表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

やるなあ

「出来ることや、出来そうなことは自分でやろうね」


 ということで、Qちゃんは私と一緒に週に1回、買い物に行きます。

 買うのは食料品。Qちゃんの役割はカートを押すこと。品物は私が取って、カートの上の籠に入れます。

「Qちゃん、何か買いたいものある?」

「ない」

 Qちゃんは遠慮する。

 しかし、私は知っている。前を歩く私が何を買おうか物色している時に、密かにぶつを籠に入れることを。決まって、果物だ。

「Qちゃん、あれ、どう?」と私。Qちゃんの視線が動く。

 その隙に、私はQちゃんが籠に入れた,時期外れの高額果物を籠から出してもとにもどす。(あくまで、高額品のみですので、非難、ご勘弁を。)



 ずっと続いてきたこの形。変えることにした。Qちゃんのために。

カートは私とQちゃんとそれぞれ別にした。Qちゃんの手には500円硬貨。「これで、好きなもの、買っていいよ」と私。

Qちゃんが自分の意志で買う。そして、レジでお金のやりとりをする。それが目標です。

 

 この形にして一カ月経過。が、未だQちゃんは一つもこの形では買っていない。

「これ、どう」と聞いて、「いいね」と言ったものを私が取って、Qちゃんの籠に入れる。これでは、自分の意志とは言えない。


 レジの方はどうか。

 お金は渡せるだろうが、お釣りを貰うのを忘れないだろうか、忘れなくても、落とさないだろうか……。不安は尽きない。

 

 が……。


お金を渡し終えたQちゃん。

飴がいっぱい入っている肩掛けバッグを開けている。そこにお金を入れろという態度で店員さんに要求している。

賢い。

店員さんもほっとしたことでしょう。このおばあちゃん、お釣りをちゃんと受け取れるかしらと、心配していた筈だから。


 その手があったか。

 Qちゃん、レジで並んでいる時に、一生懸命、考えたのだ。

 やるなあ。


ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より 改稿





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ