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日はまた登る  作者: shlia
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不思議な世界

 目が覚めた。覚めたとは言ったが、目を開けたわけではない。自分が自分だと分かるようになった。つまり、意識が戻った。


まだ、まぶたが重い。閉じたまぶたの先から、強く光が入ってきている。私は思い切って目を開いた。眩しい光が目を刺激し、内側からジンジンと熱くなる。寝起きだからだろうか、頭がボォっとして綿でも詰められたかのようだ。


 だんだんと目が光に慣れてきて、あたりの景色が解り始めた。根っこから倒れた木々がそこら中に転がっている。根っこは残ったものの、幹が裂けて針のようにささくれを突き出しているものもある。


少し遠くには、ポツポツと倒れていない木が見える。雨でも振ったのだろうか、地面はぐっしょりと濡れており、私のコートも水に浸したようであった。


ここはどこだろうか。倒れた木々を呆然と見つめながら、不思議が気分になっていた。しかし、ちょうど私から二メートル先ぐらいに転がっていた大きな墓石をみて、すべてを思い出した。そうか、地震があったのか。


いつもあったはずの風景が無くなり、いつもと違う風景が見えている。別世界にでもいるかのような感覚だ。


 どうやら、膝を少しだけ擦りむいているらしい。なるべく膝を使わないようヨロヨロと立ち上がり、かばんを探した。かばんは蓋が開いており、中身が全部飛び出したまま大きな木の下敷きになっていた。


やっとのことでかばんを引きずり出したあと、私は母に電話をしようと思い立った。これだけ大きな地震があった後だ。母も勤め先にいたはずなので無事だろうが、町の様子なども知りたいと思う。


ケータイとそこら中に散らばったノート、教科書、そしてあの小説をかき集めかばんにしまう。汚れた手とケータイの画面をコートで拭いたあと、母に電話をかける。


ーーーーーーーーーつながらない。


つながらないのだが、それもいつもとは違う。いつまでたっても、音がならない。いつもならやかましく鳴るはずの電話の音がならない。


どうしたのだろうか。私はもう一度母に電話をかける。また、音はならない。地震のあとで電話が集中し、使えないのだろうか。不安が募る。時間を見ると、午前十時。どうやら一日ここで眠っていたらしい。


 何が起こっているのか確かめたかった。ここにいたってしょうがない。それにお腹も空いた。私は町に降りようと決心した。

ちょっと短め。ご意見待ってます。

twitter:@warinki24

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