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ブラジャーを愛する

作者: ロミ
掲載日:2026/05/20

数ある小説の中から、選んでいただきありがとうございます。

始めは、性癖丸出しの文章です。ご了承下さい。

ちなみに、小説には男性しか出てきませんが、作者は女です。

共感していただけると幸いです。

 この見た目、この肌触り、体型を網羅した機能性、若者から年寄りまで愛される。

 女性の味方 ”ブラジャー”。


 まず始めに目を奪われるのは、そのたたずまい。他の衣類の追随を許さない存在感。

 風に揺られる姿の、堂々としたことよ。女王の貫禄を漂わせている。


 清潔感、可愛さ、厭らしさの多面性があり、やさしく包み込んでくれる抱擁感、凛とした筋の通った側面も持つ。

 誰の目もくぎ付け。目に焼き付て離れない。

 お近づきになりたいが、恐れ多くて近づけない。それがブラジャー様だ。




 デパートや、ショッピングモールで販売しているブラジャー様。

 皆眩しく輝いている。神聖なブラシャーショップに入店することはできないが、前の通路を通るたび、チラチラ目で追っている。


 だが、ここで、自分が目で追っている事を、誰にも気づかれてはならない。

 なぜなら、気づかれた瞬間、相手の眉間にしわが寄り、汚物でも見るような目に変わるからだ。

 自分は、断じて不審者ではない。常識人だ。神様に誓って、犯罪をしたことはない。





 ブラジャー様を熱く語ってしまったが、犯罪にならず、合法的に愛でる事ができないか考えた。

 インターネットでの購入を考えたが、男の独り暮らしにブラジャー様が大量に居たら、犯罪していなくても、不審者に見られる。

 もし、俺が事故や、病気がかかり、親が荷物を取りに俺の部屋に入ったら、逆に親の寿命が縮まる。

 俺の社会的立場と、親を悲しませたくない思いから、ブラジャー様を手元に置くことは出来ない。


 そこで、我が社で下着部門を立ち上げることにした。

 何を隠そう、俺は社長だ。俺の手腕でここまで、会社を大きく育てた。しかも、高学歴、高身長、若いころラグビーをやっていたこともあり、体格は良い。顔はワイルド系だ。社長なのでお金もあり、俺に群がる女は多いが、ブラジャー様より夢中になる事はない。





「おい、聞いたかよ。うちの会社、下着部門立ち上げるんだって」

「まじかよ。突然、何で下着なんだ」

「聞いた話によると、社長の肝いりらしい。見た目、肌触り、体型を網羅した機能性、若者から年寄りまで愛される。下着を作りたいんだってよ」

「畑違いにもほどがあるだろう、うちの会社、建設業だぜ」

「それな。今、下着部門に異動を希望する社員を募ってるってよ」






 僕はしがない会社員、28歳。

 商業高校を卒業し10年、この建築会社の事務に務めている。

 仕事は嫌いじゃないが、いつも、ごつい汗臭いおじさん達に囲まれ、仕事をするのは正直しんどい。

 女性との出会いも少ないし、この先このまま務め続けていいのか迷っていた時、下着部門立ち上げの話を聞いた。

 僕は、迷ったが、下着部門の募集に応募した。




 僕は希望が通り下着部門に異動となり、今日は、我が社の下着部門立ち上げの日だ。

 下着メーカーで長年勤め定年になり、再就職したチーフをはじめ、建設現場で働いていたが、膝を悪くし休職していたおじさんや、面白そうだったので異動してきた茶髪の兄ちゃんなど、僕を入れて男ばかり、合計6名で下着部門を運営していく。


「なー。下着部門って、何するんだ?」

「そりゃー下着作るんだろよ。社長は、見た目、肌触り、体型を網羅した機能性、若者から年寄りまで愛される下着を作りたいんだってよ」

「自分たちで考えて、生地を吟味して、デザインを考えて商品化に持っていく。長い道のりだけど、地道に努力するば、販売まで辿り着ける、がんばりましょう」

「僕たち、下着の事何も知りませんね。まずそこから始めませんか、社長が、生地のサンプルを大量に置いて行きましたしね」

「社長、下着部門立ち上げの演説長かったな、なんか燃えてたな、目が怖かったー」



 それから、僕たちは自分達なりに、生地の勉強や、一般的なデザイン、市場調査などを行った。





 春の涼しい風が吹いていた季節から、どんどん日差しが強くなってきて、道行く人が、長袖から、半袖Tシャツへと装いが変化している5月中旬。

 建築現場で働くおじさんの仕事後の姿が目に入り、俺の視線はおじさんの胸へいってしまった。

 そう、仕事終わりのおじさん達は、上から羽織っていた長袖を脱いで、汗だく半袖Tシャツ状態で缶コーヒーで寛いでいる。

 そう、汗だく半袖Tシャツが、おじさん達の体に張り付き、おじさん達の乳首の形が浮き出てる。

 僕は決しておじさんの乳首を見たいわけじゃない。僕は女性が好きだ。本当に女性が好きだ。

 おじさんの乳首を見ても何も思わない。

 でも、目が一瞬おじさんの乳首に行くのは何故だ。僕が変なのか。人間のサガなのか。決して見たいモノじゃない。


 そこで、僕はひらめいた。


「あのー、すいません。我が社の下着部門の者です。みなさんにお聞きしたい事があるんですが、よろしいでしょうか」

「あ?なんだ。下着部門?あ~前に社長が力説してたやつな。言ってみな」

「お疲れの皆さんに、訪ねるのは恐縮なのですが・・・。あのー。今、乳首立ってますよね。Tシャツの上からばっちり見えるんですが、恥ずかしくないです?乳首隠せるとしたら隠したいですか?」

「あ!?何言ってんだお前。べ、別に恥ずかしくはねーけど。まー。隠せたら隠したいわな」

「他に、汗だくで、脇とか、背中とかだけじゃなく、全身汗だくですよね」

「あー、そりゃ、汗が頭や、首から流れてくるんだ。タオルしてても間に合わねー、腹や背中は、汗が上半身から流れてきて濡れてるんだ、パンツにまで入るから、ベタベタだ」

「わかりました。ありがとうございました」



 早速、今の意見を、下着部門に持ち帰り、皆で吟味した。

 そうして、紆余曲折あり、新しいブラジャーが誕生した。






「社長。出来上がりました。新しいブラジャーです!」


 俺はこの日を待っていた。本当に楽しみに待っていた。

 自分へのサプライズにしたくて、下着部門の活動内容は聞かず、直属の部下に任せていた。

 やっと、合法的に、ブラジャーを愛でれる。

 初めての試作品だから、決してデキは良くないだろう。それでも下着メーカーの社長として持っていても、非難されない初めてのブラジャー様。


「ん?なんだこれ?ブラジャー?」


 そこにあったのは、Tシャツの胸から下を切って、へそ出しルックになっている形。よく見ると、ブラトップのように、乳首位置であろう場所の布地が分厚くなっている。スポブラのように、胸下部分がゴムで、ゴムの部分も布地が分厚くなっていた。


「はい、男性用ブラジャーです。汗をかく仕事をされている方は、汗が滝のように、頭から下へ流れるそうです。それを食い止めるため、ゴムの部分に布地を多く入れ、汗の流れをせき止め不快感の軽減と、乳首が浮き出る事を防ぐため、胸のところにも布地を多くしました」


 下着部門の部下は、胸をはり、得意げに説明した。


 俺は絶句した。そうじゃないんだよーーーーーーーーーー。





社長、ブラジャーにたどり着けなくて残念。

余談ですが、新しく開発された男性用ブラは、「ダンブラ」と命名され、汗をかく男性に重宝され、売上上々でした。

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