2.Re:第三王子との邂逅。
二話目です!
あぁ、何で、仕事としてじゃなく、公爵令嬢として王城にやってこないといけないのだろう。しかも、ヘラクレス第三王子は優しいが、故に厳しい決断もすっぱりと決めてしまう、王の素質がある王子様。何度も、この人には殺された。正直、殺してやりたいくらいには、やっぱり嫌いである。
この能力を得て、私は大の“人嫌い”になってしまった。特に攻略対象相手には、それはもう反応するのも億劫である。なので、国王陛下に謁見した際も、一切攻略対象の『ヘラクレス第三王子』には目もくれなかった。そもそも、王族相手に目をじっと見つめるのは失礼に当たるしね。いないように扱うのも、失礼だが、それは経験則である。この人に出会ったら、死ぬから、最初から近付かない。
私は、何事もなかったかのように、国王陛下との謁見を終了させる。そこで、ヘラクレス王子に王城の案内をされたが、職務を全うする時によく足を踏み入れているし、軽く受け流した。しかし、ヘラクレス王子からこちらに踏み込んでくるので、正直対応に困っている。貴方、そういうキャラでした?
「ローズ様は、バラはお好きですか?」
庭園に案内されて、バラを一本庭師さんに刈り取ってもらい、私に渡す。・・・正直、この花の命を何だと思っている訳ですか?首ちょんぱにされているようなものだわ。でも、私は薄っぺらい笑顔で対応する。
「ありがとうございます。」
しかし、同い年であるヘラクレス王子には効果があったようで、とても嬉しそうである。けれど、それは私でなく、ヒロインに見せてあげてください。そこに、私を混ぜないでください。というかですね、その表情の裏側を読めるような人間になってください。
ヘラクレス王子は、無情にもあの言葉を私に話そうとしたところで、私は遮る。
「あのー・・・僕と・・・「もっと、この庭園を案内してくださいな。」・・・え?分かりました。では、参りましょう。」
ヘラクレス王子は私が満足するまで、庭園を散策した。・・・花々は好きだから。地面に咲いている花だって、思わず見つめてしまうほど。その命を刈り取ってしまうのは、可哀相だわ。しかし、雑草は遠慮なく刈るけどね。自然なものが好きなんです。
悉く、フラグは叩き切る。それが、モットー。別に問題ないでしょ?今まで、転生ヒロインが出た訳でもあるまいし。寧ろ、全力でお断りよ!!
そして、お暇させて頂く事になり、やっと平穏な日常に戻れると思うと、庭園散策は楽しかったと思える。
「ヘラクレス王子。今日は王城を案内していただき、ありがとうございます。特に、庭園散策は楽しかったですよ。」
「・・・!そうですか。それは、本当に良かったです。では・・・「でも、その言葉は、正直何とも思いませんわ。だから、お断りさせていただきます。」・・・そうですか・・・。」
ヘラクレス王子はしゅうんとしょげてしまう。そして、私が遮った言葉は『私の婚約者になっていただけませんか?』。私の父は、第一王子派と第二王子派とは違って、中立な立場にある為、権力を取り込みたいという幼いながらの戦略なのである。だから、お断りする。きっと、父はショックを受けてしまいそうだけどね。だって、私をヘラクレス王子の婚約者にしたかったのでしょう?
でも、大人の勝手な都合に負けてたまりますか。そして、きっとヘラクレス王子の婚約者というその役割は我が妹に譲りましょう。きっと、ヘラクレス王子も気に入る事でしょう。現在、5歳ですけど。若い者同士、くっつけばいいと思うの。私は、年齢詐欺みたいなものだから。若くないんです。
寧ろ、渋いダンディーなお方が好きよ。例えば、総帥とかね。
感傷に浸っていると、ヘラクレス王子が尋ねる。
「では、どういう男性がお好きなのですか?」
直球できますね・・・。でも、この答えは先程言った通りかしらね。
「やっぱり、年上の方かしら。包容力があるお方がタイプでしてよ。・・・例えば、総帥・・・いえ、宰相みたいなお方が好きですわね。」
ズギャーン!!
今、雷みたいなのが走った気がした。多分、イメージなのだけど。そんなに、ヘラクレス王子にとって、衝撃的な事かしら?小さい頃は『将来、お父様と結婚するー。』とかありませんでしたか?・・・私は、全くないですけど。でも、年上がタイプの時点で、実は私の方が、ちょっと誕生日が先なんですよ。上手く乗り越えられたかな?
そして、後日。我が妹が王城に来て、ヘラクレス王子に案内されていたのを見たけれど、我が妹は、王子にべっとりでしたね。ヘラクレス王子はそういうのは苦手なタイプだなと他人事ながら思いました。
次はローズ様視点でないやつを。