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18・八方塞って・・・


「マテオ陛下、おめでとうございます」


『おめでとうございます』


「フリーリア様、おめでとうございます」


『おめでとうございます』



――――おめでたくなーーーいっ!!!!



 バルコニーで即位の儀、婚儀の終了を民への報告を終わらせ城内に戻れば、広間で臣下一同の祝福の言葉を受けた。

 なにがおめでたいものか、と悪態を吐きたくなる衝動をぐっと押さえ、腰を抱くテオに身を寄せる。


「ご即位と同時に御婚儀など、誠にめでたきことにございます。大々的に祝宴を、と思っておりますが・・・」


 カザムが言えば、他の臣下たちも同意を示し盛り上がる。

 城下でも、御祭りムードで祝っているという。

 王宮から民たちに、祝いとして食料を配った、と言っていた。


「通常ならばそうだろう。しかし、今の現状を考えればそんなことをしている時間もゆとりも無い。

 するべきことは他にあるはずだが? なぁ、フリーリア」


 そう、するべきことは他にある。

 いくらホージュ国から食料を過分に頂いたといっても、それをたかが祝宴のために使ってはいけない。

 まだまだ国内が落ち着かず、復興の見込みも立たない現状で、そんなことは出来ない。

 今やるべこことは、他にいくらでもある。


「えぇ、テオ。 でも、せっかくのカザムの言葉、そんな風に言ってはいけないわ。

 ありがとう、カザム。祝ってくれるのは嬉しいのだけれど、今わたしたちが無駄に盛大な祝宴など開いてしまえば、せっかくこうして祝福してくれている民たちの心が、また王族から離れてしまうわ。

 だから、今は一刻も早く国力を回復させるためにすべきことをしましょう。政など何も知らないテオだもの。時間はいくらあっても足りないわ」


 ねぇ、テオ? と見上げてやれば、より一層強く抱き寄せられる。



―――あぁ、離れたい・・・。



「まったくだ・・・。カザム、言い方が悪かったな。

 フリーリアの言うとおり、政など何もわからん、では問題だろう? 祝宴は、俺が国王として恥ずかしくなくなった時まで取っておいてくれ。

 最優先は国力の回復。今後のことを話し合う。大臣たちは議会室へ。ポトス、大丈夫だとは思うが、城下の見回りも徹底させろ。ギルセキ、悪いが北兵たちを一時ジニムに預けてくれ」


 テキパキと指示を出すテオ。

 人を従わせる才能は、天性のもの。

 その証拠に、ギルセキと呼ばれた北兵たちのトップが、何の文句も無く従う。


「フリーリアも一緒に議会に出席してくれ。今後の方針を定めたい」


「えぇ・・・。カザム、前国王時代の国庫に関する書類を一式揃えておいてくれるかしら? あと、公金の動きも把握したいから、できれば過去3年分ぐらいの財務的書類も。輸入や輸出の一覧も忘れずにお願い」


 カザムに必要書類を一式頼む。

 国力回復が最優先事項ならば、まずは国庫を満たさなければならない。

 雁首揃えてからどうしましょう、では時間の無駄だ。


「で、テオ。いつまでもそんな格好じゃ動けないでしょう? 手伝うから、着替えましょうか。ジニム、悪いけど、テオとわたしの着替えを用意してくれる?」


 そして、その資料を集める時間を与えるのも国王の役目だろう。

 とりあえず、まだ正装のままで王冠すら取っていないテオを着替えさせることにする。



―――あー、侍女とが侍従とか・・・。



 いつまでも、ジニムを侍女代わりにはできないだろう。

 本来ならば、ジニムは侍女を使う側の人間だ。

 侍女まがいな事をさせていい身分ではない。


「30分後に議会室で」


 テオの言葉で解散する臣下たち。

 今から、各自書類揃えに走るのだろう。


「ねぇ、テオ。侍女や侍従はどうなってるの?」


 腰から肩に移動させた手に促されるまま、広間を出る。

 付き従っているのは、ギルセキただ1人。

 本来ならば、侍従の1人も居るはずだ。


「侍女は知らん。何人かは居るみたいだが、把握までしていない。侍従は2人か? キフトたちに縁のあるものは全員追い出したから、何人残ったのかは知らん。カザムにでも聞けばわかるだろう。何でだ?」


「何でだ? じゃないわよ。国王なんだから、侍従の1人ぐらいは常に付けておきなさい。有事のときに困るわよ。侍女も必要でしょう?」


「女はフリーリアだけでいい」


 ぶすくれて言うテオ。



―――あぁぁっ トリハダガ・・・。



「そうじゃなくて。この際、身の回りの世話のことは置いておいて、城内の管理的な意味よ。政をしようにも、人手は必要なの。大臣たちだけじゃぁなく、侍女や下仕えの者たちも必要なの。

 前国王が篭城してたんなら、ここには人手なんてなかったでしょう? 今現在、誰がどうやって人事統括して管理維持を回しているか知りたいのよ」


 なんでわざわざこんなことまで、と思いながら説明する。

 掃除ひとつとっても、何人の人間が必要だと思っているのか。

 困ったもんだ。


「パディ、必要でしたら、我が国からも女たちを遣しますが?」


 ギルセキが言う。



―――忘れてた・・・。北の人員的措置・・・。



 これも、早急に確認しなくてはならない問題だ。

 女たちだけではなく、男たちも新たに政治の中核に組み込ませなければならない。

 舌打ちしたいのをグッとこらえて、ギルセキに対応する。


「ありがとう、ギルセキ。たぶん、早急にお願いしなきゃならなくなると思う。

 北の現状も把握したいし、今後、どのように機能させていくかも問題ね。国としてオーストリッチの属国となるのか、自治領区としてオーストリッチに属するのか。ギルセキたちの考えも聞かせて欲しいの。それからじゃないと、前に進めないもの」


 これも課題のひとつね、と笑ってやれば、


「北はパディの御心のままに」


 と返される。


 要するに、フリーリアの指示ならばどうなろうと従う、と言っているのだ。

 まぁ、やりやすい、と言えなくもないが。


 そうこう言っているうちに部屋に着き、扉を開けたギルセキを残し中に入る。

 そこには、着替えを用意したジニムが待っていた。


「ありがとう、ジニム。悪いけど、フリーリア領に使者を1人出してくれる? 現在のアイサヴィー発掘状況及び、採掘量、領内の人数及び整備状況、あと、正しい領域を説明できる者か、報告書をもらってきて欲しいの。一応、リグップには全て書類として書き残すように指示してあるから、問題はないと思うけど・・・」


 リグップは、フリーリア領の役人だ。

 フリーリアに代わって、実務的なことをしてくれていた。

 国庫の要となるのは、やはりアイサヴィーだ。

 それの最新の情報が欲しい、と言えば、ジニムはすぐに手配に動く。


「フリーリアは、政治能力まであるんだな」


 2人きりになった部屋の中。テオがポツリと漏らす。


「・・・領主なんてやってたもの。基本は同じでしょう?」


 まさか、王族経験者です、なんていえない。

 ちなみに、独裁者の経験もあったりする。

 適当に誤魔化しつつ、テオの着替えを手伝う。


「そういえば、立后の儀はテオみたいに神殿に行くの?」


 もしそうなら、隙を突いて城外に出ることも可能だ。

 今日はテオのせいで失敗したが、なんとか立后の儀が終わる前には脱走したい。



―――え? まだまだ諦めてなんかいませんよ、もちろん。



 テオに騙されるように婚儀を挙げ、テオの妻にはなったが、まだ王妃ではない。

 立后さえしなければ、公的地位など無いに等しい。



―――ダレデスカ? 往生際が悪いとか言ったの。



 王妃になどなるつもりはないのだから、最後まで諦めない。



―――が!! どこまでも私の自由を奪うつもりらしい。



「立后の儀はそんな大したモンじゃない。ただ、妻に公的地位を与えるだけだからな。

 バルコニーで国王から王妃の証である王冠を戴くだけでいい。民の前で、立后の証を立てるんだ」


 絶句。

 そんなに簡単なのか?! 立后の儀なんて言うから、もっとこう・・・!!!!

 これで、完全に脱走する機会を失ったとか・・・。



―――あ り え な い !!!



「フリーリア、着替えないのか?」


 半ば放心していた私に声をかけるテオ。

 ある程度脱がすのを手伝えば、あとは勝手に着替えていった。

 手のかからない男だ。


「着替えるけど、テオの目の前で脱ぐわけにはいかないでしょう?」


 言いながら、自分の着替えを手に続き部屋に入ろうとすれば・・・。


「気にすること無いだろう? 手伝ってやる」


 言いながら、サッと着替えを持っていかれる。

 そして、まだ被ったままのベールを取り払われた。


「フリーリア・・・」


 正面から見据えられて、名前を呼ばれる。

 熱の篭った声に視線を合わせれば、その眸に灯る、確かな劣情。



―――いーーーーやーーー!!!!



 逃げを打つ間もなく頤を固定され、口付けをされる。

 軽く触れ合うような、可愛らしいものではない。

 かぶりつくような、激しいソレ。



―――そしてナゼ脱がす!!!



 咥内を蹂躙しながら幾重にも重ねられた布を器用に剥いでいくテオ。

 角度を変えてはより深く咥内をまさぐられ、気づけばワンピース姿になっていた。


 さすがに、これ以上は勘弁して欲しい。

 確かな意図を持って動くテオの手に、ここで止めなきゃ止まらないだろうなぁ、と考えながら咥内でうごめくテオの舌を軽く噛む。

 ぴくり、と反応してゆっくりと離れていくテオの唇。


「これ以上はダメ。するべきことが、あるでしょう?」


 言い含めるように冷静に告げれば、劣情の落ち着いていく眸。

 しかし、完全には消えない熱。


「あぁ・・・。でも、もう少しだけ・・・」


 言いながら、今度は慈しむように口付けを交わした。



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