第65話 決着
ウィーダがこちらに切りかかって来る。
ウィーダ「うらぁっ!」
ユウはそれに、剣を振り抜いて対処。
相手の行動は簡単に計算できた。
軌道に感情が出やすい。
前へ動くときは大体敵を倒すという意思が高まっている時だ。
だから、数度の打ち合いを見て、好機を掴んだ後、ユウはこちらから動いた。
相手が勢いに乗っている場面で、こちらは引くのではなく、応じる様に前に出た。
剣の柄を逆手で持って。
ウィーダ「お……?」
相手の意表を突く。
そして思考を止める、動きを止める。
柄を殴りつける様に、ユウは放った。
狙うのはアゴ。
脳を揺らしてショックを与える為だ。
この世界は現実に即した世界だが、大抵はやはり偽物だ。
リアルさでは遠く及ばない。
戦闘不能を狙ったとして脳を揺らしたところで、脳震盪を起こすわけではない。相手はただ衝撃をもらうだけになってしまうだろうが、今はそれで十分だった。
ウィーダ「っ!」
入れる一撃を、相手は重大な脅威と認識してしまう。
そして、強引にでも回避行動をとろうとするだろう。
ウィーダは頭を後ろに引いた。
結果どうなるか。
伸ばしていた剣の腕が、宙に浮くのだ。
安定感を失った腕を、ユウは左手で掴んだ。
ウィーダ「いっ、おい――――」
パラメータに物を言わせ、相手の体を釣り、投げる。
ウィーダ「ぅおぉっ!」
投げられたウィーダはしかし、態勢を直して着地を試みようとするだろう。
剣を振らせてはいけない。
ユウは仕留めにかかった。
しかし剣先を上に向けると、同じく相手の剣先がこちらに向いているのが分かった。
来る。
不安定な態勢の中で、ウィーダは突進技のスキルを使った。
踏ん張りをつける足場はどうなるのかと思うだろう。
問題はなかった。
空中に出現させた彼の錬成アイテム、「重力の金平糖」が星の大地の役割を果たすからだ。
足裏で彼は大地を模した小さな星屑の菓子を蹴る。
ユウ「……っ」
スピードに乗った剣を見つめ、ユウは経験から弱点を導き出した。
仲間として、何度も見てきた技だ。
頭上から迫りくる鈍色の武器の速度は視認して対処する速度を超えているが、ユウにはどのタイミングで動けばいいのか分かった。
この距離ならば、エフェクトの光が強く瞬いた三秒後。
ユウは、一歩距離を詰めて、地を蹴り、相手のインパクトの瞬間をずらした。
そのうえで、剣で相手の剣の腹を沿わせるように火花を散らして、その先に存在するわずかな柄の部分に、全力の突き技を叩き込んだ。
ウィーダ「んなあっ!」
狙いは武器根本への、最大攻撃での武器破壊だ。
試みは成功する。
砕け散った武器の破片が舞う中。
しかしウィーダは、空中ですら逆転する可能性を持っていた。
だから、ユウはその彼の手札を失わせたうえで、堂々と相手に剣を叩きつけ肩口から真っ二つにした。
ウィーダ「剣で勝つつもりねぇかと思ったぜ」
彼はその場に倒れ伏す。
ユウ「搦め手や体術も、必要なものだろう。特にお前に勝つなら」
ウィーダ「そうかよ。へいへい」
倒れた体は消えやしないだろうが、戦闘に参加するのは難しいだろう。




