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12 少女はトイレで美少女に遭遇する

疫病神を特別教室に置き去りにして教室に入ろうとするのだが3組の教室の前に3人のクラスメートの女子がおしゃべりをしていたが、気にせず中に入ろうとするが


「白鳥さん、少し話があるの」


「私!?」


サッと女の子達に取り囲まれて教室に入るのを阻止されたしまう。


怖ぇ~~~~~


この3人は落合君とよく話している女の子達だと記憶している。名前は覚えていないけど……とても好意的な雰囲気では無い。


どうやら疫病神への忠告が遅すぎたようだ…


しかし、まだイエローカードで忠告だけだろうから素直に従う事にする。


「ついて来て」


無言でコクリと頷き、3人の中のリーダーぽい子の言われるまま付いて行く事にする。


連れて行かれたのは定番の女子トイレで、しかも見た事も無い女の子達まで勢ぞろい~~~


女子トイレが満員だよ。


落合君は予想以上にもてるようだ。


クッソ! あの疫病神その1め!!


「なんで呼ばれたか分かってるわよね」


リーダーの子がキツイ口調で聞いて来る。


「落合君の事でしょうか」


「それもあるけど、さっきまで馬渕君にまでちょっかいを掛けてどういう心算!」


疫病神その2!お前もか!!


やっぱり玄関であの2人と話していればバレて当り前か……


「しかも昨日は桐野先輩とマロニエで一緒にお茶してたでしょ! 沢山の子が見てるんだから」


リーダーの背後から別の子が言う。


ハル先輩~~~ あんたもかーー! 考えてみればハル先輩もイケメンで沢山の生徒が通る駅前は拙かった。部長もいるし良いかと思ったが甘かったようだ。


「あんたみたいなブスが調子に乗らない方が身のためよ」


一斉に女の子達が同意するように「そうよ」「ブスが図々しい」など追い打ちをかけて来る。


ブス!!


初めて言われて心臓が痛い…イジメとは心を壊す行為だと思う……


全く女の子は容赦がないぜ……と心で涙してしまう。

 

あの会長様もブスとまでは言わなかったし、断じて私は普通だと言いたい!


現にここに居る半分は普通レベルでリーダーぽい子は綺麗だけど騒ぐほどでもない!


美紅の方が僅かに勝っている。


心の中で反撃し沸々と怒りが沸いて来るけど


言い返せば火に油を注ぐようなもので集団になると何をされるか分からない。


クッソーーーーー!、まじ怖いっす……


再び心が折れた。


「ゴメンなさい…落合君達に近ずく心算なんてないです。 これからは絶対に話しなんてしないし近ずきません。でも桐野先輩は園芸部の先輩で昨日は部長と一緒に私の歓迎会をしてくれただけで断れませんでした。 2度と先輩とは部活以外では会いません」


あまり女の子達を挑発しないように小声で言うが、要点は確りと言っておく。


必要以上に怯えてもいけない――中には増長してイジメても大丈夫そう~なんて安易に考えて来るバカもいるから……


私の話を聞いた女子はざわざわと話合い暫らくすると


「今回は忠告だけにしてあげる。 次にこんな事があったら覚悟しておくのね」


流石に進学校だからあまり強硬な事をする子達はいないよう。問題を起こせば内申に響くから将来を考える賢い子達ばかりで助かる。


「分かった…」


何とか話が穏便に済みそうな時だった。




バン!




女子トイレのドアが乱暴に開けられる。


「チョッと貴方達なにしてるのかしら? イジメなら私が許さないから」


そこには何時もは無表情に近い美紅が鬼の形相で仁王立ちしており、その背後には真っ青な顔をした珠ちゃんが心配そうに見ていた。


突然の乱入者に女の子達も私もビックリしてしまう。


まさか2人が助けに来てくれるなんて思わず感動したい所だが


美紅~~嬉しいけど、バットタイミングだよーーーーーーーーー!


穏便に話が付いたのに振り出しに戻った気分に陥る。


「変な言いがかり付けないでくれる。話をしていただけだわ」


リーダーの子は美紅の迫力に負けないように言い返すが


「そうなの瑠璃」


ギロリと何故か私まで睨む。


なんか怖いよ美紅~~嘘ついたら舌を抜かれそうな勢い。


「そう! これから落合君達と関わらないって約束しただけだから大丈夫!」


「なんですって!やっぱりイジメね!」


美紅のイメージはお笑い以外は醒めた感じだと思っていたが意外と熱血だったらしい。


「落ち着いて。私も落合君と仲良くなるより美紅達をとったの」


ここは穏便に済ませたい私は得意じゃないけど舌先三寸を使う――本来、美紅が来なければ終わっていたのだが……


「瑠璃?」


「だってそうでしょ!私達は二人でお笑い界の星になるって誓ったじゃない。恋愛なんて今の私達に必要無いの」


少し芝居がかった口調で真摯な眼差しを美紅に送ると、はっとしたようにする美紅。


美紅なら乗ってくれる筈。


「そこまで真剣に考えてくれてたなんて」


感動したように私に詰め寄りがっしりと両手を自分の手で握り込む。


この目は本気だ――本気にしてしまった美紅に後でどう言おう…


「当り前でしょ! だって私達は友達じゃない」


それよりは目の前の危機回避!


少々ヤケクソ気味。


「瑠璃!貴女こそ私の真実の相方!」


「美紅!!」


そう言って二人で確りと抱擁し感動のシーン(?)を演出した。


私達の遣り取りを呆気にとられて見ている女の子達だったが





「ぷっーーっ  なにその展開、 あっはっはは…駄目…我慢できない~ ヒィっはっはははは~」





どこからか笑い声が起こり、皆が辺りを見回して捜すが笑っている人間がいない。


「瑠璃、私達ってやっぱり最高の相性! こんなに笑って貰えるなんて凄いと思わない」


誰が笑っているのか分からず周囲が不気味がっている中で一人喜ぶ美紅。4


そんな中でリーダーの子が勇気を出し


「誰!? 出て来なさいよ」


その言葉に応えるように一番奥にある個室のドアがギィ~~~っと不気味に静かに開く


もしかしてトイレの花子さんと誰もが思ったに違いない。


しかし現れたのは意外な人物。


それは目に涙を浮かべたアイドルも裸足で逃げ出す様な可憐な美少女で生徒会の書記!


「ゴメンなさい、笑ったりして~」


山田溜子やまだためこ、貴女だったの…」


リーダーは少し顔色を変えてたじろいでいたが、私は別の事で驚いていた。


山田溜子! ためこ!


何それーーーーー! こんな美少女が溜子!! 


まさに私と対局な人間がいたなんて……親の顔が見てみたいと思ってしまった。


「フルネームで呼ばないでくれるかしら蒼木さん。 それに溜子ためこじゃなくって溜子りゅうこよ」


「嘘おっしゃい。戸籍上はためこなのは知っているのよ」


どうやら名前は私同様に美少女のコンプレックスのようだ。


「そんな事より相変わらずイジメをするなんて進歩がない人。 そんな性格ブスだから直ぐに男に捨てられるのに、いい加減気付いたら?」


美少女はさり気なく話題を変えて辛辣にリーダー蒼木に言葉を投げつけると、悔しそうな顔をして美少女を睨む。きっと同じ中学で色々あった仲なのが伺えた。


「ためこのくせに……覚えてなさい!」


リーダー蒼木は陳腐なセリフを吐くとそのままそそくさとトイレを出て行くと他の女子達も我先と出て行こうとするが美少女は少しキツイ口調で忠告をする。


「ここに居た人間の顔は全て覚えたからイジメの問題が起こった場合に生徒会で処理するからおぼえてちょうだい」


それを聞き女の子達は真っ青な顔になり消えて行く――どうやらイジメの兆しは摘まれたようだった。


可憐な美少女は色んな意味で期待を裏切る結構はっきりとした正義感溢れる子のようだ。


「有難う山田溜子ためこさん」


お礼を言うが


溜子りゅうこよ。 助けた相手に嫌がらせ」


「とんでもない~~ どうせならもっと早く出て来て欲しかったな~っと思っただけです」


どうせなら私がブスとか詰られている時に出て来てくれれば直ぐに終わった筈。


それか見過ごす心算だったが笑ってしまって出ざるを得なくなったかもしれない。


「うっ!! タイミングを測ってたの」


少し気不味そうに視線を逸らす様子を見て何かが引っ掛かる。


恐らく女子達がトイレで集結する前から個室に入っていて人が居るから出るに出られない状況とは?


「もしかして大をしてたのね」


美紅がさらりと爆弾発言をする。


乙女に対してなんて血も涙もない言葉に私は絶句してしまう。


その言葉を肯定するかのように瞬間湯沸かし器みたいに顔を真っ赤に上気させる美少女。


「違うわよ!!」


そう言って逃げるようにトイレを飛び出して行った。


どうやら正解だったらしい……


「美少女でも大をするんだね……」


珠ちゃんがポツリと呟く――いたの!?珠ちゃんと失礼な事を思ったのは内緒。


「あの子…学校でするなんてなかなかの勇者ね。侮れない……」


変な所に対抗意識を持つ美紅――勇者と言うよりかなり切羽詰まってたんだよ。こういう時は黙っているのが優しさ……美紅の場合魔王だよ…


そして私は危機を脱したのだが


溜子、手を洗うのを忘れてるよ――1人心の中で突っ込むのだった。





そして3人で教室に戻るのだが


「美紅も珠ちゃんもよく私がトイレに連れ込まれたの分かったね?」


「うん。落合君が瑠璃ちゃんが蒼木さん達とトイレに入って行くのを見たから大丈夫かどうか見て来てくれって頼まれたの」


「そっか……」


疫病神も少しは私の言った事を理解したかな?


これで、無暗に私に話しかけたり近づかなくなるだろう。


「でも沢山の女子が居て驚いた。偏差値が高い子達が集まっていても所詮精神レベルは俗なのね。がっかりだわ」


憤然として辛らつな言葉。


「美紅はイジメに凄く反応するんだね」


「当り前よ! イジメなんて人間として最低な行為は許せないの。今度何かあったら私が徹底的に報復してあげる」


そう言って暗い笑みを見せる美紅。


過去に何かあったのだろうか?


頭が良い分、本気で何かしそう~~~~~


「アリガトウ……」


怖ぇ~~~ やっぱり魔王??



魔王を目覚めさせない為にもイジメ回避に全力を尽くそうと思うのだった。





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