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塩屋岬にて

この小品は、ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より 改稿したものです。

 恋人同士に違いない男女は、我々が駐車すると、慌てて去っていった。碑の周辺に誰もいなくなった。


 津波は沖からではなく、海岸線に沿ってやってきた。塩屋岬が防波堤となり、ひばりの碑は難を免れた。


「これが……」と私が言うと同時に、眼の前の遺影碑から前奏が流れた。そして、歌声が流れた。


 見事なひばりさんの歌。「塩屋岬」


 私もひばりさんに合わせて歌う。


 おー 

 Qちゃんも参加してきた。


 Qちゃんが歌い始めたので、私は歌うのを止めた。


「Qちゃん そこに 座って 歌ったら」

 ひばりさんの碑の前に座るのは失礼だが、何しろ、Qちゃんは102歳だ。

 どこまで歌うか知れないが、立って歌うのはしんどいはずだ。


 あやふやなところは適当にして、結局、Qちゃんは最後まで歌った。


 歌い終わって、妙に静かにしているQちゃんに、

「ここだけは、大津波でも被害が出なかったんだよ。ひばりさんが守ってくれたんだね」と私。


「馬鹿だねえ、お前は。いくらひばりさんだって、津波に勝てるわけないでしょ。本当に、馬鹿だねえ。」とQちゃん。


 どこまでも現実的なQちゃんです。夢がない。


 しかし……。


 そこまで言うか!


( ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より 改稿)



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