第56話 会議と祭り
あの後。
ソフィに向けてクロソフィの居場所について尋ね、事態を解決する為のこれからの事を話した。
待ちへ戻る時は、彼女の権限によってモンスターと戦うことなく、無事に送ってもらったので助かった。
すぐにその時あった事を他のプレイヤー達にメールで報告すれば、次の昼前に広場で定期的な会議を開き、それと同時に未帰還者達の交流が開かれる事に決まった。
その日の午後も未帰還者達は保護されていて、大勢町へやってきたようだ。
元々デスゲームの不安が渦巻いていたこの町に、(未帰還者である彼ら視点で)三年後の未来にいきなり放り出されてしまった者達が加わったこの現状。
何がどう作用して、騒動へ繋がるか分からなかった。
そっとしておくという案もあったのだが、ゴンドウたちが異を唱えたらしい。
もうじきデスゲームがはじまってから一週間が経過するという事もあって、町に閉じ込められているプレイヤー達の息抜きをさせようと、大規模な交流の場が企画された。
六日目
交流、といえば聞こえは固いが、実質は祭りのようなものだ。
町の広場から離れた公園では屋台が開かれたりして、昼前にしてすでに人の賑わいばかりで喧噪があった。
公園には飾り付けの為に、夜になると光る花「錬成アイテムの夜光花」が植えられているので、もしかしたらよるもこのままで一日中騒がせるつもりなのかもしれない。
ストレスを抱えない為にもと、例によってゴンドウ達が立ち上がり、協力者達をつのって気合をいれていれていたので、建設された屋台やら櫓やら、見世物舞台やらの方もかなり本格的だった。
大部分は錬金術で作られたものだが、どこの世界でも芸術関係に秀でた人間はいるもので、数時間もあれば本物の祭りさながらのセットが組み上げられる事になった。
朝見た時は人はあまりいなかったが、昼近くになるとかなりの混雑具合になってきた。
そのまま会議を始めるのは支障がでそうなので、急遽町のNPCレストランを貸し切りにしなければならないほどだ。
普通のちいさな店などでは、貸し切りにして占領することはできないのだが、ある一定以上の大きさの店でかつ人通りの多い場所に立つ店ならば、お金を払って貸し切りにできるという点が救いだ。
ずっと町の中で待機していたプレイヤー達は鬱憤が溜まっていたのだろう。
デスゲームが始まる以前の活気よりもさらに、広場は賑やかしい雰囲気だった。
今日の会議の内容次第では、彼らの我慢もあと少しとなるはずだ。
その為にユウも、表情に出ないものの気合を入れてその場に臨むのだが……。
ジュリア「あ、このお料理美味しいの、うまうまなの。エリザも食べるの、おにーさんもほらほらどんどん食べてほしいの、このお店のおすすめだけあるの」
エリザ「あ、ジュリアちゃん、こぼしてますよ。拭いてあげますからじっとしててくださいね。えっとお手拭きあるかな……」
ジュリアの正体を知らないエリザが、年下の妹にする様に世話を焼いて、仲睦まじく話に花を咲かせている。
昼前で貸し切りにしたという手前もあって、空席のテーブルを占領しているのも通りから見るとおかしいだろうと料理を頼んだのだが、おかげで肝心の話し合いが後に流れていってしまっていた。
現実と違って、満福で眠気に襲われるという事は無いのだが、気合を入れていただけ足踏みした感覚が虚しい気がした。
ユウ「……」
ウィーダ「ん、どうしたんだ、ユウ。食わねぇのか」
アルン「あんたねぇ、ユウ様はどっかの馬鹿と違って、楽観的でも向こう見ずでも考え無しでもないの、察しなさいよ」
ウィー「何だよ。どっかの馬鹿って。それ俺の事言ってるんじゃねーだろうな」
アルン「この流れはあんたしかいないでしょ。その脳みそは目の前の料理食べる事しか頭にないの!?」




