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Wake from death ~さよなら前世、また来て現世、よろしく来世~

作者: 鉄箱






――0・きっと一つの終わり――




 人の流れに、そっと目を伏せる。

 金色の屋根が被せられた黒い車――所謂霊柩車の後ろに、黒い喪服の人たちが続いていた。

 陰気で寂れていて、どうしようもなく物悲しい。そんな、空気。


 お兄ちゃんが、何よりも嫌いだった“救いの見えないシリアス”だった。


「お兄ちゃん……私、負けないからね」


 ぐっと涙を拭い、始めて自分の頬が熱を持っていることに気がつく。

 いつもだったら、お兄ちゃんが無言で側に来て冷たいハンカチを当ててくれるのに。


「なに考えているんだろう。お兄ちゃんは、あそこで寝ているのに」


 騒がしいのが好きだった。

 それから、派手なものが好きだった。

 だからあの金ぴかの車に、それも一等席に乗れていることは、お兄ちゃんにとって何よりも嬉しいことなんだって、思う。


 あるいはそう言って、私は私自身を納得させているのかも知れない。


「七穂ちゃん、そろそろだよ」


 麦穂おばさんの声で、足を止める。

 そっか、もうすぐなんだ。もうすぐ、始まるんだ。

 

 火葬場の煙突からは、何も吐き出されていない。

 今日ここに訪れるのは、どうやら私たちだけのようだ。

 貸し切りにするくらいだったらみんな巻き込んで騒ぐ、が信条のお兄ちゃんが聞いたら、きっとすごく嫌そうな顔をするんだろうな。


 不可抗力であって貸し切りなんかじゃないのに、きっと私の話を聞いてくれるのは全部終わった後なんだ。


 そんな風に生前のお兄ちゃんのことを考えて、私は自分の頬が緩んだことに、気がついた。不謹慎だって思うけれども、でも、お兄ちゃんなら絶対許してくれるから。


「七穂ちゃん、それでいいの?」

「うん。お兄ちゃん、雰囲気に合わせないと不機嫌になるから」


 私の服装は、パンツスーツの喪服だ。

 お兄ちゃんは格好で統一して態度でばらけるのが好きだったから、私一人だけ身軽な格好をしていたら、きっと拗ねちゃうと思うんだ。お兄ちゃん、自由奔放なくせに、髪の毛も染めないし服も着崩さない人だったからなぁ。


「靴はただの黒い運動靴だけど、これくらいはいいかなって」

「そうね、六都ろくとくんも、その程度は見逃してくれるよね」


 麦穂おばさんは、小さい頃に死んだ私のお母さんの、妹だ。

 お母さんが死んだ時、私はまだ幼くてなにもできなかった。

 でも、麦穂おばさんは、お父さんの時もお母さんの時も、本当に頑張ってくれたんだ。

 こんな望みなんて在ってないような、どうしようもない結末のために。


「麦穂おばさんに恩返しもさせてないのに、素直に逝かせてなんかやらないんだから」


 私が唇を尖らせてそう言うと、麦穂おばさんは小さく笑ってくれた。

 それでもその笑顔は儚げだったけれど、すぐに私が笑顔にしてみせるんだ。


「代表者の方」


 霊柩車から棺が運び出されて、お坊さんが白い線を地面に引いた。

 それで準備ができたのだろう、一番きらきらとした袈裟を着たお坊さんが、よく通る声でそう言った。


「あ、はい、私です!……それじゃあ行ってくるね、麦穂おばさん」

「うん……頑張ってね、七穂ちゃん」

「うんっ、任せておいて!」


 棺が開けられる中、私は白い線の後ろに立った。

 お坊さんが私に色々と注意事項を話すが、精神集中を始めたせいか、よく聞こえなかった。どうせ注意事項なんか、全部頭に入ってる。


 棺の蓋が開けられると、そこに白い光が差し込んだ。

 無意味にたすきを着けて、白装束に身を包んだお兄ちゃん。

 身体に乗せられた花を手で払い落とすフリをしながら花冠を作ってみせるお茶目さは、間違いなくお兄ちゃんそのものだった。


「よう、七穂。調子はどうだ?」

「最悪。でも、万全。お兄ちゃんは?」


 棺から立ち上がったお兄ちゃんは、お坊さんに手渡された草鞋を足袋の上から履いて、私の隣に並び立つ。死人相応の青白い顔でどや顔なんかするもんだから、非常にうっとうしい。


「最高だ――――昇天しそうなほどにな」


 葬儀場の前に引かれた白いスタートラインの前で、腰を屈める。

 私がありふれたクラウチングスタートの構えなのに対して、お兄ちゃんは仁王立ちだ。


『それでは、位置について、用意』


 お坊さんの手に、木の棒が握られる。

 先端が白い布で覆われた、木魚を叩くアレだ。


「絶対に、蘇らせるからね、お兄ちゃん」

「却下だ。俺には天界で仏様の手のひらを土下座しながら舐める使命がある」


 手の平の上で踊って舐めるって?

 それこそ却下だ。というか、天国逝くの決定なのか。くそぅ。


『――――無妙法蓮華経!』


 長すぎて気の抜ける合図。

 沸き立つ喪服姿の観客たち。


 雲一つ無い晴天の中、こうして、一世一代の徒競走が幕を開けた。














Wake from death ~さよなら前世、また来て現世、よろしく来世~














――1・get ready――





 そもそもこんなバカげた習慣ができたのは、おおよそ九百年前のことだ――。


 なんて言われているけれど、十世紀近くの前のことなんか知らない。

 とにかく解っているのは、仏様が定めたコースを代表者と死者が走り、代表者が見事先にゴールしたら生き返らせて貰える。


 例え死体がないような事故でも一時的に肉体を持たせて、競技をさせて貰えるのだ。


 バカバカしいと思うし、今も思ってる。

 ひどい冒涜だって感じることもあるし、間違っているんじゃないかとも考えた。

 それでも人間は、僅かにでも可能性があったら縋って、そして私もそんな人間の一人だったというだけのことなのだ。


「先手必勝!」


 ツインテールに結わえた髪の一房を、軽く後ろに弾く。

 スタートで立ち上がると同時のこの仕草は、初見ではなんだか解らないだろうし、解ってもどうしてそんな行動に出たのか、結局首を捻ることになるだろう。でも。


「ぬぐっ!?」


 ことお兄ちゃんに関しては、その限りではない。

 そもそも突飛な行動を上塗りしようとするのが、お兄ちゃんだ。

 お兄ちゃんのことだから、スタートと同時に私の耳元に息を吹きかけて動揺を誘うだろう。それを逆手にとって、髪を一房弾いたのだ。


 おかげで、髪が目に入りお兄ちゃんが悶える。


「くははは!流石我が妹だ!」

「ちっ、復帰が速い……ゾンビか!?」

「解りきったことを!」


 お兄ちゃんは、すぐに復活していた。

 立ち直りが早いのは、死者特権か。いや、これは生前からだ。


 死者は体力無尽蔵と身体能力強化という特殊効果が付与される。

 だからこの競技……いや、“行事”は、死者との戯れ、最後の触れあい以上の価値を求められていないのだ。


「まずは魚屋さんの角を右!」

「させん!」


 お兄ちゃんが、トップスピードから右へ直角へ曲がる。

 人間業から離れるにもほどがあるが、速度が上がっているだけでこの動きは前からできていた。変人である。


「って、右?!」

「ふははは、バカめ!」


 そう言って私は、“左”に曲がる。

 死者側はコースを正確に覚えている。これも死者の特権の一つだ。

 だがお兄ちゃんのことだ、声に出して叫べば脊髄反射で動くと思ったら、予想どおりだった。


「くっ、小癪な!誰の影響だ?!」

「お兄ちゃんだよ、間違いなく」


 お兄ちゃんはすぐに踵を返すと、私の後を追う。

 これでだいぶ引き離すことができたが、ここらでペースを調整する必要があるだろう。

 なにせ私は生身の人間。体力勝負に出られたら、負ける。


「第一チェックポイントは……“思ひで巡り・保育園”か!」


 ある程度のショートカットは認められるが、それでもチェックポイントは必ず通らなければならない。そのポイントは、死者と代表者の思い出の場所になる。


 私とお兄ちゃんが通った、私立“蓮の大仏”保育園。

 二つ上のお兄ちゃんと、一緒に遊んだ記憶がある。


『おおっと、最初にチェックポイントに到着したのは、七穂選手だ』


 実況のお坊さんは、不自然なほどに淡々としている。

 厳粛なのは良いが空気を読めといいたい。いや、ある意味誰よりも読んでるけど。

 というか、淡々と実況するんなら“おおっと”っていらないと思う。


『ポイントテスト、第一問』


 この問いかけの最中に、息を整える。

 死者との思い出、それをどれほど覚えているのかが試される。

 っていうのは建前で、ようはお通夜とかでやる“思い出語り”を問題風にしているだけだ。もちろん、解らなかったら通ることはできないのだけれども。


『ぴこん。六都選手がここで、最初に貴方にかけた声は』


 そんなの、忘れられるはずがない。

 何よりも大切?……うん、大切な、思い出なのだから。


「“おれ、ここでまおうになって、しっきゃくするんだ”」

『ちちちちち……ちーん。正解』

「よしっ!ありがとうインパクトだけはある変人お兄ちゃん!」


 どうでも良いけど、効果音が全部自前なのはどうなんだろう。

 淡々としすぎてて、正直ちょっと怖い。


『それではどうぞ』

「ぬ、先を越されたか!」


 お兄ちゃんの声を背中で聞きながら、私は整った息で走り出す。

 あの問答は、体力が無尽蔵な死者にとって、無駄な時間に過ぎない。


 とにかく、最初のポイントは、私の勝ち。

 これぞ、先手必勝、である。














――2・在る日の記憶――




 お母さんへのカーネーションを買ったお花屋さん。

 思えばこのお花屋さんは、袖から覗く二の腕に、牡丹の絵が垣間見えることがあった。

 肌に直接お絵かきしているのだろう。……意味くらい、私にだって解ってる。


 そしてお兄ちゃんは、絶対解っていながらやっていたのだろう。

 背中の“お絵かき”に、水性ペンで塗り絵をするという荒技を。

 あぁ、河島さんの素敵な笑顔が目に浮かぶ。


 お兄ちゃんとよく遊びに行った公園。

 ここを抜けると近道で、だからこそ思い出が掘り起こされる。

 実の妹を驚かせるために砂場で首だけ人間になっていたことは、忘れられない。

 いつか絶対復讐してやると桃の木の下で誓ったが、未だ果たされていないことを思い出してしまった。ちくしょう。


「見えてきた……“思ひで巡り、小学校”!」


 二度目のチェックポイントに辿り着く。

 まだまだと強がることはできるが、鼓動が煩い。

 これで夏だったら熱中症でお兄ちゃんと旅立つことになったのだろうが、幸いまだ春の中頃だ。昇天するような気温ではない。


『ぴこん。第二問、六都選手の異名は?』


 もう、異名とかついてる時点でどうかと思う。

 それを流したのが振り回されてストレスが溜まった私で、それをニヤニヤしながら名乗りだしたのがお兄ちゃんだという辺り、救えない。黒歴史だ。いっそ殺せ。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ」


 答えは浮かんでいるのに、息が切れて答えられない。

 そうしているうちに、お兄ちゃんが近づいてきやがった。


「坊主!俺にも問題を出せ!」

『ぴこん。六都選手の第二問、小学校生活で始めて傷ついたことは?』

「七穂に“お兄ちゃんなんか大ッ嫌い”と言われたことだ!」

「はぁっ……ふぇっ?!」


 無駄に声色似せやがった、このクソお兄ちゃん。

 あれは何時のことだったか、私に来たラヴレターをお兄ちゃんに読まれた時だ。

 小学校四年生でそんなまだ早いと血の涙を流す兄を見てどん引きしたのは、とても思い出したくない思い出である。


 おもえばこの件で私はお兄ちゃんの異名を流し、それをお兄ちゃんが名乗ったことで仲直りしたのだ。


「くっ……私の方の答えは……」

「先に行くぞ、妹よ!フハハハハッ」


 走り去るお兄ちゃんを尻目に、漸く整った息で答えを出す。


曼荼羅まんだら小学校の青いキリシタン!」

『ちちちち……ちん。正解』

「よし!」


 ガッツポーズと共に、走り出す。

 お兄ちゃんの背中は、まだ視界の中にある。

 これならまだ、追いつけるはずだ。


 いいや違う、追い越してみせるんだ!


 二度目のチェックポイントは、私の敗北。

 でもまだまだ、負けるつもりはない!














――3・雄叫びのゴーカート――




 この釈迦しゃか街四丁目には、三つの坂がある。

 それが天狗坂、無間坂、天道坂である。


 今回のコースで用いるのは、二つ。

 一つは天道坂の急斜面。幸いなことに、ここは下りだ。

 そしてもう一つが、私が直面している大きな上り坂、無間坂である。


「私がなんの対策もしてないと思ったら、大間違いだよお兄ちゃん!」


 基本的に、外部の人間の協力は得られない。

 だから自分一人でどうにかするしかないのだが、道具に関しては一つの制限付きで使用可能だった。


「なんでもかんでも私を付き合わせて体験させたことを、この世で後悔するが良いわ!」


 それは、死者が生前愛用していたもので、尚かつ代表者が使用したことがあるもの。

 それに限り、この行事で使用することを許されるのだ。


 事前に私がこの場所に用意しておいたのは、一つの乳母車だった。

 ただし、背部に巨大なプロペラを装備した、超重量級乳母車である。


 もう乳母車本体よりもエンジンの方が大きいこのどうしようもない乗り物は、お兄ちゃんが生前一人で作り上げて、試乗実験に私を付き合わせたものだ。


「法力装填型乳母車第百八式!百八も作る前に、乳母車は効率悪いって気がつきなよ!」


 お坊さんが妖怪とか宇宙人とかを退治する時に用いる“法力”を限定的に発動させるとかいうこの乳母車。凄いのか凄くないのかよくわからないそれに、私は乗った。


 操縦方法はいたって簡単。

 ピンクのおしゃぶりを咥えて念じるだけだ。しねばいいのに。


「いっけぇぇぇぇぇっっっ!!!」


 乳母車に火が灯り、プロペラが高速回転。

 法力によりエンジンが稼働し、その力で回されたプロペラが風力を生む。

 そして緩やかに上がりだした速度は、ある瞬間を境に爆発的に上昇した。


「あぁ私……風になってる」


 お兄ちゃんに肩車されてこれに乗った時は、正直恐怖心しか沸かなかった。

 だがこうして、一人で乗って見て解ったことがある。


 本当に、風が気持ちいい……というのを上回るほどの羞恥心。


 観客の中にいたお兄ちゃんの幼馴染、生徒会長の観音寺さんが大爆笑しているのが見える。過呼吸になって死んだらどうする。私は走らないよ。


「あ、お兄ちゃん」


 目をみはって私を見る、お兄ちゃん。

 その悔しそうな表情を見た途端、私の中に暗黒の怒りが沸き上がった。


「そこで、寝てろ!」

「ふぎゅるっ?!」


 勢い余って、お兄ちゃんを轢いた。

 ま、まぁ行事の最中に死ぬことはまず無いみたいだから、大丈夫だろう。

 うん、むしろ私が死にそうだ。恥ずかしさで。


 それにしても……いつまで笑ってるんですか、観音寺さん。














――4・あぁ美しき我が血統――




 坂を抜けると、そこには第三チェックポイントがあった。

 私が昨年度卒業した、第南無三中学校である。無駄に語呂が良いのが特徴だ。


 私が正門前に降りると同時に、乳母車が空中分解。

 文字どおり暴走後吹っ飛んで、花火の如くバラバラになった。

 あんなに危ないものだったのか。だからお兄ちゃんあんな顔してたのか。


『ぴこん。第三問、体育祭で六都選手が行った、第南無三中学史上初の出来事は?』

「応援団に乱入ゲリラライブの後全員で肩を組んで君が代jazzアレンジ!」

『ちちちちち……ちーん。不正解』

「よし……って、ええ!?」


 史上初じゃなかったの?!

 いや、待てよ、でも確かに用務員のおじいちゃんが、そういえば妙に懐かしそうな顔してた!


『それは、昭五氏が初となっています』

「なにやってんのお父さん!?」


 お父さんがやったことを倣ったのか!ちくしょうっ。

 となると、お兄ちゃんがやったことは別のことだ。

 早く、早く思い出せ、私!


「な~な~ほ~ッッッ!!!」

「んげっ、もう来たの!?」


 遙か後方から聞こえる怨嗟の声。

 どうせなら行事終了まで寝ていてくれればいいのに、お兄ちゃんは本当に親切じゃない。


「えーと、えーと……そうだ!」


 思い出した。

 というか、私が直接騒動になった時に居合わせた訳じゃないから、忘れてたんだ。


「保健室のベッドをマッサージチェアに改造!」

『ちちちちち……ちーん。正解』


 私が入学した時には、もう当たり前のように保健室のベッドはマッサージ機能付きだった。少し考えればわかる事なのに、私がそれを知ったのは、卒業式で先生に教えられた時だった。ガッデム。


「坊主、次の問題だ早くしろ!」

「ゆっくりして行きなよお兄ちゃん!じゃ!」

「ええい、負けんぞ七穂!」


 追いついてきたお兄ちゃんを振り切り、走り出す。

 悔しそうな声が、なんだか今日は一段と心地よい。


 第三ポイントは私の勝ち。

 残るは後一ポイント……私立仏陀ぶっだ高等学校だ。














――5・遡る思ひでぽろぽろと――




 こうして走っていると、中学の体育祭を思い出す。

 中学三年生、私の中学生活最後の競技は、借り物競走だった。

 私が勝てば、紅組は数年ぶりに勝利の栄光を手にする。

 そんな責任が問われる競技の最中、お兄ちゃんのおかげで繊細さとは無縁だった私は、意気揚々とお題の封筒を開けた。


 その時の衝撃を、私は今でも忘れない。


 観客に書いて貰ったというお題。

 そこに書いてあったのは、“女装美女”という一言。

 咄嗟に周囲を見ると、バツが悪そうに目を逸らす観音寺さんの姿。


 もうそれだけで、色々とやるせなかった。

 むしろ検閲しろ、体育委員。


 聞いて回る訳にも行かず、私は一人硬直していた。

 手も足も出なくなるような状況に置かれて初めてクラスのみんなのこととか、責任とか、そんな事を考え出しちゃって、もうどうにも止まらなかった。


 そうしたら、お兄ちゃんがどこからか聞きつけて、駆けつけてきてくれたんだ。


『こんな美女を待たせて、何をやっている』


 もう、本当に、おかしいくらい綺麗だった。

 肩幅が広くなかったらモデルじゃないかって思うくらいの美人さんだったんだ。

 もっとも、肩幅が広いから、ニューハーフさんにしか見えなかったのだけれども。


 お兄ちゃんは観音寺さんに事情を聞いて、そのまま化粧道具や服も借りて駆けつけてきてくれたのだという。お気に入りの服がぴちぴちになって、観音寺さんは項垂れていた。


 もうどうしようもなく変態チックで、奇人で、変人で、恥ずかしくって。

 どう見てもカッコ悪いのに、本当に、なんでか、そう……どうしてか。


「カッコ良かったんだよなぁ」


 ゴールまでの五十メートル。

 一緒に駆け抜けて、優勝をもぎ取った。

 あの時のゴールテープは、こっそり貰ってきて部屋に飾ってある。


 チェックポイントまで、あと五十メートル。

 ゴールテープは無く、ただそこには大きな門があった。














――6・最期の記憶、一つの終わり――




 仏陀高校の正門は、天国の門と呼ばれるほど巨大だ。

 ただの私立高校――進学校ですらない――とは思えないほどの存在感は、周囲の人間を圧倒させる。


 当然その中、校舎もそれはそれは美しい建造物になっている。

 もっとも今はその形は失われていて、私は入学式から“あの事件”までの、ほんの一週間程度しか通う事が出来なかったのだが。


 門に近づく度に、鼓動が早くなる。

 さっきまで笑い合っていたはずなのに、どうしようもなく胸が苦しくなった。


 この門の、向こう。

 倒壊した建物と、キープアウトの黄色いテープ。


「ここでお兄ちゃんは――死んだんだ」


 火事だった。

 私が風邪で学校を休んだ日、仏陀高校は炎に包まれた。

 生徒会の書記だったお兄ちゃんは、先生や観音寺さんと協力して生徒達を避難させて、それから観音寺さんをたたき出して逃げ遅れた生徒の救援に向かった。


 その結果、逃げ遅れた生徒を助けて、炎からも逃れて、倒壊した校舎の下敷きになってしまったのだという。


「お兄ちゃん……お兄ちゃんは、不死身じゃなかったの?」


 自分で作った装置の爆発に巻き込まれて、病院に担ぎ込まれたことがあった。

 その時は、無傷なのに何故だか髪がアフロになっていたんだ。


 川に流された子犬を助けるために川に飛び込み、そのまま流されたことがあった。

 この時は三日三晩の捜索の末、川釣りをしていた観音寺さんに釣られて帰ってきた。


 思い出せばきりがないエピソード。

 その全てを笑顔で乗り切ってきたお兄ちゃんが死んだと聞いて、最初は信じられなかった。


「こんな所で終われない……終われないんだよ、お兄ちゃん」


 私が門の横に視線を移すと、そこには煌びやかな袈裟を着たお坊さんがいた。

 毎回同じ顔なので同じ人かと思ったのだが、よく見ればホクロの位置が違う。

 なんなの?四つ子?四つ子なの?四卵生なの?


『ぴこん。最終問題、ちゃららん』


 最後だけ効果音違うんだね。声色同じだけど。

 と、お坊さんが問題を出す前に、大きな足音が聞こえてきた。

 案の定、そこにいたのはお兄ちゃんだ。しぶとい。


『同じ問題になるので、より早く答えた選手の勝ちとなります』

「よしっ!漸く俺にも運が回ってきた!」

「こんなところにいる時点で、運だけは信用しないでよ。いや、ホントに」


 血の気の引いた顔。

 でもそこに、ここで自分が死んだのだという未練は感じられない。

 いや、違う。そもそもお兄ちゃんは、生への未練が、感じられないんだ……。


『七穂選手の入学式で、六都選手が演出したのはなに?』


 私の入学式の時。

 私が仏陀高校に入学できると解って大喜びしていたお兄ちゃんは、案の定入学式でやらかしてくれやがった。


 観音寺さんの協力の下、在学生教師全員巻き込んで大規模な入学式。

 入学式までの道のりはゴーカート、迫り来る達磨をペイント銃――全員に配られた――で撃ち落として目に墨を入れる、謎の通過地点。


 とにかくもの凄い入学式だったけど、これらの企画を考えたのは、お兄ちゃんではなかったそうだ。


「お兄ちゃんが企画したのは!」

「ふふん、サービス問題だな!」


 私たちの声は、同時といっても良いものだった。

 お兄ちゃんは、他の人がみんな生徒主体の企画を上げる中、密かに来年のことを考えていた。一人の我が儘で終わらせるのではなく、先生達にも気分良く“来年もやっても良いかな”と思わせるために。


「「校長先生のゴンドラ演説スモーク炊き!!」」


 校長先生はその演出に満足して、生徒と一緒に入学式を楽しんだそうだ。

 普段表情を変えない校長先生@ロリが楽しそうにはしゃいでいるのを見て、先生達は鼻を押さえながら来年への許可を出した。潰れてしまえ。いや、潰れたのか、物理的に。


『ちちちちちちちち…………ちーん。両者正解』

「っ」

「あ、おいっ」


 私がガッツポーズをとることもなく走り出すと、一歩遅れたお兄ちゃんもそれに続いてきた。正真正銘の正念場。後は、一周した先、霊柩車前まで全力疾走だ。


 絶対に、勝つ。

 勝ってみせるって、決めたんだ!














――7・誰が為にひた走る――




 ゴール地点まで真っ直ぐ伸びる、長い下り坂。

 火葬場から天への道という意味で、天道坂と名付けられた場所だ。

 この下り坂をより早く下りきった方が、勝者となる。


「あぁぁぁぁぁっっっ!!!」

「おぉぉぉぉぉっっっ!!!」


 その下り坂を、私たちは一歩も譲らず並走していた。

 この日のために鍛え上げた心臓が、激しく鼓動して締め付ける。

 どちらの足を前に出しているのかも解らなくなるほどに筋肉を行使して、それでもなお限界を突破しようと私は腕を振り続けた。


「いい加減諦めなよ、お兄ちゃん!」

「七穂こそ、諦めたらどうだ!」


 譲らないし、譲れない。

 お兄ちゃんが居なくなって、どれだけ泣いたと思ってるんだ。

 私だけじゃない。明るい麦穂おばさんも、いつも楽しそうな観音寺さんも。

 魚屋の玄さんもパン屋の福池さんも花屋の河島さんも校長先生も学校のみんなも。


 泣いて、泣いて、泣いて、泣いて。

 目が痛くなっても、咳き込んでも、頭痛がし始めても。

 涙が涸れるなんて事はなくて、胸の痛みが消える事なんて無くて。


 心にぽっかり、穴が開いた。


「だいたい、お兄ちゃんは生き返りたくないの?!」


 ダメだ。こんなこと、言うつもりはなかったのに。

 私たちらしく、憎まれ口をたたき合いながら、笑って終えるはずだったのに。


「わたっ、私たちに未練なんか無いの?!」


 だって、そうじゃないか。

 お兄ちゃんが生き返ることができるように、頑張ってるのに。

 なのにお兄ちゃんは、いつもどおり全力で。


「わたしは、わたし、はっ――――もっと一緒に居たいよ、お兄ちゃんっ!!」


 ダメだ、ダメだ、ダメだ。

 泣かないって決めたのに。

 泣いたら余計に疲れて、走れなくなっちゃうって解ってるのに。

 それでも、それでも、それでもっ!!


「死んで欲しいと思っている訳ではない。それでも強いて言うのなら“死ねば解る”」

「え……?」


 前を向いて走るのが精一杯で、お兄ちゃんの顔を伺うことができない。

 珍しく、違う、本当に大切なことを言う時のように、お兄ちゃんの声は強ばっていた。


「死ぬと、考え方が変わるんだ」


 私の戸惑いを余所に、お兄ちゃんは続ける。

 いや、私の戸惑いに、答えるように。


「全ての未練は現世に捨て去り、新たに転生することが最善だと思うようになる。

 現世に大切な人を残していればいるほどに、早く転生しなくては、と考えるんだ」


 死者と生者。

 死んだ人間は、生きている人間とは“別のもの”になる。

 お兄ちゃんは、そうハッキリとした口調で付け加えた。


「俺だって死ぬ前は、どうしてこの行事で死者が必死なのか理解できなかった。

 だが同じ場所に立ってみると、わかるんだ。己がなにより優先すべきことが、な」


 そんなのって、ない。

 じゃあこの行事は何のためにあるんだ。

 それは結局、一番大好きな人に、一番嫌なことを強いているんじゃないか。


「なぁ、七穂。俺を……逝かせてくれないか?」


 懇願だった。

 お兄ちゃんらしくない、弱々しい声だった。

 こんなお兄ちゃんの声、私は聞きたくなんか無かった。

 それでもその声を出させてしまったのは――――私、なんだ。


「七穂?」


 でも、でもさ。

 それがお兄ちゃんにとっての幸福でなかったとしても。

 それがお兄ちゃんの最善でなかったとしても。


 お兄ちゃんが、いなくなったら。


「私の想いは、どこへ行けばいいの?」


 死んだお兄ちゃんは幸せだった。

 満足そうに転生の準備を果たしに行った。

 それがお兄ちゃんにとっての一番なのかも知れないけれど。


 でもそれは絶対、私の……私たちの、一番じゃない。


「お兄ちゃん、我が儘、言わせて」


 お兄ちゃんは、答えない。

 答えられないんだと、思う。


「……最後まで、やらせて」


 お兄ちゃんがお兄ちゃんの我が儘で死ぬって言うのなら、私は私の我が儘で生き返らせる。今までだってずっと、私たちはそうしてきた。


 だったら、こんな時だけ変えるだなんて、そんな道理はない!


「あぁ、あぁ、そうだな、七穂。……勝つのは俺だ!」

「ふん、言ってろクソお兄ちゃん!……勝つのは私だよ!」


 涙でぐしゃぐしゃになった顔で、精一杯笑ってやる。

 これが最後にせよそうでないにせよ、笑顔でないなんて私たちらしくない。

 らしくない勝負で勝敗を決するのは、絶対に嫌だ。


 走る――腕を振る。

 走る――足を入れ替える。

 走る――呼吸を荒げて胸を打ち。

 走る――ただゴールのみを視界に納め。

 走る――震える心に燃えさかる炎を灯し。


 走る――灼けつく魂を、身体ごと躍動させる!!


「負けるかぁぁぁぁっっっ!!」

「うおぉぉぉぉぉっっっ!!!」


 涙が頬から弾かれ、唇が渇き、髪が解ける。

 それでもなお足は止めずに、その一歩一歩に全力を注いだ。


「見えた!」

「っあれか!」


 霊柩車の前に張られたゴールテープ。

 麦穂おばさんも、観音寺さんも、他のみんなも。

 そこで集まって、真剣な表情で私を……私たちを、見守っている。


 もう少し、もう少しで追い抜ける――――なのに。


「あっ」


 視界が、逆さまになる。

 坂の終わりで、躓いたんだと気がついたのは、お兄ちゃんの声がしたからだ。


「七穂!」


 嫌だな、こんな終わり。

 そんなことを考えて、それから背中に鈍い傷みが走る。

 カッコ悪いことに、一回転して転んだんだ。


 あぁ……負けた。














――8・未来への架け橋的な何か――




 夕暮れだった。

 茜色の空、朱色の太陽、橙色の雲。

 その真っ白なゴールテープを切ることなく、お兄ちゃんは佇んでいた。


「ねぇ、お兄ちゃん」


 私が立ち上がると、お兄ちゃんは漸くゴールテープを切るために歩く。

 立ち上がるのを待っていてくれている辺り、妙なところで神士なのも相変わらずだ。


「待って」

「勝ちは、譲らんぞ」

「うん。でも、最後に少しだけ」


 これでお兄ちゃんと話しをすることは、最後になっちゃうから。

 だから私は、待っていてくれるお兄ちゃんに近づいて、背中に抱きついた。


 普段だったら、恥ずかしくってこんなことできないのに。

 それでも今は、今だけは……形振り構っていられない。


「保育園の頃、三輪車から突き落としてごめんね」

「あぁ、あれは痛かった。頭部でスライディングは初めてだったよ」

「小学校の頃、お兄ちゃんのアイスクリーム黙って食べてごめんね」

「いや、それは気がついていた。だいたい六十回目くらいから」

「中学の私の入学式の時、お兄ちゃんの制服アイロンで焦がして、ごめんね」

「代わりに燕尾服で行ったから、問題はなかったよ」

「何回も大ッ嫌いって言って、ごめんね」

「ききききき、気にしてないぞ?」


 水が溢れるように、言葉が零れていく。

 言いたいことはもっと沢山あったはずなのに、ただ腰に回した手に力を入れることしか出来なかった。


「ホントは、大好きだよ」


 三輪車から突き落としたのは、これで世界を渡るって言うから、居なくなりそうで怖くなったんだ。

 アイスクリームを勝手に食べたのは、私よりもアイスが大事なのかって拗ねてたからだ。

 アイロンで焦がしたのは、これから一年だけど一緒に通えるってことが、嬉しくてぼーっとしてたからだ。


 大嫌いって言ったのは……大好きだって、素直に言えなかったからだ。


「はっちゃけてるとこも、たまに格好いいとこも、けっこ色々考えているとこも」


 全部、全部、全部。

 そりゃ、クソお兄ちゃんって思うこともあるけど、それでも。


「優しくて頼もしいお兄ちゃんが、私は世界で一番、好きだよ」

「七穂……」


 お兄ちゃんが、私の手に自分の手を重ねる。

 背中越しだから顔は見えないけれど、それでも、その冷たい手は温かかった。


「俺もこの街に住むみんなが……七穂が、大好きだ」


 お兄ちゃんの肩から、力が抜ける。

 きっと今、お兄ちゃんは泣いてない。

 ただただ幸せそうに、笑っているんだと思う。


「そろそろ、俺は逝くよ」

「うん」

「離してくれ、良い子だから」

「うん――――」


 お兄ちゃんは、今度は両手を私の手に重ねた。

 そして優しく、柔らかく、私に離れることを促した。


 だから、私は――――

















 ――――渾身の力を、両腕にかけた。


「うん?七、穂?」

「――――と簡単に逝かせるとでも、思ったか!!」


 足を大きく開き、腰に全神経を集中させる。

 恥ずかしい本音を駆使してお兄ちゃんを油断させ、全身から力を抜けさせた。

 重心は後ろへ、ただただ想いの丈をパワーに変える。


「冥土返しの――――」

「ぬぅぉぉぉ?!」


 お兄ちゃんの身体が重力から解き放たれて、浮き上がる。

 足が地面から離れて逝く先は、天国への道ではなく冷たいコンクリート。

 天は地に、地は天に。極楽浄土を吹き飛ばす!


「――――ジャーァァァァマンッッスーゥゥゥゥプレェェェッックスゥッッッ!!!!」


 コンクリートをたたき割るが如く、お兄ちゃんの身体が弧を描く。

 虹が如く華麗に描かれたその軌道は、反魂という禁忌への架け橋。


「ぐふぅっ!?」

「しゃあっ!!」


 撃沈するお兄ちゃんを一瞥することなく、私はゴールテープを切る。

 卑怯卑劣と言いたくば言え。鼻で笑って受け入れてやる。


 私の最善で最良で最高は……お兄ちゃんと、一緒に居ることなんだから。


 麦穂おばさんたちが私に飛びついて胴上げをする。

 そんな中、観音寺さんはひっくり返って放心するお兄ちゃんに駆け寄って、手を引っ張って起き上がらせていた。


「まったく……とんでもない妹だよ」


 お兄ちゃんはそう零すと、観音寺さんと一緒に近づいて……何故か私の胴上げに、加わった。


「ちょ、お兄ちゃん、高い!高い!」

「うるさい!空まで飛べ!」


 そうやって、なんだか結局いつもどおり。

 そんなどうしようもない私たちを、真っ赤な太陽が笑っていたような……そんな、気がした。














――9・それからどうなった――




 お兄ちゃんと私による死者蘇生から、一年後。

 世界でほとんど例がない反魂を成功させた私たちは、それはもう忙しかった。


 テレビに雑誌にノンフィクション小説に。

 と、まぁ小説の作者は当然ながらお兄ちゃんなのだが。

 あの恥ずかしいシーンも完全再現……仕返しか、ちくしょう。


 そんなこんなで慌ただしい日々を送る中、私たちはもう一つの転機に立つことになった。


 反魂の法を成功させた者は、一番近しい人間に挑戦する機会を得る。

 そう、二度目の反魂が許されるという事なのだが、それが成功したという前例は、一つもない。


 難易度は前回の三倍。

 コースの距離も三倍。

 おまけに転生済みの人は無理で、転生待ちの人しか望めない。


 でも、見事打ち勝てば、既に遺体が灰となっていても、一時的に肉体が与えられるのだ。


「準備は良いか?七穂」

「お兄ちゃんこそ、万全?」


 舞台は、釈迦街の湖に特別に作られた島。

 曼珠沙華まんじゅしゃげ島横断レース……二体二の勝負だ。


「おいおい三菜穂、子供達があんなに大きいぞ!」

「そうですねぇ、昭五さん」


 私たちの側のスタート地点。

 霊柩車の前でイチャイチャする男女。


 にこにこしていられるのも、今の内だ。


「あのバカ親どもに、兄妹の絆を見せつけてやるぞ、七穂」

「ふん、言われなくても解ってるよ。島の大地に沈めてやる」

「いや、それはちょっと」


 お父さんとお母さん。

 記憶に違わぬ、凛々しい横顔。

 私たちに向ける、愛情の瞳。


『それでは、位置について、用意』


 淡々とした声。

 やっぱりホクロの位置だけ違うお坊さん。


『――――無妙法蓮華経!!』


 スタートの合図と同時に、走り出す。

 前回は一人だった。でも、今回は違う。


「飛ばすぞ、七穂!」


 お兄ちゃんが、大好きな家族が、側にいる。


「うん……お兄ちゃん!」


 だから私は……私たちは、負けないんだ!






 晴天の下。

 走り出す私たちを見る太陽が、今度こそ微笑んだような、そんな気がした。

 そしてそれはきっと、気のせいなんかじゃなくて。

 太陽はいつも、私たちを笑って見守ってくれていたんだって、そんな風に思う。


 だって私たちの心は、こんなにも晴れ渡っているのだから――――。





――了――


死んだ人には二度と逢えない。

それは常識なのかも知れませんが、もうワンステップあって欲しいと願うこともまた、常であると思います。

このお話のように生き返ったりはしなくとも、それでも別れ逝く人と最後に言葉を交わしたい。

これは、そんな思いをコンセプトに書いてみました。


ご意見ご感想のほど、お待ちしております。


ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

またの機会にお会いできましたら、幸いです。



2011/03/10 誤字修正

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― 新着の感想 ―
[一言] もしこんなことがあったらいいのに、そう思う作品でした。 蘇ることの可否は置いといて、先に逝く側としても残される側としても最期に大切な人と人生を振り返れるなんて素晴らしいことだなと思います。…
[一言] 初めまして、この話を読ませてもらいました。 何というか何というかいい話(?)でした。 笑いの中に、兄弟の絆が隠れ見えて素敵でした。特に、学校名に笑いました。 この兄にして父ありが…
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