第50話 デスサイズ
アルンがスキルを使って錬成したのは、一角獣の角と虹色花粉を使って作った「煌々《こうこう》のコーン」だった。
交通整理などで道に置かれる三角錐の赤いコーンを光らせたようなもの、と言えば分かりやすいだろう。
そのアイテムの効果は、モンスターの注意を一定時間引き付ける事。
作り出したそれをアルンはウィーダに指示して、さっそく遠くへと投げつけさせた。
ウィーダ「おりゃっ」
いきおいよく投げられたコーンはちょうど、サイクロプスたちの密集地に落下。
綺麗に床に接ししたそれは、一瞬後……自身の輝きで巨大遺跡をまばゆく照らし出した。
視線の先では、交通整理のコーンが光りを放ち続けながら、モンスター達を移動させていっている。
そんな光景を見たアルンが微妙な表情になって呟いた。
アルン「作った私が言うのも何だけど、シュールよね」
ウィーダ「シュールだな」
ウィーダも右に同じくと、発言をするがのんびり眺めていられる状況ではない。
サイクロプスたちが集まったのを見て、ユウはその場から移動して奥へと向かって行った。
開けた神殿の向こうにあった区画は一変し、一直線の通路が緩やかなカーブを描いて回っていた。その内側に扉がいくつかあるので、おそらく円形の建物の外周に通路、内部に部屋が作られた構造なのだろう。
普通に訪れたのならば、一つ一つ部屋を確認していくのも良いが。
ウィーダ「確か、この最上階にユウが飛ばされた場所らしきとこがあるんだっけか」
ユウ「ああ、情報屋によれば」
そこまで到達したプレイヤーはわずかで、片手で数えられるくらいしかいない。
しかもその彼らが到達したとしても、ユウが見た区画と似ている区画までなのだ。
こちらが目指す未到達領域はそのさらに先にあった。
レベルや他プレイヤーの情報を考えても、無事にたどり着ける確率は今の所低い。
だが、それでも行かねばならないだろう。
ウィーダ「お、モンスター発見」
そう考えていれば、「ならばその覚悟を見せて見ろ」とでも言わんばかりに通路の先からモンスターがやって来た。
ぼろきれを纏った骸骨で、手には身の丈以上の大鎌を持っている。
デスサイズというモンスターだ。
あの釜で攻撃を受けると、残りライフの量に関わらず必ず即死してしまうのが厄介だった。
だが、そんなモンスターが出てくるのはすでに想定済みなので、この場にいる全員が即死を防止する為のアイテムを身に着けていた。
ウィーダ「一本道だから、一発食らわしてその隙に逃げるわけにもいかねーし、これ戦闘でいいよな、ユウ」
ユウ「ああ」
剣を握って意気込むウィーダに、ユウは肯定の言葉を送る。
そんな仲間に注意を飛ばすのはいつもアルンだ。
アルン「血気盛るのはいいけど、足元救われないようにしてよね。こっちは三人しかいないんだから、馬鹿でも脱落されたらこの先大変じゃない」
ウィーダ「分かってる。ったく、素直に心配してるって言えないのかよ」
アルン「素直に言ったら、アンタなんか大丈夫な所見せようと調子にのるでしょ」
ウィーダ「うっ」
辛口なのは普段と変わらないが、彼女にとってはそのケンカ腰の応酬もとっくに計算済みのようだった。
人当たりの良いアルンは、人と仲良くする事だけは感嘆にできるが、それが人のためにならないなら、あえて悪役を演じる事もあるのだろう。
他の人間にはともかく、ウィーダに関しては若干素が入っているような気がしなくもないが。




