第18話 新たな改ざん
アルン「ユウ様ー、お疲れさまですぅ」
そこに、やってきてドリンクを差し出すのは知合いであるアルンだ。
ユウたち高校生よりも年下で、中学生である彼女は、周囲の者達よりも混乱がすくなく見える。
この仮想世界で出来た知り合いで、質の悪いPKに襲われていた時に助けたのが縁で知り合ったのだが、その時からなぜかなつかれるようになった。
アルン「お飲み物、要りますぅ?」
ユウ「いや、いい」
そんな時に、ウィーダなら必要なくとも受け取って礼を言う所だが、ユウは生憎とそこまで人が良くないのでは率直に述べて断った。
アルン「そうですかー。じゃあじゃあ、隣にいてもいいですかぁ」
ユウ「構わない」
アルン「えへへ、ありがとうございますぅ」
すげなくあしらわれる形になったにも関わらず、あまり答えた様子が見られないのは慣れているからだろう。
アルンは嬉しそうに隣に立った。
噴水の方では、女性達になつかれたウィーダが両脇から引っ張られて困っている。助けを求める視線を感じたが、無視した。
そんなユウの視線の先に気づいたアルンが、一瞬で不機嫌になる。
アルン「知ってますー? あいつ、最近他の人達からハーレム野郎なんて言われて嫉妬されてるんですよぉ。あんな優柔不断なヘタレ、羨む所なんてないのに。男の人ってホント馬鹿ですよねぇ」
ユウ「……」
アルン「そんなだから、色魔とかありえない称号になるんですよ。選択肢がないはずのイベントで、NPCを天然で口説いてクエスト完了とか、はっきり言って意味不明すぎですし」
ユウ「……」
アルン「なんであんなのが良いのかなぁ。無駄に親切なもんだから、女の人に言い寄られてますけど、中身へっぽこですし、いまいち抜けてるって言うかぁ……」
ユウ「……」
話のあいだ、ユウはシステム画面を眺めてメールやらを開き、情報を確認していた。
だが、めぼしい情報は特になかった。
ユウは画面を閉じて、一つ息を吐く。
アルン「あれ、もしかして怒っちゃいましたぁ? うるさかったですぅ?」
ユウ「気にしてない」
それは本当だ。嘘ではない。アルンがウィーダの事をこき下ろすのは、いつもの事だからだ。
身の回りが騒々しくなるのも日常の範囲内。
とりあえず例の会議が始める前に、主要プレイヤーに伝えておく事が増えたので先にメンバーに述べて置く。
ユウ「システムを書き換えられたのは、四つだけだ」
アルン「あ、メールのチェックしてただけかと思ったら。さすがユウ様ですぅ。今までそんな事してたんですねぇ」
ユウ「それ以上は、防壁を張られて無理だった」
アルン「ライフが減らなくなっただけで、十分だって思ってるんですけど。そこで終わらないユウ様、とっても恰好良いですぅ」
そんなアルンの賞賛の言葉はいつもの事なので、軽く聞き流しておいた。
周囲を見回していると、人ごみに変化が起きた。
集まったプレイヤー達が広場の入口へと視線を向けている。
例の人物達がやってきたようだった。
彼らが歩けば自然に人が左右に割れ、道が出来る。
他のプレイヤー達とは明らかに、身に纏う空気が違っていた。
それが人の上に立つ物なのだろう。
この世界で有名であるプレイヤー達の姿が、到着した様だった。




