ケアマネージャーの前で
ここで暮らすようになる数年前のことですが、Qちゃんが寝てばかりいて、歩くのも億劫な様子だったので、次女がどんなものかと介護認定を頼んだそうです。
しかし、Qちゃんは、判定者の前で、次女も唖然とする、見事な元気っぷりを示し、認定はかなわなかった。
これ、よくある話だそうです。Qちゃんのケアマネージャー Sさんが教えてくれました。
そこで、私は考えました。
ケアマネージャーといっても、Qちゃんには何が何だか分かりません。ケアの説明をしたら、要らないって怒るかもしれないし……。
そこで、
「Qちゃんの健康状態を調べに来るお医者さんだよ。Qちゃんも、若いとは言えないからね」と善意の嘘を以て説明しました。
「だから、元気な様子を見せないと、病院に行くことになっちゃうよ」
病院が大嫌いなうえに、病院に行かず、健康診断も受けず(困ったものです)、健康にお金をかけずに健康であることが大自慢のQちゃんですから、当然、私の期待に応えてくれます。
何と言っても筋金入りの怖がりですから、普段のQちゃんは、壁に手を当てながらゆっくりしか歩かないのに、
「どのくらい歩けます?」の「お医者さん」の質問に、見事に期待に応えて実践してくれます。
両手をしっかり振って、背筋をピン!
何とも速く歩きます。
私が要求すれば、腹筋も背筋もスクワットも、何でもやります。
だって、Qちゃん、この日のために鍛えてきたのですから。
毎日、腹筋、背筋、スクワットに励んだのです。
「歯磨きは出来ますか?」
Sさんが意外な質問をした。
「そんなの、当たり前ですよう……変なこと聞くねえ」とQちゃん。
私の方を見て、Qちゃんが同意を求めた。
Qちゃんは、総入れ歯。歯磨きはしません。
我が家に来た時、Qちゃん、入れ歯はありませんでした。
何度も無くしたから、姉たちが購入を止めてしまったからです。
寝る前に入れ歯を外して、それでどっかにいっちゃったのか、外した入れ歯をごみと思って捨てちゃうか、が姉たちの解釈だ。
「総入れ歯ですから、歯磨きはしません!」と私。
嘘をつくわけにはいきません。
でも、本当に歯磨きしているとQちゃんは思っているのかなあ???などと考えていると、Qちゃんはこんなことを言いました。
「ひょえー、お前は総入れ歯かい。なんとまあ」
(ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より改稿)