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Our Story  作者: NeRix
風の章 第五部
263/481

第二百五十二話 気付く時期【ステラ】

 あれから本当になにも起こらないわね・・・。

ニルスたちはまだ戻ってこなそうだし、ハリスから新しい情報も無い。


 みんな警戒してるから言いづらいけど、ジェイスはもう来ないんじゃないかな?

カゲロウのことは切り捨てたみたいだし、戦場の復活っていうののために動いてるはずよね。

 つまり・・・安全。

だから今日は、ちょっと遠くにお出かけさせてもらうつもりだ。


 愛・・・どれくらい大きくなったか。

自分の目で確かめたい。



 「おはよう」

「・・・ああ」

ティムが談話室に入ってきた。

今日も配達終わったら訓練場かな?


 「朝のスープなに?」

「海藻だよ。エリィが仕込んでる」

「ふーん・・・」

「楽しみにしててね。・・・で、二人に美容水は渡してくれた?」

私はティムの胸をつついた。

なんとなく想像はつくけど、この子の言葉で確認したい。

 「きのう渡したよ・・・」

「ふーん、受け取ってくれたんだね」

やっぱりそうだった。


 『隠してたってわけじゃないけど、伝えておきたいことがあるの』

『なに?』

『ティアナが、ある事件に巻き込まれた子どもたちを引き取った』

『・・・聞くだけはしてやるよ』

子どもたちのことを知ったからだよね。


 「中に使用感を書く紙が入ってるの。しばらく使ったら持ってくるはずだから、あなたが受け取ってね」

「お前がやれよ・・・」

「私も色々忙しいの」

わざとに決まってる。ティムがいるのを知ってて来るんだから、二人はなにか思う所があるんだろう。だからそれを伝える手助けをしてあげただけ。

あの子たちはわかってそうだから「許して」なんてことは言わなそうだしね。


 「おはようございまーす」

炊事場に戻ろうとしたらジェニーの声が入ってきた。

シリウスの様子を見に来たのかな?



 「どうですかシリウス様、みなさんからひどい扱いはされていませんか?」

「いえ、とてもよくしてもらっています」

「言わされてませんよね?そこの目つきの恐い人とかに・・・」

「うるせーな。心配ねーからもう来んなよ・・・」

ジェニーはシリウスという名目ができて、五日に一度は様子を見に来ていた。

もちろん目的は他にある。


 「はあ・・・ニルス君、まだ戻ってきてないんですね・・・」

「残念だったわね」

「まあ・・・仕方無いですよ・・・」

ドキドキしたいだけなんだろうけど、さすがにひと月以上も顔を見れないと落ち込んでくるみたいだ。

 「美容水はどうだった?」

「ああ・・・乾燥してくる今の時期に合っていますね。前のよりも肌のガサガサが治まります」

「やっぱり季節によって使い分けた方がいいみたいね。旦那さんも見てくれるんじゃない?」

「あの人はそれが無くても見てくれます・・・」

ジェニーはつまらなさそうに目を逸らした。

ちょっといじわるしちゃったかな?


 「触ってもらったりしてる?」

「・・・まあ、ちゃんと仲良くしてますよ」

「その言い方やめなさい。旦那さんに悪いと思わないの?」

「いやいや、越えちゃいけない線はわかってます」

悪い女ね・・・。

さすがに旦那さんがかわいそうだ。

 「夫を愛していないわけじゃありませんのでそんなに心配しないでください。・・・いい人なんですよ」

「ならよかったわ」

「・・・でも、忘れられないんです。ニルス君を想っている時間は、甘くて切なくて・・・そういう気持ちをずっと持ってたいなって・・・」

たぶん・・・たぶんだけど、ジェニーに相手が決まっていなければ・・・ニルスは私たちと出逢うことはなかった。

心が凍ったニルスのために色々動いて、気持ちを射止めていたはずだ。


 「ただ、これ以上は踏み込みません。なので・・・ニルス君を奪おうなんて思っていないのでご心配なく・・・」

ジェニーは切ない顔で目を閉じた。

それはわかる。今のところはだけど・・・。

 「ずっと恋をしていたいだけってことね?」

「そうです・・・。これ以上想いを育てると、全部壊れることもわかっています。だからたまに会ってお喋りをする・・・それで我慢しようと思って」

「ふふ、戻ったら教えてあげる」

「よろしくお願いします」

ジェニーはいつも通りに明るく笑った。

まあ、少しくらいは気にならないからいいけどね。


 「それと、ステラさんもよくないと思います。好きなだけニルス君に迫ってもいいみたいな・・・そんな態度だと、わたしはいつか調子に乗ってしまいますよ?」

「その時は旦那さんと子どもの顔を思い出しなさい」

「・・・」

「よくできました」

でも、別に迫りたければやればいい。


 『こんな感じでゆっくり手を這わせながら・・・あたしも・・・ニルスが近くにいないから寂しいんだ・・・って』

ニルスはミランダから誘われても応じなかった。

それくらい私を想ってくれている。

 だから私も同じように想っているだけ・・・。

他からのちょっかいなんてすぐに吹き飛ばせる。


 「これからもニルスと仲良くしてあげてね」

「誰にも奪われない自信があるんですね。長生きだとそうなるんですか?」

「失礼ね、私はみんなに好かれているニルスが好きなの」

「じゃあ、ステラさんがもっとニルス君を好きになるように私も協力しますよ。あ・・・でも私がおかしくなってたら止めてくださいね」

ジェニーは少しだけ寂しそうに立ち上がった。

私に心の内を全部話すのは、危ない時に抑えてくれってことだ。


 彼女が踏み込んでもニルスは必ず断る。

そうなったら今の気持ちも全部壊れてしまう。

それだけは避けたいんだろうな。

 絶対にしてはいけないことだとわかってはいる。だけど手を伸ばせば届きそう・・・その高揚が彼女の快感。

 たしかに想っている時が楽しいのはわかる。だからジェニーの恋を責めるつもりは無い。心は誰にも縛れないから・・・。

 まあ・・・旅に出たら会えなくなるし、それまではたくさん話してほしい。

ニルスの数少ない友達だしね。


 「ジェニーさん、旦那さんを軽んじるのはよくありませんよ」

エリィが炊事場から顔を出した。

今のを全部聞いてたみたいだ。

 「軽んじていません、愛しています」

「では、これからも言葉の通りになさってくださいね。言動に責任を持ちましょう」

「・・・」

なにかありそうなら、エリィからのお説教でもよさそうだ。



 「ねえカゲロウ、ちょっといい?」

朝食の片付けが終わった。

あとはみんなのお昼とお洗濯、それが済んだら・・・。

 「色々終わったら、一緒に行きたいところがあるの」

というか、来てくれないと困るんだけどね。


 「孤児院でしょうか?」

「そうではないけど、子どもたちがいる場所よ。ちょっと遠いから連れて行ってほしいの」

「はい、お供します」

「ありがとう。お昼のお弁当は私が作るから、あなたはお洗濯を終わらせてきてちょうだい」

思った通りになった。

子どもたち・・・それを出せば来てくれるもんね。



 「あれ・・・今日はお弁当なんですか?」

お昼を作り終わったところにエストが入ってきた。

 「そうよ、あなたに伝えるからみんなにもよろしくね」

「どういうことですか?」

「ちょっと家を空けるの。何かあったらハリスを呼んでちょうだい」

書き置きもしていくけど、誰かに直接言っておいた方がいい。


 「え・・・あの・・・敵が来たらどうするんですか・・・」

「来ないわ。安心しなさい」

「言い切るんですね・・・」

「ええ、そこまで長居もしないと思うから大丈夫よ」

ジェイスは来ない。

まずこの家の存在も知らないだろうしね。


 「ステラ様、すべて終わりました」

カゲロウが戻ってきた。

かなり急いだみたいだ。

 「カゲロウさんもですか・・・いったいどこへ?」

「ルコウ」

「え・・・」

今日はスウェード家を訪ねる。

引き取った子どもたちがどうなっているのかを確かめるのと、新しい美容水と石鹸をティアナに渡すためだ。


 「ティムさんは・・・」

「知っているわ。あの子もここに敵が来ないってことはなんとなくなくわかってるんだと思う」

「心配なのはそっちじゃないですよ」

「そっちも問題無いわ。ティムは勝手にしろって言ってくれた」

さすがになにも言わずに行くことはできない。


 『子どもたちにも使ってほしいの。だから・・・その内ちょっと行ってくるね』

『いちいち聞くんじゃねーよ』

でも許してくれた。

もし「やめろ」って言われたらその通りにしてたんだけどな・・・。


 「ティムさんがいいんなら構いませんけど・・・」

「あの子を不安にさせることはしないわ」

「わかりました。じゃあ、わたしはなにも気にせずに仕事をしますので」

エストは倉庫に向かった。

 商会のみんなはティムのことを気遣ってあげられる。

私も一緒、だからそんな中で勝手なことをするわけないんだけど・・・。



 「カゲロウ、座ってちょうだい」

「まだ出ないのですか?」

食堂で二人きりになった。

あとは・・・。


 「これから行く所にいる子どもたちのことを知っておいてほしいの」

この子には話しておかないとね。

 「どういうことでしょうか?」

「みんな心に傷を持っている」

カゲロウにはもっと愛を育んでほしい。

だから、綺麗じゃない世界があることを教えておかなければいけない。



 「許せません・・・そんな人間がいるのなら八つ裂きにしなければ・・・」

話の途中でカゲロウの気配が変わった。

物騒ではあるけど、本当に子どもたちを想っているからだよね。


 「それはもう終わったの。ニルスはあなたと同じくらい怒っていたのよ」

「・・・ニルス様が解決してくれたのですか?」

「そうよ、それに子どもたちはもう安全な場所にいるわ。だからあなたにも会わせたいの」

「はい・・・会いたいです・・・」

カゲロウは一粒だけ涙を零した。

 シロのもそうだけど、精霊の涙はとても美しい。

その雫にはたくさんの愛がこもっているからなんだろう。



 「・・・で、私はそのお屋敷に行ったことがないの。だからあなたの人形が必要なのよ」

二人で庭に出た。

抱えてもらうのは疲れるから乗って行くのがいい。


 「鳥ですか・・・」

「そうね」

「やってみましょう・・・」

カゲロウが目を閉じて念じると、私たちの前に大きなツバメが現れた。

本物よりふさふさね・・・。


 「あなたはツバメなのね」

「目覚めた次の日、外を飛んでいた鳥を作りました。乗ってください」

「私はそこまで力が無いから落ちないように押さえててね」

「はい、絶対に落としません・・・」

ツバメは私たちを乗せると高く飛び上がった。

 「速さは調節します。辛い時は仰ってください」

「わかったわ、じゃあ北北東へ向かって。大きな川が見えたらゆっくりにしてちょうだい」

空を飛ぶのって気持ちいいな。

転移は楽だけど、こっちの方がワクワクしていい。



 「いらっしゃいませ。ご用件をお伺いします」

屋敷に入ると、執事のような人がすぐに出迎えてくれた。

中年の女性・・・本当に男はいないみたいね。


 「ティアナに会いたいの。ステラが来たと伝えてちょうだい」

「・・・お約束はございましたか?」

「無いわね。忙しいなら出直すからとりあえず伝えていただける?」

「・・・お待ちください」

執事は屋敷の奥へと消えた。

 本当に忙しいのなら改めればいい。

もう転移で来れるしね。


 「ここでティム様が育ったのですか・・・」

カゲロウが天井を見上げた。

育ったって言えるのかはわからないけど・・・。

 「十三歳まではね」

「ひどい仕打ちを受けていたと聞きましたが、今の女性は優しそうです」

「どうなのかしらね・・・」

聞いてみてもいいかな。


 「ティム様のお母様は、本当に子どもたちを愛せているのでしょうか・・・。ティム様のようにしているのであれば、すべて終わらせて私が引き取ります」

「大丈夫だと思うけど・・・それを確かめにきたのよ。話を聞いてみればいいわ」

「子どもたちを見ればわかります」

危ない子・・・。



 「失礼いたしました・・・聖女様とは知らずに申し訳ありません・・・」

執事は早足で戻ってきてくれた。

聖女を利用させてもらう時はあるけど、今回は普通に接してほしかったな・・・。


 「ティアナ様は中庭にいらっしゃいます。ご案内するようにと仰せつかいました」

「子どもたちもみんないるの?」

「いえ・・・全員ではありません」

まあそうよね。

まだひと月と半分・・・こんなに早く信頼を築けるはずはない。



 私とカゲロウは、執事に続いて中庭へと向かった。

廊下ですれ違う使用人たちもみんな女性だ。

私たちを見ると足を止めて、深く頭を下げてくれる。


 ティムはここで・・・カゲロウじゃないけど気になるわね。

・・・この人は仕えて長そうだし聞いてみるか。


 「ねえ、あなたはティムを知っているの?」

「・・・ティム様を・・・ご存じなのですか?」

執事が足を止めて振り返った。

目を見開き「信じられない」って顔をしている。

 「ええ、大切な仲間なの。・・・とてもいい子よ」

「生きて・・・」

今度は目が潤んだ。

この人は何を思っているんだろう?


 「正直に答えなくてもいいけど、一緒にいる男の子にティムのような仕打ちはしていないでしょうね?」

ちょっと確かめてみよう。

カゲロウがいるから偽りはすぐにわかる。

 「していません・・・」

「ティムにはしていたの?」

「・・・話しかけられても答えるなと、いないものだと思えと・・・仰せつかっていました。心を痛めていた者が多くいましたよ・・・」

よくわかった。

異常だと思っていた使用人もいた・・・この人もそうなんだろう。


 「ティム様が戻らず、私たちは探しました。・・・見つからず、領民からティム様がアカデミーで使っていた鞄が届いたのです。中には・・・もう帰らないと書かれた紙が入っていました・・・」

この人はその時、どれだけ心を痛めたんだろう?

 「その日の夜・・・使用人の何人かは、罪悪感からここを去りました・・・」

「まともな考え方の人ならそうなってもおかしくないわ」

主には逆らえない。

嫌なら他に行くしかなかったんだ・・・。


 「あなたもそういう感情があるの?」

「・・・私は、ティム様に謝りたいと思っています。屋敷を出るのならば少しでもお金を渡したり、どこへ向かえばいいかなど・・・。いや・・・私が連れ出せばよかったのです・・・」

「帰らずに飛び出したんでしょう?そんなに気にすることないわ」

「いえ・・・ああなる前に助けることができました・・・機会はいくらでも・・・」

泣いちゃいそうね・・・。

でも罪悪感を持ちながら、彼女がここに残っている理由はなんなんだろう?

・・・まあ、また会うつもりだし今度聞くことにしよう。


 「あなたの名前が知りたいわ」

「・・・ハンナ・コースレットです」

ハンナか・・・ティムに教えてあげよう。

 「伝えてあげるわ。それと、今のティムには仲間も恋人もいて、幸せな日々を送っている。だからもう心配することは無いからね」

「・・・」

ハンナは一度だけ鼻をすすった。

ティアナは、闘技大会で息子と戦ったことを話していないのね・・・。



 「この中庭を花でいっぱいにしよう。そうすればお姉ちゃんたちも今より元気になってくれるはずだ」

「でも・・・花はすぐに咲かないよ」

「そうだな、時間がかかるんだよ・・・」

中庭に入ると、ティアナと男の子が一緒に花壇を作っていた。

一人だけ・・・それも男の子か。


 「ティアナ様、ステラ様をお連れしました」

「ああ・・・温かい飲み物を用意してくれ」

「はい」

ハンナは一瞬だけ冷たい目でティアナを見て中庭を離れた。

・・・敵って感じだったな。


 「久しぶりね。その子は・・・」

「・・・」

私たちが近付くと、男の子が素早くティアナの背中に隠れた。

かわいい・・・。

 「ベルク、大丈夫だ。私が守ってやるから恐がらなくていい」

「うん・・・」

ふーん、ベルクっていうのか。

 たしかまだ五つ・・・お母さんに甘えたい年頃ね。

だから一番早く心を開いたんだろう。


 「こんにちはベルク君、なにをしていたの?」

私は膝をついて目線を合わせた。

まずは恐くないよってことを教えないとな。

 「・・・お姉ちゃんたちが元気になるように、新しいお母さんとお花畑を作ってた」

「そうなんだ。私はステラっていうの、こっちはカゲロウね」

「私たちは、恐いことはしないので安心してください」

「・・・うん」

ベルクはよりティアナの体にしがみついた。

かわいそうに・・・知らない人間を見るとこうなってしまうのね。


 「ベルク、そのままでいいから少し休もうか。・・・座って話しましょう」

中庭にはテーブルと椅子が用意されている場所があった。

今日みたいな天気のいい日にくつろぐって感じかな。



 「僕・・・ここでいい?」

「そんなことは聞かなくていい、好きな場所に座ればいいんだ」

「うん・・・」

ベルクはティアナの膝の上に座った。

うん、それがいい。


 「手は抱っこして」

「・・・これでいいか?」

「ふふ、かわいいわね」

「そう・・・ですね」

ティアナはベルクをしっかりと抱いて座った。

たぶんティムには一度もしてあげていなかったことだ。


 「・・・お姉ちゃんの髪はなんで銀色なの?」

ベルクがカゲロウの頭を見つめた。

お母さんに抱かれているから安心してるのかな?

 「元からこの色です。私は精霊なので」

「精霊・・・絵本で見た。空も飛べるの?」

「はい、飛べますよ」

「わあ・・・」

ベルクは初めてニッコリと笑ってくれた。

よかった、ちゃんとこういう顔もできるんだね。


 「私が抱っこしますので、一緒に空へ行ってみますか?」

「え・・・いいの?」

「はい」

「じゃあ・・・行く」

ベルクがティアナの膝から下りた。

もっと笑顔になって戻ってきそう。


 「ステラ様・・・彼女は本当に精霊なのですか?」

ティアナはちょっと心配そうだ。

初めて会った時はこんな雰囲気無かったんだけどな。

 「本当よ、そして子どもが大好きなの。カゲロウ、ケガだけはさせないでね」

「もちろんです」

「辛そうだったらすぐに下りてきなさい」

「はい」

子どもにとってこういうのは魅力的だ。

たぶん、孤児院で覚えてきたんだろう。



 「さて・・・どんな感じか教えてほしいわ」

カゲロウとベルクは空のお散歩に行った。

 「子どもたちのことですね?」

「当たり前でしょ。あなたを提案したのは私だけど、まだ大きな信頼は無い。だから様子を見に来たの」

私はこっちにも用があったから今の内に色々聞いておこう。


 「・・・女の子たちはまだ苦しんでいます。ただ・・・私がそばにいても許してくれるようにはなりました」

「やっぱり初めは拒まれたのね」

「当然です・・・。戻ってこない家族、見知らぬ土地・・・夜通し泣いている日々が続いていました。私はあの子たちの話をただ聞いて、一緒に泣いて、一緒に怒って・・・それだけをしてきました」

ティアナは目を閉じた。

 それでいい、まずはすべて吐き出させる。

痛み、不安、恐怖、全部受け止めてくれることをわかってくれれば少しずつ近付いてきてくれる。それは大人も同じだ。


 「・・・まだまだ時間はかかりそうです。アメリア・・・最初に攫われた子は、やはり誰よりも傷が深い・・・」

「どんな様子なの?」

「風呂では・・・肌が赤くなり、血が滲むまで体を磨いています。私には見えない汚れがあるのでしょう・・・」

心が痛む話だ。

・・・ゼメキス、死だけでは生ぬるかったのかもしれない。


 「そう・・・それなら、その子にもあなたにもいい物を持ってきたの」

私は試作品の美容水をティアナの前に出した。

これも目的の一つだ。


 「ミランダのスプリング商会で売っている美容水よ。薬効もあるし、落ち着く香りも付いているわ。治癒をかけたあとに毎日塗ってあげてね」

「私は・・・男を誘うようなものに興味は無いのですが・・・」

「誘えとは言っていないわ。いつでも綺麗なお母さんでいてほしいと思って持ってきたの。あなたに必要なくても、子どもたちに使ってあげて」

「感謝します・・・」

これは商会のためでもある。

 「こういうのは使ったことある?」

「スプリング商会のものではありませんが使っていますよ。・・・無論、誘うためではなく自分のためです」

「他のを全部買って調べてみたの。私の調合がどこよりもいい」

「・・・聖女様に勝てる者はいないでしょう。使わせていただきます」

気に入ってくれれば定期で買ってくれるはずだ。


 「あの・・・薬効があると仰いましたが、火傷痕のようなものは消えますか?」

ティアナは美容水の瓶を取り出した。

痕・・・。

 「そういう子がいるの?」

「・・・全員です。囚われていた時・・・オスに無理矢理やられたと・・・」

「説明なさい」

「・・・臍の下に刺青で紋様・・・尻には焼き印で数字が付けられていました」

ティアナの目が鋭くなった。

なんてことを・・・。


 「特級の医者にも診せましたが・・・一度皮膚を深く切り取り、素質と練度の高い治癒士に治してもらうしかないと。ですが・・・私はそれをさせたくない・・・」

まったく・・・王もそういうことは私に言っておきなさいよ・・・。

でも・・・これでよかったのかもしれない。

 「申し訳ないけど、美容水にそこまでの効果は無いわ」

「・・・わかりました」

「でも・・・消せる」

私ならできる・・・。


 「できるのですか・・・」

「再生の魔法で消せる・・・というか元に戻せる。人間には負担が大きいから渡していなかったの」

「お願いします!!」

ティアナは椅子から下りて跪いた。

・・・こういうの困る。


 「あれがある限り子どもたちの顔は晴れません・・・。テス・・・ベルクの姉も弟には見せたくないと、一緒に風呂に入ることができない・・・」

「落ち着きなさい。・・・再生の魔法を授けます。あなたが消してあげなさい」

私はティアナの手を取った。

 「私が・・・」

「やるならあなたの方がいいと思う。大きな信頼を得られる」

「私に・・・使いこなせますか?」

「これに素質はいらない。必要なのは心の強さ・・・かなり大きな負担がかかる」

彼女の愛・・・試したい。


 「できるのであればやります。負担など気にしていられません」

「寿命が縮まるとかでは無いんだけど、精神をかなり削られる。心を強く保つことができなくなるかもしれない。・・・自分が過去にしたことに苛まれると思う」

「私は・・・あの子たちを幸福にしたいです」

「わかりました・・・あなたに再生の魔法を授けます。ただ・・・他の誰かに伝えることは禁じます」

私はティアナの額に触れた。

・・・たくさん傷付くだろうけど、頑張ってね。



 「一人のものを消したら・・・五日は空けなさい。囚われの期間が長かった子からにしてあげて」

ティアナをちゃんと椅子に座らせた。

あとは注意点を教えてあげよう。

 「ひと晩で全員分消してあげたいです・・・」

こうなるだろうから・・・。


 「子どもたちのことも考えなさい。負担はあなたの想像以上・・・あなたが辛い顔をするのを見たら、自分たちのせいで・・・なんて思ってしまうかもしれない」

「・・・わかりました」

「ひと晩で五人・・・そんなことをしたらあなたが壊れてしまう。絶対にダメよ」

「はい・・・」

ティアナは私の目を見て頷いてくれた。

これで大丈夫・・・。


 「感謝します。ですが、消せるとわかっても・・・やはり怒りは消えません。死後であっても呪いたい・・・」

ティアナの顔が強張った。

こういうのやめてほしいな・・・。

 「そういう顔・・・子どもたちの前でしちゃダメよ?」

「はい・・・。やはり・・・王に進言し、一族すべてに罰を・・・」

・・・ちょっとだけ本当のことを教えてあげよう。


 「みんな盗賊だったらしいの。一族ではないけど、全員に報いは受けてもらったと聞いているわ」

「そうなのですか・・・野盗どもめ・・・」

これじゃダメだな・・・。

 「あなたはこれからを考えてあげなさい。まず・・・親としてあの子たちを助けた人にお礼が必要ね」

「あ・・・そういえば・・・そうですね。その方にも会いたい」

「もう会ってるわ。あなたを馬車で送ってくれた女性がいたでしょ?彼女がベルクを見つけたことで子どもたちは助かった」

「そうだったのですか・・・なにも言っていなかったので・・・」

言っておけばよかったのに・・・。

あ・・・そうだ・・・。


 「そして・・・あの子たちにひどいことをしていた男に罰を与えたのはニルスよ」

「ニルス・・・」

「あなたと同じくらい怒っていた。テーゼに来たら二人にお礼をしなさい」

「・・・はい」

ティアナは胸を押さえた。

ふふ、ニルスの印象を上げて悪いことはないしね。



 「女の子は仕方ないと思うけど、ベルクはあなたに懐いているわね」

話している間に紅茶が届いた。

・・・いい香りだ。

 「・・・一番初めに私を受け入れてくれました。ただ・・・まだ幼い、夜は泣きますよ」

「オスだとは思っていないわね?」

「息子です」

ティアナは迷いの無い声を聞かせてくれた、

 しきたりとか言う呪いは、すぐには解けないと思っていたけど、荒療治が一番良かったってことか。

・・・ティムに負けたのも考えを改めるきっかけになったのかな。


 「子どもたちを迎えに行った時、すんなりと馬車に乗ってくれませんでした・・・。色々声をかけてみましたが、どうしようもなく・・・」

「私の言った通りになったのね。突然だから仕方ないわ」

「はい・・・ですが、ベルクが助けてくれたのです。みんなで一緒に行こうと・・・姉たちの手を引いて・・・」

男の子に助けられたのか・・・。

ティアナにとっては初めてのことだよね。

 「移動中や宿でも・・・正直、ベルクがいなければ困り果てていたでしょう」

「いい子ね」

「はい・・・」

もう男女で扱いを変えるなんてしなそうだ。


 「あの子は屋敷を案内した時、立てかけてあった剣を自分にくれと言ってきたのです」

ティアナは優しい微笑みを浮かべた。

こういう顔で子どもたちと接してるんだね。

 「剣を?」

「はい、自分は男だからお姉ちゃんたちを守らなければいけないと・・・」

「それならあなたにできる。みんなを守れる力を授けてあげなさい」

あんなに幼いのに、自分よりも姉たちの悲しみを払うことを考えている。

ティムみたいに強い子に育つだろうな。


 「まだ本物は持たせられませんが、できる範囲で鍛えています」

「そうなんだ。・・・ティムもイザベラとシェリルを鍛えてあげているみたいよ」

「・・・は?」

ティアナはちょっとだけかわいく口を開けた。

おお、やっぱり驚くんだ・・・。

 「あの二人は、ニルスになら教えてもらいたいとは言っていましたが・・・。何があったのですか?」

「わからないわ。あなたが男の子も引き取ったからなにか感じたのかもね」

真意は本人たちにしかわからない。

・・・その内聞いてみるか。


 「イザベラとシェリルは変わりたいんだと思う。・・・これがきっかけで、次に戻る時に恋人を連れてきたりするかもね」

「・・・」

ティアナの目付きが変わった。

あれ・・・やっぱりダメなのかな?

 「子どもたちが怖がります。それだけは絶対に許しません」

なんだ、そっちの心配か。

ということは・・・。


 「スウェード家は恋人を作ってよくなったの?」

「・・・ニルスなら許しました。まあ・・・娘に種をくれと言ったら、愛する人がいると断られましたが・・・」

「・・・その愛する人は私よ」

「え・・・そうでしたか・・・」

えっと・・・子どもたちを頼んだ夜かな?

断られるに決まってるじゃない・・・。


 「ねえティアナ、あなたも男性に愛されたことはあるでしょ?恋人のいる相手に種をくれなんて言っちゃいけないわ」

「・・・愛されたことなどありませんよ」

「ありませんって・・・ちょっと待って、少なくとも三回は抱かれてるはずよね?」

おかしな誘い方を注意しようと思ったけど、好奇心がうずく疑問が湧いた。

どうやってティムたちを作ったのか・・・これは気になる。


 「・・・繋がるのを許すのは、男が果てるその時だけです。それまでは担当がやりますね。・・・不快な時間でした」

そうやって子どもを作ってるのか・・・。

 「三人の父親はみんな一緒なの?」

「そのようです。娘の相手は、代々家長である母親が決めるしきたりです。容姿と頭脳を兼ね備えた男・・・種はその一人からだけですね」

なるほど・・・三人とも整ってるわけだ。


 「その人は子どもたちに会わせないの?」

「父親は不要・・・そう決まっています。それにその男は役目が終わると金を渡され、他の地に行くようになっています」

「え・・・じゃあ名前も知らないの?」

「そうですね・・・。私もその時は股以外に布を被っていますので顔も知りません。教えないしきたりなのです」

会わせたくなっても無理ってことか。

よく考えたら、どっちも今さら会ったところでなにかあるわけでもないしな・・・。

 「じゃあ、毎回同じ家の男性になるわけでもないのね?」

「そうですね・・・。イザベラとシェリルがその気になれば領地の者たちに呼びかけ、私だけで選定する・・・そうなっています」

「なるほどね・・・」

「それを期待して男子を育てている家もあるようですね。選ばれれば、家族にも多額の礼金を出しますから」

徹底しすぎ、本当に変な家・・・。


 「スウェード家ってちょっと異常ね」

「・・・しきたりなのです。ただ、引き取った子どもたちが悲しむようなものは捨てようと思っています」

いいことだ。使用人たちも驚いただろうな。

あれ、でも・・・。

 「先代、あなたの母親はなにも言わなかったの?」

「母上は子どもを引き取ることを伝えると強く反対しました」

やっぱりか、そりゃそうだ。


 「子どもたちと一緒にここに来たはずよ。恐がらせてしまったんじゃない?」

「・・・あの子たちは宿で待たせました。その間に話を付けたのです」

「この屋敷にまだいるの?」

「いえ、問答無用で別の場所に移しました。あの子たちの傷をこれ以上広げないためです」

話してないじゃない・・・。

 「追い出したのね?」

「ええ、しきたりがどうのと喚いていたので」

以前のあなた・・・言いたいけどやめておこう。


 『もう・・・お引き取りください』

『ティムさんは、あなたたちと関わることはありません』

きっと、エリィを見たから同じことができたんだろう。


 「その後は関わってこようとしていないの?」

「今の家長は私です。この屋敷に近付くなと釘を刺しました」

「・・・情は無かったの?」

「無いのは母上の方ですね。年老いて頭も固く、口うるさいだけの女になっています。・・・なにも言いませんでしたが、イザベラとシェリルは話すのを避けていました」

先代はスウェード家の衰退を危惧しているのか。

でもそれは違う。


 「私がティムを産んだ直後も・・・喚いていましたね。・・・なんとなくわかってきました。原因は・・・あれなのだろうと」

「原因の一つではあると思う。でも、あなたのしたことが無くなるわけではない」

「そうですね・・・。あれは違うんだなどと、言えるはずもない・・・」

まだ家長を継ぐ前だったっていうのもあるのかもしれない。

 一つだけ言えるのは、この一族はティアナの代で変わる。

これからは、ティムのような子は絶対に生まれないだろう。



 「雲の上を飛んできたんだよ」

「楽しかったみたいだな。お姉ちゃんたちにも教えてあげるといい」

「うん、行ってくる。そしたらまた花壇を作ろうね」

ベルクは戻ると嬉しそうにティアナに抱きついた。

ああいうことを幼いティムもしたかったんじゃないかな・・・。


 「あなたは、ティム様が教えてくれた母親とは別人なのですか?」

ベルクが去るとカゲロウが怪しんだ顔で尋ねた。

普通は聞きづらくて言えないことを・・・。

 「いや、間違っていない。・・・カゲロウと言ったな、ありがとう」

「あの子はあなたのことが大好きだと言っていました。幼いティム様にも同じように想われていたということですか?」

「・・・」

ティアナは困り顔だ。

 なかなか責めるわね。

・・・仕方ない、今は助けてあげよう。


 「カゲロウ、愛は人によって気付く時期が違うのよ」

「時期・・・」

この子とティアナは知っておかなければいけない。

 「出逢いや育った環境によるの。ティアナは、きっとベルクと一緒の時期に気付いたのね」

「そうなのですか。自分の子どもよりも気付くのが遅い親もいるのですね・・・」

「・・・」

思っていても言わない方がいいこともある。

カゲロウにはそれも教えてあげないとダメね。

 

 「たしかにそうだと思う・・・。私は気付くのが遅すぎた」

「遅いのですか?・・・ベルク様のように、これから愛せばいいのです」

「・・・考えておくよ。だが、まずはベルクたちを愛そう」 

ベルクの存在はティアナの支えになっている。

 アリシアに憧れて子どもたちを引き取ったのはいいけど、うまくいかなくて辛い時もあったはずだ。

その時にあの子がいたから今も保っていられるんだろうな。



 「カゲロウさん・・・お姉ちゃんたちともお話しできる?」

ベルクがさっきよりも嬉しそうな顔で戻ってきた。

 「・・・」「・・・」

後ろには二人の女の子がいた。

まだ陰はあるけど、これがきっかけで外に出てこようと思ってくれたみたいだ。


 「お前たち・・・」

「・・・精霊さんとお話ししたいって思ってたの」

「わたしも・・・空を飛んでみたい・・・」

「・・・いいですよ」

カゲロウは二人を優しく抱いてあげた。

壊れないように、汚れないように、そういう抱き方だ。

 「ティアナお母さんと一緒だ・・・」

「精霊さんもあったかい・・・」

「・・・」

ティアナは二人を微笑んで見ていた。

直接言われたことはまだなかったんだろう。


 「ティアナ様はあなたたちを大切に思っていますよ。とても愛のある方です」

「知ってる・・・夜はずっと一緒にいてくれるの・・・」

「わたしはぎゅっとしてもらうと眠れるんだ・・・」

「そ、そんなことまで言わなくていい」

ティアナは顔を赤くした。

子どもは敏感だから、接する人間の本質を見抜く力がある。

 ツキヨはずっと潜入させてなくてもいいかもしれない。

ほぼ心配は無さそうだ。



 「私一人では三人を抱えて飛ぶことはできないので、鳥の背に乗ってみましょう」

「すごい・・・」

「ふわふわしてる」

カゲロウがツバメを出すと、子どもたちは今できるめいっぱいの笑顔を見せてくれた。

・・・もっと光が必要みたいだ。


 「ただ、ティアナ様はあなたたちが落ちないか心配なさるでしょう。なので危ないことはしないと伝えて、お許しを貰ってください」

「ティアナお母さん、よろしいですか?」

「ああ・・・お前たちがケガさえしなければいい」

そう、こういうことで愛を知っていく。

だから早く他の子たちにも教えてあげてほしい。



 「ティアナ、殖の月の闘技大会は出るの?」

また二人きりになった。

せっかくだし、これからの未来を話そう。


 「はい・・・家長の剣を返してもらわなければいけません」

「なら、みんなで来なさい。王が観戦していた部屋、あの子たちのために空けさせるから」

「そうですね・・・女が男に負けるはずが無いということを教えてやらなければいけません」

ティアナは胸を張った。

 あんまり大きいことは言わない方がいい。

ニルスには勝てないだろうし・・・。


 「そうだ。子どもたちのこともだけど、あなたに確認したいことがあったの」

ちゃんと確かめたいことがある。

答えは予想通りだろうけど・・・。

 「何でしょうか?」

「愛は・・・わかってきた?」

「・・・」

ティアナは俯いた。

なんだかとっても切なそうだ。


 「ティムと一緒にいた娘がいましたね・・・」

「エリィね」

「エリィ・・・彼女は、私に臆さずティムを庇った・・・。愛・・・あの姿が浮かびます」

ティアナは顔を上げた。

答えは、やっぱりエリィに教えてもらっていたか。


 「私は・・・母上からあの子を・・・守らなければいけなかった・・・」

「ベルクたちにはできた。これからもそうしてあげなさい」

ここに預けたのは間違いなかった。

まあ・・・本当に私が引き取ってもよかったんだけどね。


 孤児院で子どもたちと触れ合っていくうちに、ちょっと考えが変わってきていた。

 私は自分の子でなくてもみんな愛してあげたい。

愛を欲している子はたくさんいるからみんなにあげたい。

だから子どもができないことを悲しいとは思わなくなっていた。

 そして旅をしながら、子どもたちと触れ合っていきたい。

もちろんニルスたちと一緒に・・・。

そうしたいから、不死の身体のままでもいいかなって気持ちが生まれてきている。

 

 気付く時期は遅くなかったと思う。

問題は、ニルスとミランダとはいつか離れ離れになるってこと・・・。

信じてはいるけど、ニルスは子どもができない私でも愛してくれるかな・・・。

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