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転生令嬢、死す。  作者: ぽんぽこ狸


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 そんな状態で誰にも頼れないと悟ったセオドアは、拳を握ってフルフルと振るわせてからプリシラに目をやった。それから、苦々しい顔で言うのだった。


「……それは、ぼ、僕じゃないんでぇ、本当に知りませんっし。何ならじゃあ、全部はプリシラがやったって事が、あったり、する、かも」


 おどおどとしながらも自分だけは、何も悪くないのだと彼は主張し、二転三転する罪の押し付けあいにファニーは結局、誰なんだっ!と手に汗握って、行く末を見守った。


 しかしながら、セオドアの主張は少しばかり苦しいだろう。ファニーの専属メイドという身近な人間が、彼がそう言っていたというのだから、自分ではないは通用しないだろう。


 欺瞞に満ちた瞳を向けられるとセオドアはさらに言い募った。


「そ、そもそも、僕はそんな計画も知らないんですよ!! それに両親だってそんなリスクの高い事しませんから!! でも、僕の方が両親と仲がいいから、それを逆手にとってプリシラが、なりすまして、そんなことを言ったんですよ!!」


 ……”なりすまし”か確かにそれなら、今の二人のそっくり度合いを考えると、シャーリーがセオドアだと認識したのが、プリシラがなりすましだった可能背はある。


 でも、そんなのプリシラが認めたら、確実に不利になる、そんなことを簡単に……。


 そうファニーが考えたのもつかの間、勢いよく立ちあがったプリシラの平手がセオドアに炸裂した。


「っっ!!」


 パァチィン!!と軽快な音が響いて、色々なものが乱れたプリシラはカーティスとセオドアの間に強引に入って、叫ぶように言った。


「あんただって!!私になりすまして、カーティス様に物を強請ったりしてたんでしょぉ!!!ふざけないでよこのっ」


 さらに往復で平手を食らわせられて、セオドアは数歩引き下がった。


「女ものの服着てカーティス様を誘惑して!!気持ち悪い、気持ち悪いっ!!なのに私が、あんたの格好して両親に何か言って悪いっての?!」


 ……いや、なりすまして、実の姉を殺そうとするのはよくないよ?プリちゃん。


「僕だってやりたくてやってるわけじゃないんですけど?!家のためを思って仕方なくやっただけじゃないですか!!」

「はぁ?ここ最近、羽振りが良くなったのぐらい気がついてるんですけどぉ!!それをせっかくセオドアが黙ってるから、私も黙っててやろうと思ったのに!!」

「先に言ったからって、なんで僕まで道連れにするんだよ!!二人で共倒れする意味がないってわからないんですか?!これだから女は頭が悪くて嫌になりますよっ」

「なんですって!?そもそも━━━━


 彼らはお互いを罵り合い、双子でそっくりなのに、お互いを罵りあうコミカルな姿にファニーは思わず笑ってしまいそうだった。


 ……でもこれで納得。だって、お互いになりすまして悪事していたならその行動にしっくりこないのだって当たり前だし、分かってしまえばスッキリもする。


 それに相手の立場を利用して、自分の利益にしようとしていたんだから、どっちもどっちだろう。


 妹たちの意外な一面に、たしかにファニーは変わり者で、よく彼女たちに窘められていたけど。これならもう彼女たちに何も言われることは無いだろう。


 言い合いを続ける彼女たちをしり目に、ため息をついて、くだらないとばかりに距離を置くカーティスに、ファニーの隣から、オズワルドが彼に問いかけた。


「カーティスは、まったく自分は巻き込まれただけみたいな顔しているけど、浮気だよ? それも最低な相手と、ファニちゃんの前でこんなことバレて、後ろめたくないの?」

 

 ……わ、私の前でって……え?


 それだとまるで生きているんだってわかっているみたいじゃないか、そんな風に思って心の中でぱっとオズワルドを見上げた。


「ファニーの前で?おいおいオズワルド様、故人を大切にしてもいいが俺にそれを押し付けるなよ」


 ……あ、ああ、ご先祖様に見られていると思ったら、悪い事は出来ないはずだとかそういう話ね。


 ファニーは微妙に違うたとえを思い浮かべて勝手に納得した。


「もう死んでるんだ、そんな死んだら価値のなくなる聖女なんてものの為に取り繕って何になる、くだらない」

「……」

「どうせお前も愛の加護が欲しかっただけの自己中心的な人間だ。誰も彼も、加護が欲しい、ファニーを手に入れたい理由なんてそれだけだろ」


 ……おお、やっぱり清々しいなカティ君、しっかし加護……加護ねぇ。自分にはかからないから正直、そんなに良いものだと思えないんだよね。


 ファニーは話題になっているそれに対して冷めた考えを持っていた。白黒魔法はファニーにとって、様々なドッキリに使い道のあるいい魔法だけれど、加護という物は相手にしか効力がないので、ファニーの楽しみに使えたことがないのだ。


 それに能力の底上げなんて、されたって何が楽しいのか検討もつかない。


「だから俺が、ファニーを殺すなんてまずありえない。これで疑いは晴れたはずだ、後は間抜けな双子に話を聞いてくれ」


 そんな風に結論付けて、カーティスは身を翻そうとする。しかし、オズワルドは静かな声で「まだ」と言った。その声にカーティスは身を固くして、その場にとどまった。


「まだ、犯人は見つかっていない。本当はわかってるんだろう? カーティス、僕は犯人が見つかるまでは出てはいけないと言ったんだよ」


 冷静にそういうオズワルドに、カーティスは舌打ちをしてそれから、自らの頭をぐしゃぐしゃとかき回して、オズワルドを睨みつけた。しかしファニーからはオズワルドがどんな顔をしているかは見えない。


 だけれども、こんなにカーティスが取り乱しているということは、ものすごく恐ろしい顔でもしているのだろうか。ファニーはそう考えながらもカーティスを見た。






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