やるなあ
「出来ることや、出来そうなことは自分でやろうね」
ということで、Qちゃんは私と一緒に週に1回、買い物に行きます。
買うのは食料品。Qちゃんの役割はカートを押すこと。品物は私が取って、カートの上の籠に入れます。
「Qちゃん、何か買いたいものある?」
「ない」
Qちゃんは遠慮する。
しかし、私は知っている。前を歩く私が何を買おうか物色している時に、密かに物を籠に入れることを。決まって、果物だ。
「Qちゃん、あれ、どう?」と私。Qちゃんの視線が動く。
その隙に、私はQちゃんが籠に入れた,時期外れの高額果物を籠から出してもとにもどす。(あくまで、高額品のみですので、非難、ご勘弁を。)
ずっと続いてきたこの形。変えることにした。Qちゃんのために。
カートは私とQちゃんとそれぞれ別にした。Qちゃんの手には500円硬貨。「これで、好きなもの、買っていいよ」と私。
Qちゃんが自分の意志で買う。そして、レジでお金のやりとりをする。それが目標です。
この形にして一カ月経過。が、未だQちゃんは一つもこの形では買っていない。
「これ、どう」と聞いて、「いいね」と言ったものを私が取って、Qちゃんの籠に入れる。これでは、自分の意志とは言えない。
レジの方はどうか。
お金は渡せるだろうが、お釣りを貰うのを忘れないだろうか、忘れなくても、落とさないだろうか……。不安は尽きない。
が……。
お金を渡し終えたQちゃん。
飴がいっぱい入っている肩掛けバッグを開けている。そこにお金を入れろという態度で店員さんに要求している。
賢い。
店員さんもほっとしたことでしょう。このおばあちゃん、お釣りをちゃんと受け取れるかしらと、心配していた筈だから。
その手があったか。
Qちゃん、レジで並んでいる時に、一生懸命、考えたのだ。
やるなあ。
ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より 改稿