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私のものにならないし、私のものにできない
よく晴れた日。
私の内面など反映することの無い世界は、我が物顔で回り続ける。
希望も夢も無い未来に生き続ける意味があるのか、まだ十代の成人もしていない未熟な心は、たった一つのことに囚われて濁っていた。
もっと広い視野を持てば、一時の感傷だと乗り越えたかもしれないが、十代の私にとっては抱えた悩みは世界の全てだった。
好きな人は私のものにならないし、私のものにできない。
誰かに奪われてしまう未来しか訪れないならーーそう思い悩むと、生きる気力がごそっと体中から失われてしまう。
そんな瞬間、条件反射の気力すら湧かず、ただ瞳に迫る光景を黙って見つめていた。
「結ばれないなら、いっそーー」
無意識に唇が微かに震え、意識が暗い光の届かない場所へと沈んだ。