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銀河戦國史 (漂泊の星団と貴賤の騒擾)  作者: 歳超 宇宙(ときごえ そら)
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第15話 王妃の夢想

(ついに・・・・・・ついに、やったわ!やり遂げたのだわ! 3つの分王国の、全てを手に入れたのよ)

豪華絢爛なベッドに横たわるプサイディアの、ふくよかな胸の中に、喜びが満ちていた。


(我が息子である、北の分王国の新王が率いた軍勢が、北と東の連合軍を完膚なきまでに打ち負かしたわ。

 ヤツらの企図した卑怯な奇襲攻撃を、こちらは完全に読み切ってやったのよ。こちらの整然と並べられた砲列の前に、哀れなヤツらの艦隊が、意表を突いたつもりでのこのこと、無防備な状態で姿を晒したわ。

 そして我らの宇宙艦隊が、ヤツらの艦隊を至近距離からのプロトンレーザーによる一斉射撃で撃破した上で、執拗なまでの徹底した反復攻撃をも実施することで、殲滅戦にもちこんで叩きのめしてやったのよ。

 両分王国が、揃って諸手を挙げて、無条件降伏を宣告することを、余儀なくされてしまうほどにね)

 興奮が抑えられない。征服欲が、支配欲が、無制限に成就して行く。


(武力で併合された北と東の2人の王も、私の前に膝を屈して許しを乞い、頭を床にこすりつけて恭順を誓ったわ。

 ベッドの中で、このわたしを欲情のはけ口として弄んで来た東の王も、これからは臣下の1人にすぎなくなる。

 不明の死を遂げた前王を継いだ北の新王も、祖母である摂政のエシャヴェリーナを人質に差し出してまで、このわたしに許しを乞う有様よ。

 無残に縛り上げられたエシャヴェリーナといい、祖母を踏みつけにしながら涙ながらに命乞いをするその孫といい、良いザマだったわ)


 優越感も、留まるところを知らない。

 自分を利用して来た者たち、自分に敵対して来た者たち、その全てを嘲笑しながら、プサイディアは見下していた。


(何もかもが、今や、わたしの支配下にあるのよ。もう、正真正銘、わたしは神よ。女神なのよ。

 この王国の、3つの分王国を併合して作り上げた統一王国の、女神としてわたしは君臨するのよ)

 復讐心が、破壊欲が、凄まじいエネルギーを纏ってせり上がって来た。


(これから、たっぷりといたぶってあげるわ。高貴な家系に生まれ、貧民出身のわたしを蔑んで来た連中を。王妃や摂政としての、わたしの権勢に逆らって来た者たちを。

 散々に責め苛んで、引き裂いて、切り刻んで、その死肉を、わたしに協力して来た者たちに餌として与えてあげるのよ。

 そんな、どこまでも残酷な仕打ちだって、今のわたしには許される。

 誰も、わたしを止められない。文句の一つだって、言えはしないのだわ)


 冷酷な焔だけが、豊かな胸の内にある全てとなっていた。復讐心は、一つの極大に達している。

(特に、エシャヴェリーナ。あの女にだけは、最も残忍な死を与えてやらなくては、気が済まないわね。

 彼女が支配下に置いてきた民衆の前で、彼女がこき使って来た家臣たちの手を使って、彼女が趣向を凝らして仕立て上げたドレスをむしり取らせて、彼女の御自慢の肉体を徹底的に弄んで辱しめ、たっぷりと長く時間を掛けて苦痛と屈辱を味わわせながら、なぶり殺しにしてあげなくては)


 血の匂いが嗅ぎたい。断末魔の悲鳴が聞きたい。恐怖にゆがむ顔を拝みたい。野蛮な欲望が、タガを外されて暴走して行く。

(何て素晴らしい権力を手に入れたのかしら。

 この宇宙の全ては私のもので、誰をどんな風に扱うのも自由で、どんな卑劣で残虐な振る舞いに及んでも、何の咎めも受けることはない。

 本当に、神になれたのだわ。女神になり果せたのだわ、このわたしは)


 そんな夢想を壮大に、延々と繰り広げている只中で、プサイディアの意識はこの宇宙から、ぷつりと消滅した。


 命の火が燃え尽きると共に、官能的なシルエットを保ったままの肉体が、温もりを失って行く。

 王妃や摂政としての輝かしい人生が、野望への道の半ばで、終焉したのだった。


 プサイディアの死も、リング状宙空建造物には、やはり、いささかの変化ももたらさない。形状にも、軌道にも。

 いつもと変わらず、それは、王都の置かれた星系の第2惑星を周回し続けている。


 その中にある、尖塔を林立させた城塞も、依然と寸分違わぬ姿のままだ。

 彼女がここに来て30年近く、追放から復帰し息子を新王に仕立ててからでも、10年以上の歳月を経ていたのだが、何事も起きなかったかのようでもある。

 時の経過についても、それを明示する痕跡は、どこにも見出すことはできない。

 今回の投稿は、ここまでです。 次回の投稿は、 2022/2/26  です。


 悪者を描くのが苦手だなと以前から思っていて、トレーニングのつもりで悪者を主役に据えた作品を描こうと決めたのが、この作品の着想の原点だったのですが、苦手意識が更に深まるだけの結果に終わった気がしてなりません。


 行為で悪者を表現するのか、態度なのか、話しぶりなのか、思考経路なのか、というところから決めきれずに終わってしまいました。

 言葉遣いや身のこなしは上品な淑女なのに、やってることは残虐非道みたいに描いてギャップを付けよう、などと思っていた時期もあったはずなのに、読み返してみるとそんな感じにもなってない・・・・・・。


 そうやって気を入れて描いたキャラが死んでしまいましたが、まだ物語は続きます。

 死んだと言っても、完全に存在が消滅したわけではなく、むしろ死んでから別の存在感が出て来るキャラでもあるのです。

 プサイディアをそういう風に描けているか、読者様にも見て頂きたいところです。


 プサイディアのモデルになる人物を史実の中に見つけた時に、悪者を描くことと死んでから存在感を増す人物を描くことを思いつきました。

 史実からそんな発想が湧いたことには、自分ながら一定の満足を覚えつつ、でも描きたいものを描けない自分にがっかりしつつ、これからも精進して行こうと思っています。


 また悪者を主役に据えた物語に挑戦するか、もうそれは止めておくかは、現段階では分かりませんが、以降の作品も気にかけて頂ける方がいて下さると、嬉しく思います。

 と言いながら、この作品もまだあと少し有るので、最後まで読んで頂きたいです。宜しくお願い致します。

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