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詩❲心理描写-暗❳

悲愛/非愛=否相

作者: 日浦海里

海月よ仄かな酒音にタユタへ様の作品「弔事」の中で紹介されていたお題を元にしています。

お題は「君は知らないだろうけど」で始まって、「夢でなら許されますか」で終わる物語、です。

利用許可いただき、ありがとうございました。


人生初ホラーです。それほどホラー成分は強くないと思うので、気軽にお読みください

君は知らないだろうけど

君がずっと探し続けている人

あれ、僕なんだよね


君と出会ったあの日から

十年は過ぎたのか


その頃に比べれば

僕も随分歳を重ねたし

君もまた、歳を重ねたね


サークルの集まりで君に再開したときには

僕も君のことは全く気付きもしなかったよ


サークルで飲み会で家族の話になったとき

君が少し顔をしかめて席を立ったのが気になってた


翌日、飲み会で体調を崩したのかと聞くと

「そうだ」と答えた君


「心配させてしまってすみません」

そう言って謝っていたけれど

早くに話を切り上げたそうな君に

なんだか引っかかりを覚えてね


調べてみたんだよ、君のこと


出身の学校なんかは

交友関係を辿れば

そんなに難しいことじゃなかった

僕の立場も、都合が良かったのかも知れないね

どの学校からも君の話を聞くのに苦労はしなかった

そうして、君が小学校の時に転校をしてきたことを知った。


小学校時代の写真を見たときは

思わず叫んでしまいそうになる自分を我慢するのが大変だったよ


あとは、君が十年前、

今の両親に引き取られたことが確認できれば十分だった


君は、あの日に会った君だった


君も僕のことをずっと探してるだろうけど

僕も君のことをずっと探していたんだ


だから、どれほど渇望しているのかは分かるつもりだ

その一点に関して言えば

君と僕は同じ想いを抱いているだろうから


僕は君が気に入っていた

真面目で、誠実で、努力家で

授業態度も優等生な、模範的な生徒だった

そんな模範的な君の中には

普段の言動からは悟らせない

炎のような情熱が潜められていて

そして何よりそれ以上の狂気が垣間見える瞬間があった


君の炎への恐れと畏れ

執着とも言っていいほどの感情はどこから生まれたのか


研究室で悪ふざけをした生徒に対して

普段は穏やかな君が異様なほどに声を荒げ、叱責したとき

炎を見るその目と感情の高ぶりが

とても興味深かった


それも、君が君であると分かったとき、納得できたよ

君が知識に貪欲である理由も


君なら僕とわかり合えると思ってた

それはある種、正しかった。

君なら僕とわかり合えるだろう

そして、だからこそ、

君だけは僕を受け入れることはないだろう


あぁ、残念だ

僕は君と共に歩みたいと

本当に心からそう思うんだよ


それと同時に

あの日唯一見逃した君を

狩り取れることの喜びもまた

心から願う本当の気持ちだ


あぁ、残念だ

君と共に狂気の海に溺れる未来が

ただの一瞬しか訪れないなんて


共に手を取り合って

この胸の内をさらけ出し

貪り合う

そんな未来…


夢でなら、許されるかな

最後までお読みいただきありがとうございます


いかがでしたでしょうか。

少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

こんなのホラーじゃない、とか、最後、語尾変わってんじゃねーか、とか何でも良いのでご感想いただけると励みになります。

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