第59話 それぞれの役割
会議で作戦とメンバー、その他の事が決まった後。
ユウは、当初は考えていなかった祭りの見物時間を、少しだけとる事にした。
他の者達は思い思いに散らばっていって、しばらくギルドホームであずかることになったエリザも仲良くなったらしいジュリア達と各所を回っている頃だ。
見まわせば人ばかりで、彼等がどこにいるかはまるで分からない。
未帰還者達やプレイヤー達の集会として開かれたそれは、規模が大きくなりすぎて、やはり集まりというよりは祭りと形容した方がしっくりくるような有様だった。
人の声が絶えずひっきりなしに響いていて、賑やかさに事欠かない。
今夜この町が眠るのは、かなり遅くなるだろう。
だがそれらは、悪い事はではないだろう。
馬鹿騒ぎしている分にはまだ不安が紛れて良い。
ユウ達は、この雰囲気が良くない方向に向かう前に決着をつける事が出来るかもしれない立場にいる。
ユウ「……」
守ってやったと押し付けるつもりはない。
今も、おそらく脱出できた後も。
他の人間はどうか知らないが、ユウはただ最善の道を選んだだけなのだから。
こんな目の前の景色から、エリザはユウとは違う物を見ていた。
利益を超えてユウが動くのだとすれば、そんな考え方をするエリザやウィーダの様な単純な思考をした人間の為ぐらいだろう。
ユウは彼らのような人間を支える為にいる。
やはり、自分の役割はこうだと改めて思った。
ユウはウィーダやエリザの様にはなれないし、生きられない。
自分にできない事は、他の者がやってくれればいい。
彼らを支えてやれば、自分にできない事を彼らが彼らの役割で、代わりにやってくれるだろう。
少女「あ、電光石火のお兄さんだ」
そこに風船をもった少女が声をかけて来た。
クリエイト・オンラインの年齢制限は十二歳、小学校を卒業するかしないかくらいに定められているから、目の前の少女の歳はそれくらいに見えた。
はおそらくこの世界では最年少の部類に入るだろう。
そんな少女にでもユウ達ギルドの事が分かるくらいには、このデスゲームで知名度が上がったらしい。
少女「お兄さんが頑張ってくれたから、チコはすぐリュー君に会えるんだよね。リュー君、泣き虫でいじめられっ子だから早く帰ってお世話してあげないといけないの」
どうやらチコという少女は世話焼きな性格らしい。
現実世界にいる友人のリューという子供が気がかりで所が無いのだろう。
少女「アルンお姉ちゃんの代わりに、チコがリュー君の世話してあげるんだ。他の皆も、チコがたくさん世話してあげてるの」
ユウ「……アルンの知り合いなのか?」
少女「お兄さんもお姉ちゃんと知り合いなの? だったら、帰った時会わせてあげるね、約束!」
「……?」
ユウが微妙にかみ合わない会話について思案している間にも、チコと名乗った少女はこちらと強引に指切りをして去って行った。
会わせるならこちらの方だとか、電光石火の事を知ってるならアルンの事も知ってるはずだとか、そういう事をひとまず置いて置いて、現実に帰還した時どうやってこちらとコンタクトをとるつもりなのかとまず思った。連絡先、何も聞いてない。




