第17話 中央広場
ミントシティ 中央広場
二日目の昼。
屋台が数十横に並んでも余りあるほどの広さを持つその広場では、この仮想世界に閉じ込められたプレイヤー達で溢れかえっていた。
ユウは情報屋伝いに。主だったプレイヤー達だけを集めて会議をするべきだと告げたはずなのだが、なぜこんな大事になっているのか。
口の軽いギルドマスターでもいたのかもしれない。
人が多くなれば明らかに面倒事が発生する確率が高くなってしまうのだが、集まってしまったものはしょうがない。
ここで、無理を言って帰らせたり散らしたりすれば、混乱が発生してしまうだろうし、プレイヤー達が現状に抱いている不満に火をつけかねない。
会議の邪魔をしないようにしてもらって、好きにさせるしかないだろう。
ユウ達がそんな広場に訪れると、初日の事で関わったプレイヤ―達が何人かやってきて礼を述べていった。
男性「昨日の事はありがとうございます」
女性「あんな事になったのはびっくりしたけど、わざわざ伝えてくれてありがとう」
ライフの固定措置はユウがやった事なのだが、彼等には説明していない。
それなら何とか脱出も、という話になりかねないからだ。
そもそも余計な事は、弱小ギルドである自分達がすべきではない。
ユウも最初は説明して回ろうなどとは思わなかったのだ。
追い詰められた人間は、時として予想のつかない行動に出る事がある。
ユウはそういう状況で、顔見知りでもない人間に進んで人に手を差し出すような人間ではなかったのだ。
だが、混乱してとっぴなことをやらかそうとしていた連中の輪に、見かねたウィーダが飛び込んで行ってしまったので、しかたなくそういう行動をとる事になってしまった。
リーダーである彼が無茶でない程度の我がままを言う事はよくある事だ。
それを適度にサポートしてやるのが、ギルドメンバーとしてのユウの役割なのだから仕方がない。
それが本心からのお願いをされてしまえば尚更。
仲間の頼みを無下にできるほど、ユウは割り切りの良い性格ではなかった。
そんな風に考え事をしながら時間を使って、人を待つ。
時間が経つほど広場にはプレイヤー達が多く集まって来る。
十分な広さがあるはずだった場所が、ただの人ごみで埋め尽くされようとしているほどに。
集またプレイヤー達は、それぞれ不安そうにしながら雑談をしている。
ギルドマスターの到着はまだかと、しきんに周囲を気にする者もいた。
そんな中で、一際人口密集度が高い場所があった。
それは比較的距離の近い場所、ウィーダのいる所だ。
女性1「あの、これから私達はどうすればいいんでしょうか?」
女性2「どうやったら現実に帰れるんですか?」
女性3「ウィーダさん、教えてください」
広場の中央。
噴水の近くでは、ウィーダが始めたばかりらしい初心者プレイヤーの女性達に囲まれて困っていた。
この世界で知り合う前がどうだったのかはしらないが、見た目が良く、なおかつ人の良い性格で気さくでもあるウィーダは、女性プレイヤーによくモテている。
町中でただ歩いているだけでも、異性から声をかけられるという事がしょっちゅうだ。
今は非常時だから、それが尚更顕著になったのだろう。
一見頼りがいがありそうに見えるウィーダに話かけるだけでも、不安の解消になるのだろう。
中には初日に世話になった者もいて、この世界の事を尋ねて応えるといったありふれた内容の会話が、よく弾んでいる様だった。
ウィーダ本人は、増える女性プレイヤー達に冷や汗を流しているのだが、ギルドメンバーの犠牲一人で、不安の解消されるプレイヤーが何人もいるのなら放っておくべきだろう。(若干数、周辺の男性プレイヤーが殺気立ている様に見えるが、それも一応不安の解消だと割り切った)




