何歳かを忘れたから、がんばれる編
ベランダで日向ぼっこのQちゃん。ぽかぽか暖かい冬の朝。頭を垂れての半眼で脳の活動休止中。
では、質問。こういう時程、らしさが出る。フワ、ふわ、浮我。膨らむ期待に胸躍る。
「Qちゃんはいくつ?」「忘れた」
「10代の子供かい?」「バカ言ってんじゃないよ」(明らかに良い質問だった。自分自身に感心!感心!Qちゃんはこの質問に関心⤴関心⤴)
「20代の若者かい?」「違うよ」
「30代のおばさんかい?」「違う」
「40代のおばさん?」「……違うねえ」(微妙に返答が変化している)
「もしかしたら、50代」「もっと上だろ?」(ケセラセラが信条のQちゃんには珍しい、真剣な表情だ。そろそろ「そう」が来そうな予感)
「じゃあ、60代かな」首を縦に振る。上目遣いで私を凝視。明らかに同意を求めている。確たる自信はないのでしょう。
「60いくつ?」「63歳」(3好きQちゃんは60に3を加えて、少女のごとき無垢の笑顔で即答です。小春日和の光を浴びてとてもとっても嬉しそう)
「63歳。じゃあ、これからだねえ。70になっても80になっても元気いっぱいのおばあさんがたくさんいるから、Qちゃんもがんばらないと、笑われるよ」「うん。がんばるよ」
知らないっていいなあとつくづく思う。
再び、日向ぼっこのご機嫌Qちゃんに質問。
「Qちゃんはいくつなの?」「忘れた」
「102歳だよ。……すごいねえ」「へええええええー。102歳かよおー。化けものだねー」力いっぱいに開けられたまんまるおめめ。こりゃーびっくりの口あんぐりの年齢不相応のつやつやお顔。
関東大震災では、掴まった卓袱台と一緒にゴロゴロと転がり、焼け落ちたた家々と共に下る数多の茹で上がった死体を見、戦時にはミミズを食べて飢えを凌いだQちゃん。還暦こそが心底願う長寿の目標だった時代を生きたQちゃんにとって100歳などという御年齢は、望外の、理解不能の在り得へん数字なんでしょうね。




