第22話 若干引く
そこまで聞いたところで、ジュリアが珍妙な鳴き声……ではなく言葉を放った。
ジュリア「むにゅ? もしかしてお兄さんはその時に部屋にいた人間を見てるの?
だから、さっきその時にいた人が紛れ込んでないか確かめたって事なの? 分かったの。お兄さんはその人を捕まえようとして、きっとさっきのと同じアイテムを使ったの!? そうなの!!」
彼女の指摘は正解だった。
ようやく先程の一幕の理由が分かって、ジュリアに「じゃあその人はここには、いなかったみたいなの、安心なの」と一つの疑惑を片付けてもらい、その場に集まった者達が納得の声を出した。
グラウェル「で、改ざん内容はどんな感じなんだよ? もったいぶってんじゃねぇよ」
急く様に先を促す言葉をかけるのはグラウェルだが、傍にいたサブウェイに窘められている。
忘れていたのは自分達の方だという自覚がないようだった。
だからと言ってその事に関して、ユウは特に思う所はないのだが。
ジュリアはそうでもないが、有名ギルドになると他のギルドとの睨み合いなどの争いから逃れられないのだろう。
このような火事場に際しても、いかに自分達の利益になる行動をとるかという事で、互いの顔色を窺い合うのに必死だったようで、とても協力者である弱小ギルドの存在まで考えが及ばなかったのだろう。
今でも場の主導権を握ろうとするリーダー達が、機会を窺って互いの発言を牽制していた所を、グラウェルに横からかっさらわれたようだ。
とりあえず、会話の先を向けられたユウは、自らが施した改ざんについて一通り述べて説明していく。
最初に、管理権言で出来た事は、ライフの減少阻止。
そして次にできたのは四つだけだ。
セキュリティの強待っていく中、必ず取りたいと思った物を取れたとは言いにくいが、それでもまあまあの出来だろう。
状態異常の阻止。
ストックできる所持アイテムを無制限に。
移動ポータル使用制限阻止。
マジックポイント自然回復。
……だ。
さすがにマジックポイントは減少阻止にはできなかった。
この世界で活動していく為には、スキルや錬成の恩恵が必要不可欠なので、止むおえない阻止だろう。
後説明するのは、移動ポータル使用制限阻止について。
それは、そのままの意味だ。
各地と各地を繋ぐ転移台が使用できなくなれば、フィールドへの移動速度は格段に落ちてしまう。脱出の為の調査が大幅に遅れてしまうからだ。
それらの改ざんも正直言えば、運営側の人間が犯人にいる事からいつまで持つか分からないが、ないようりはマシだろう。
アルン「さすがユウ様。いっつも凄いって思ってますけど、今回も一手どころか、二手も三手も先にいってるなんて、神様とかだったりしますか?」
断じて違うし、そこまでじゃない。
いつも持ちあげるばかりのアルンが声をかけてくるが、さすがに何か思う所があったのか、若干引いたような声音だった。
周囲のプレイヤー達も「まさかそこまでやるとは」という顔色だった。
とにかく、そんな事があったのち、これからの行動が決められていって、デスゲーム開始から二日目に行われた会議は終了した。




