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八天の聖剣  作者: 蒼風
三章過去のピース
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三章四話終わりと完成 

 剣二が辿り着いた場所……そこは公園だった。

 ブランコがあり、滑り台があり、滑り台の先に砂場がある。

 他にもドーム状の遊具などが見える。

 公園の周囲は入り口以外のところを緑の茂みが公園を囲んでいる。

 幸い人気はなく、風でブランコが寂しそうに揺れているだけだった。

 着地と同時に背後へ振り返ると、丁度追っ手が公園の中に入るところだった。

 相手はこちらを発見すると同時に風の槍を放ってくる。

 それに対処しながら剣二も反撃を開始する。

 まずは二本の剣が相手に向かって飛翔する。

 だが、相手は風の槍を使って弾く。

 しかも弾いただけでは終わらず、弾いた剣に向かって風の槍のラッシュを放ってくる。

 反射的に剣の意思を送るが、一本は逃れきれず槍の雨を受け粉々に砕け散る。

 残り一本を呼び戻しつつ剣二は考える。

 下手な攻撃は逆にこちらの選択肢を狭めれる事になる。

 ならば、やはり当初の予定通りに戦うだけだ。

 そう考えながら剣二は遊具の陰に身を隠す。

 そこへ相手は障害物などまるで存在しないかのように風の槍を放つ。

 剣二を隠している遊具は風の槍を何度も受けみるみる削れていく。

 そして剣二の体一つ分しか隠せなくなった時、相手の背後の茂みから剣が一本飛び出してくる。

 物陰に隠れた際剣を二本 相手に隠すように背後へと飛ばし茂み等に隠しつつ回りこませたのだ。

 予想外の方向からの攻撃に相手も若干驚くが相手もさる者。すぐに元の表情に戻り迎撃しようとそちらへと身を向ける。

 そのほぼ直後、反対側の茂みからもう一本の剣が姿を現す。

 反射的に振り返る敵。

 その間にも最初の剣が相手に迫る。

 何とか相手はその剣を避けて風の槍で弾くと、迫るもう一本の剣に向けて風の槍群を構える。

 だが、その瞬間、相手が二本目の剣に気を取られている隙に放った三本目の剣が相手のすぐ後ろまで迫っていた。

 相手の頬に一筋の赤い線が生まれる。

 二本目に気を取られていたせいで、三本目に対応しきれなかったのだ。

 怒りの表情を浮かべた相手は剣二に向けて風の槍を放つ。

 砂場の方へ逃げつつ、先程の三本で剣二は反撃する。

 だが、その程度の反撃は読まれていたようで、剣の方を見ずに放った風の槍に弾かれ届かない。

 さらに剣二を逃さないとばかりに風の槍を大量に放つ。それを何とか剣で弾く。

 丁度、砂場にいたためいくつかの風の槍が砂場に着弾し砂が舞う。

 相手の攻撃が止んだところでもう一度、三本の剣に意思を送り背後、上、右側から攻撃を繰り出す。と、同時に剣二自身も剣を持って相手に接近していく。

 相手は飛翔してくる剣を次々と避け、接近してくる剣二に向けて風の槍を撃つ。

 剣二はそれを剣で逸らしそのまま間合いにまで接近、縦と横の斬撃をしかける。

 相手はそれを避けて至近距離から風の槍を放ってくる。

 それを伏せて避け、その直後、背中に隠していた一本の剣を相手に晒し相手にめがけて放つ。

 相手は避けようとするが間に合わず剣が肩に刺さる。

 そのまま剣二は残りの三本と共に相手の元に飛び込む。

 それに対して相手がとった迎撃は風の槍の全方位展開だった。

 思わず足を止める剣二。

 そして風の槍が一斉に射出される。

「くっ」

 剣は弾かれ剣二自身もいくつかの攻撃を防ぎつつも怪我を負ってしまう。

 さらにそこへ相手の追撃が飛んでくる。

 右へ回りこむよう避けながら剣を一本相手の頭上から落とす。

 だが、相手はそれをスルリを避けてしまう。

 しかし、それは剣二も予想済み。剣に意思を送り相手が避けた方向に一閃をみまう。

 衣服が僅かに切れる。だが、相手には届かなかったようで相手は風の槍の一斉攻撃でその剣を破壊する。

――これで残り六本か。

 そのことが頭の中に過ぎりつつ、剣二は相手の肩に刺さっている剣に意思を送る。

 肩に掛かった剣が相手の体深くへ潜り込んでいく。

 相手は僅かに表情をしかめるが、それでも剣二が予想していたほど怯む様子はない。

 それどころか相手は風の槍を使って肩に刺さった剣を破壊し、動かないようにすると残った破片を肩から抜き出しその場に捨てた。

 下手したら自分の体に当たるかもしれない距離だというのにだ。自身のコントロールに相当の自信がなければできない芸当だろう。

 そのことに内心感心しつつも剣二は新たな行動に出る。

 二本を自分の近くに呼び戻しつつ、相手に突撃をかけたのだ。

 当然、相手はそれを迎撃しようと風の槍を大量に展開、射出してくる。

 それらの攻撃を防ぎ、弾き、時に逸らしながら剣二は進む。

 そしてある程度近づいたところで、剣二は近くに寄せた二本の剣を相手に向けて放つ。

 相手は剣の迎撃を優先したようだ。二本の剣に向かって風の槍を集中させる。

 剣二も剣を操作し迎撃を避けていくが、一本が風の槍の群れに捕まり、破壊される。

 残り一本は相手の元に辿り着いたが、相手はそれを避け砂場に着地すると避けた剣に向かって風の槍群を放ち破壊する。

 そうしてそれが終わると今度こそ剣二を狙うべく、攻撃を再開する。

 それをかいくぐりつつ剣二は左手に持っていた剣を投擲。真っ直ぐ目標である相手に向かって飛んでいく。

 相手がそれを破壊している間に、剣二は相手へ急接近。両手で持った剣を振り下ろす。

 相手はそれを破壊することで攻撃を止めるつもりのようだ。

 多数の風の槍を同時に展開し放ってくる。

 激しい音。

 それと共に刀身が宙を舞う。

 剣二が持っていた剣が刀身から折れたのだ。

 既に彼の周囲には剣の姿はない。

 相手は剣二を逃がさないよう、風の槍を大量に出現させる。それは今までの戦闘で出していた数よりも遥かに多い。

 もし、これだけの数が一度に放たれれば剣二に避ける術はない。

 これで終わりだ、と相手がそう思った時だった。

 足元の砂場から突然、何かが飛び出す。

 それは剣二の八本目の剣だった。剣二はずっと八本目の剣を砂場に隠し、そのことを気付かれないよう相手の意識を自分のほうに向けてたのだ。

 完全に予想外の攻撃に相手は目を見開くがどうすることもできない。

 そのまま剣は相手の胸を貫いた。


 相手が崩れ落ちるのを見て剣二は大きく息を吐く。

 どうにか狙い通りに上手くいったことに剣二は安堵する。

 砂場に隠した剣がバレないか内心ヒヤヒヤしていたのだ。

――あんな攻撃をかいくぐって確実に決めるなら完全に相手の不意を突く必要があったからな……

 しかし、そのために相手の心臓を狙う必要が出てきた。とはいえ相手は自分の命を狙ってくる相手だ。

 こちらが助かるためには贅沢は言えない。

 改めて自分が危険な場所にいることを剣二は自覚する。

 時期に誰かがこの様相に気がつくだろう。

――誰かに見つかる前にここから逃げつつ総一に連絡をとらないと……

 そんな風に考える。

 剣二は完全に終わったと気を抜いていた。

 故に背後で風の槍が形成されているのに最後まで気がつかなかった。

 剣二が気がついたのは風の槍が自身の腹を貫いた時だった。

 凄まじい痛みに腹に視線を向け、そこから溢れる赤い液体に気がつく。

 すぐさま振り返ると、僅かに意識が残っていたのかこちらを見る敵の姿が見えた。

 だが、その直後に相手は倒れる。恐らく最後の力を振り絞って放ったのだろう。

 狙いは恐らく心臓。だが、弱っていたためか狙いが外れ風の槍は腹の部分を貫いたのだろう。

 頭の中でそう冷静に分析しているが、既に腹から血がお触れ体にも力が入らない。

 連絡しようとポケットから携帯電話を出すがどのタイミングなのか、携帯の液晶にはひびが入っており動く様子はない。

 やがて、手もしびれ始め剣二は持っていた携帯を落としてしまう。

 膝をつき前のめりに倒れていく。

 ふと、その時、剣二はこんな感覚を以前どこかで感じたのを思い出す。

 そして、それがどこだったのか思い出しながら剣二は暗闇の中へ落ちていくのだった。



 その様子を眺めている者がいた。

「ふん、やられるとは情けない」

 男は非情にもそう告げる。人形に対してねぎらいの言葉もない。

「だが、バグの要因は取り除けた。これで心置きなく彼女を使うことができる」

 そう言って男はガラス状のケースへと視線を向ける。

「見せてもらおう。君の力を……」

 男の顔は喜びに満ちていた。

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