第42話 クリア成功率について
それで、話は終わりかと思いきや、アルンは躊躇いながら口を開いた。
アルン「あのー、ユウ様ぁ……」
下を向いてしばらく口ごもった彼女だが、意を決したように口を開く。
アルン「正直な感想を聞かせてほしいんですぅ。ユウ様はいつだって自身満々で完璧って感じですけど、このゲーム……クリアできると思いますぅ?」
今まで片鱗すら見せなったが、やはりしっかりしている様に見えてのアルンは年に相応の少女らしかった。
いきなりログアウト不能の世界に放り込まれて、混乱しても良いはずなのに、これまでは強靭な精神力でそれを我慢してきたのだろう。
感情をこちらに窺わせないようにと、視線を合わせないアルンの気丈さを、誉めればいいのか叱ればいいのか。
こういう時、ユウはどうすればいいのか分からなくなる。
アルン「クリアできるとしたらどのくらい時間がかかると思いますかぁ? 怒ったり責めたりしません。正直に教えてほしいんですぅ」
ユウ「……」
アルンはそっと視線を上げてこちらの顔色を窺い続ける。
アルン「クリアできないのは怖くないんですぅ。けれど、でも……途中で死んじゃうのは嫌だなって、こんな事気にするのは今更ですけど」
自信無さげに告げられた彼女の内心の言葉。
受け取ったユウは瞑目して、しばらくの間考える。
一応の答えは出ていた。
今考えるのは、それを口に出しても良いのかという事だ。
だが、迷ったとしても彼女は仲間だ。
信頼を預けるにたる存在だ。
どんな事実を受け止める覚悟があるからこそ話を切り出したのだろう。
ややあって結論を出したユウは口を開いた。
ユウ「現状ではクリアは不可能だ。あくまでも現状では」
アルン「やっぱりそうなっちゃいますか。大丈夫です、分かってましたから。ユウ様は凄い人ですけど、やぱり私達と同じ普通の人ですもんね」
アルンは顔を上げて、笑顔を作ってこちらに答える。
そこに失望の響きはなく、声には納得の色しかなかった。
ユウは淡々と話を続けていくしかない。
ユウ「だが、状況が変化すれば可能性は劇的に上がるだろう。こちらには支援者がいるようだしな。この事件がある前、俺の技術を底上げする為なのか、何回かこのゲームの開発スタッフを名乗る男からメールを寄越された。それに先日の紛れ込んだマップの事もある。この世界の中にいるプレイヤー達だけが事に当たっているのではないのなら、可能性が絶望的にない……という事は言いきれないはずだ」
アルン「そうですかぁ」
アルンはそのユウの言葉に考え込む様な素振りをみせ、何気なく腕をとった。
アルン「錬金室の方に行きませんか。ご飯の前にちょっとだけ昔話がしたいんですぅ。あたしに付き合っていただけません?」
ユウ「分かった」




