウォルターさんが指示をくれた。

隊長でもないのに・・・。

 「仲間と離れたから合流させてくれって言え!」

「あとは知りませんよ!」

「死ぬなよ!」

「はい!」

つまり、全部この人のせいにしていいということだ。

たぶん、私に機会を作ってくれたんだろう。


 ドラゴンか・・・巨人よりも大きい。

駆ける足に力が入った。

どれくらい強いんだろう・・・。



 「どけーーー!!!」 

目の前の魔族を薙ぎ払い、押しのけながら走った。

残ったのは後ろの人たちがやってくれる。


 「ちっ・・・またか!支援隊は・・・」

何体目かで剣が折れた。

これはなんとかならないのか・・・。

 「遠いな・・・」

近くに武器を持った支援隊はいない、私だけについてくれる専属が欲しい・・・。


 「く・・・これでいい」

私は落ちていた剣を拾った。

 喰われた仲間や敵が落としたもの、使えるものはなんでも使えと教わっている。だが拾うときに、一瞬でも隙ができるのが嫌でしょうがない。

 戦いだけに集中したいな・・・。それなら専属の支援隊よりも、壊れない武器が欲しい・・・。



 「アリシア・クラインです!自分の隊と離れてしまいました!」

ドラゴンと交戦中の遊撃隊と合流した。

体温が上がっている・・・なんでもできそうだ。

 

 「隊長のジーナよ・・・ってアリシアじゃん。私好みの女・・・」

「あ・・・はい」

この人の隊だったか・・・。

ジーナさんはたまに話すけど、いつもおかしな手つきで私を触ってくる変な人だ。

 「私の指揮下に入るってことね?」

「そうです!」

「気合入れな」

でも、いつもと違う。さすがに戦場では真面目なんだな。


 「・・・火球には気を付けて、受けたら一瞬で灰になるよ」

「はい!」

周りにはその跡がある。・・・少なくとも十人はそうなったみたいだ。

 仲間がやられても常に冷静でいなければ勝利は得られないとも教わったが、わかっていてもすぐにできることではない。

この人は何度も来ているから落ち着いていられるんだろう。


 「足を狙いましょう。地に伏してもらえれば頭も狙える」

「へえ、よくわかってんじゃん。ならあんたは後ろ足に行きなさい。いい?飛ばれたら陣形が崩れる。責任重大よ」

望むところだ。


 「作戦名背徳!!私とアリシアで行く!!」

ジーナさんは自分の隊へよくわからない指示を出した。

 なんだ・・・暗号か?

いや、気にせずに行こう。



 私はドラゴンの後ろまで回り込んだ。

すぐ近づけると思っていたが、長い尻尾を常に振っていて時間がかかってしまった。


 先に・・・切り落とすか。

尻尾が右へ大きく振られたと同時に、近くの大岩を踏み台に飛び上がり、気合を込めて剣を振り抜いた。

 「く・・・硬い・・・」

だが私の剣は尻尾の半分で止まった。

・・・抜けない。そして切り落とすにはもう一撃が必要だ。

 「だが今の内に・・・」

それでも効いてはいるようで、ドラゴンは怯んでくれた。

こいつも叫び声一つ上げない、動きで状態を把握するしかないな。


 「尻尾にこだわるな!!まずは足!!」

「・・・はい!!」

ジーナさんの指示で本来の目的を思い出した。

 ・・・その通りだ。

私は落ちていた戦斧を拾った。

これでいける・・・。


 大地を蹴り、足元へと潜り込んだ。

傷を付ければもっと怯み、腹を地面に落とすはずだ。

 

 「沈め!!」

足を狙い、おもいきり戦斧を振り落とした。

 重量のおかげもあって、今回は鱗と骨も貫いた感覚があるが・・・確認している余裕はない。

私は潰されないうちに腹の下から抜け出した。


 「ジーナさん!」

「任せなさい!」

すでにジーナさんがドラゴンを駆け上がっていて頭・・・いや、あの不気味に光る眼へ剣を突き立てた。

私もやってみたい・・・。


 「終わりね!!」

ジーナさんは突き立てた剣から手を離し、腰の短剣を抜いてもう片方も潰した。

これであいつも終わり・・・。

 「嘘・・・倒れない・・・浅かったか・・・」

じゃなかった。

そしてまずい・・・翼を広げている。


 「ジーナさん飛び降りて!」

ドラゴンは両目に剣が突き刺さったまま飛び上がった。

 「まずいな・・・」

そして上空から、あたりかまわず火球を吐き出し始めた。

・・・見えてはいないようだ。



 「ごめんアリシア・・・折った」

ジーナさんが右腕を押さえて駆けてきた。

着地で体勢を崩したらしい。


 「いえ、なんとかできないか考えましょう」

切り替えなければ。

 飛ばれては死守隊でもどうしようもない。そして治癒隊は領域を解除し、下がるしかなくなる。つまり、前線も下がらなければならない。


 「私は近くに付きます。わけもわからず遠ざかっていきますが、壁際に移動してくれれば駆け上がって飛び移れるはず。ジーナさんは腕を治してきてください」

ざっと見たところ今回は接戦だ。残り何人かはわからないが、ここで治癒を解き、下がっては行けない気がする。

 「わかった。命は無駄にしないでね。治ったらすぐ助けにいくから・・・作戦名淫靡!アリシアを死なすな!!」

ジーナ隊が私に付いてくれた。


 「走ります!!」

ドラゴンは治癒隊とは逆の方向、まだ余裕がある・・・。

あれは私が仕留めよう!!



 「邪魔をするな!!」

走る私たちの行く手を魔族が遮ってくる。

どうやら敵はあのドラゴンを死守したいようだ。


 「アリシア、しくじったのか?」

元の隊が駆け付けてくれた。

 「ウォルターさん・・・申し訳ありません。何とかします」

「なったもんは仕方ない。・・・見えてないのが逆に恐いな、動きが読めない。火球もあるし、人数は割けないぞ」

たしかにそうだ。あれに立ち向かうよりは、先に敵の数を減らしたほうが早い。

 「けど、あれが生き残ると次回も来るかもな」

可能性はある。

 やはり今回仕留めておかなければ厄介だ。傷を癒し、次はもっと強くなって出てくるだろう。


 切羽詰まった状況なのに、私の体温は上がっていた。

疲れは感じない、むしろ今まで以上に動けそうだ。

やっぱり私は、ここで戦うために生まれてきたんだろう。


 「まあ、勝手に敵が減るのはいいけどさ・・・」

「はい・・・こっちも・・・」

ドラゴンは火球を絶え間なく吐き出し、敵も味方も関係無く灰にしていく。

 壁際に行ってくれればなんとかなるのに。

それに、ただ待つわけにはいかない。周りの奴らも相手をしなければ・・・。



 「やべー・・・」

もうじきドラゴンに追いつくというところだった。


 「引き返すぞ!!」

ウォルターさんが叫んだ。

 「走りましょう!!」

目の見えないドラゴンが闇雲に向かったのは治癒隊のいる方向だった。

卑怯だとは思わないが、あちらだけ飛べるのは公平ではないだろ・・・。


 「どけ!」

振り返ると魔族たちが私たちを取り囲んでいた。

 「死守隊がいる!焦るな!!」

「しかし・・・」

戦いの終わりはまだだ。


 あと何人・・・あいつの次の火球でこちらが負けるかもしれない。

例えばドラゴンを怯ませた時、私も駆け上がってジーナさんの補助をしていれば・・・。

焦り、憤り、色々なものが吹き出してきた。

 

 『戦う力を・・・』

その時、不思議な感覚がした。

ああそうか・・・。

 「そこをどけええええええ!!!!!!」

私は全身に力を込めて叫んだ。

それは空気を震わせ、戦場全体に響き、私以外の動きを止めた。

飛び上がっていたドラゴンも、大地に吸い込まれるように落ちていく・・・。


 決着のついていない戦場に似合わない静寂。

時間が止まったわけじゃない、敵が動かないなら早く仕留めるべきなのに。


 「止まるな!!!勝機を逃す気か!!!!」

もう一度叫んだ。我に返った戦士たちが動きの止まった敵を倒していく。

私も目の前の敵を薙ぎ払い、落ちたドラゴンへと駆けた。



 『そこまでだ。人間の勝利だな』

あと一歩・・・そこで神の声が響いた。


 な・・・まだドラゴンが・・・。

両陣営が分けられ、戦いが終わった。



 私たちはテーゼへと戻ってきた。

納得のいかない勝利・・・もう少しだったのに・・・。


 「功労者、最後の一人は・・・アリシア・クライン」

べモンドさんが私の名前を呼んだ。

ああ・・・そういえば、そんなものがあったな・・・。


 「王から栄誉と褒賞をもらえるだろう」

・・・いらない。

 「睨むな、納得がいかないか?」

「・・・はい、私は何もできませんでした。ドラゴンも仕留められず、死者も多く出たと思います」

戦士たちはそれを覚悟しているから戦場に出ている。だから同情するつもりは無いが、もっと減らせたはずだ。


 「いや、今回の勝利はお前がいたからだ。見ていた者たちは全員そう言っている」

「私は・・・なにも・・・」

「叫んだのはお前だろう?」

「ああ、間違いなくアリシアだな。ビリビリきて全身が痺れたぜ」

たしかにどちらの敵も味方も全員動きが止まった。

あれは・・・私の力なのか。


 「これからも期待している。お前が参加することで、勝利が近付く気がするよ」

べモンドさんは私の肩を叩いて去っていった。

 私の力、本当にそうなら使いこなせるようにならなければいけない。

こんな勝利はもういやだ・・・。



 「アリシア、じゃあ夜にな。おい、ジーナも来いよ」

「いいよー、あんたの奢りね」

ジーナさんの腕はすっかり治っていた。

さすが治癒隊だ。


 「よしジーナ隊、ウォルターの奢りが決まった!!みんなで行くよーー!!」

「隊長が奢れ・・・」

「店の場所教えるから来たい奴は全員集まれー!!隊が違うとか気にしなくていいからねー!!」

元気だな・・・。まあ、ルルも喜んでくれるだろう。


 「ねえ、アリシア。うち来ない?全身綺麗にしてあげる。そのあとは一緒に寝て、起きたらウォルターのとこ行こ」

ジーナさんが誘ってくれた。

だが・・・。

 「いえ・・・私はここで瞑想をしていきます」

「は?」

「ではあとで・・・」

叫びの力、あの時の感覚を思い出さなければ。



 「晩鐘・・・そろそろ行かないと・・・」

結局夕方まで訓練場にいた。


 瞑想をして感覚を思い出しながら何度か叫んでみた。

だが、誰もいないからできているかわからない。

最初から気付いていれば・・・。


 まあいい、明日は誰かに付き合ってもらえるはずだ。



 酒場にはたくさんの戦士たちが集まっていた。

今回の死者は四百一名・・・それでも勝ったからみんな明るい。負けていたらこうはならなかっただろう。

 私も弔いをしなければいけない。

色々教えてくれた人もいたから・・・。


 「えーー!!!!」

ルルが口を大きく開けて高い声を上げた。

恥ずかしいからやめてくれ・・・。


 「ほんとよほんと。大金持ちの仲間入りだね」

「だって・・・まだ十三ですよ・・・」

「なっちゃったのは仕方ないよねー。あ・・・ルルちゃん、お酒無くなっちゃった。果実の一番高いやつね」

「あ・・・はい、今お持ちします」

ジーナさんとルルはすぐに仲良くなった。

これからもここに通ってくれるようになるだろう。


 「頑張ったねーアリシア」

ジーナさんの手が私の胸を揉んだ。

酔っているみたいだし・・・まあいいか。


 「アリシア、遊撃隊に来なよ。ウォルターとか、むさくるしい奴らと一緒は嫌じゃない?」

「本人の前でよく言えるな・・・。アリシア、やめといた方がいいぜ」

「私は前線に出れるなら誰の隊でも構わないですが・・・。最終的にはべモンドさんが決めることでしょう」

統率を要としている以上、勝手に隊を移動などできない。

今日のは・・・はぐれただけだから仕方なかったということにしておこう。


 「じゃあ、べモンドに話してみるね。雷神、しかも成人前の若い女戦士・・・・私の隊に欲しい」

「雷神?なんだそりゃ」

「ビリビリ感じたでしょ?他に意味は無し」

勝手に変なあだ名を付けないでほしい。

まあ「暴れ牛」よりはいいが・・・。


 「そういやアリシアは孤児だろ。もしかしたら親が雷神だったりしてな。それならまだ成人前なのにあんなに強いのも説明が付く」

ウォルターさんまで・・・。

 たしかに私は孤児だ。故郷は別な土地なのかもしれないけれど、親は人間だろう。


 「じゃあ隠し子よ。雷神の隠し子アリシア」

「おお、かっこいいな」「アリシアにぴったりだ」「いい二つ名だと思います」

他の戦士たちも頷いた。

もういい・・・好きに呼んでくれ。

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